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イタリア/ナポリ特派員ブログ 角南有紀

イタリア・ナポリ特派員が現地からヨーロッパ地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。


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 昨年開催されたカラヴァッジョ展の大人気もあり、カラヴァッジョの作品に興味を持っている人も多いのではないでしょうか。ナポリにも彼の名画を見られる場所があります。写実性と劇的な光と影、心にささる感情表現で、後に多くの画家に多大な影響を与えたと言われるイタリアバロック絵画最大の巨匠は、イタリアでも大人気の芸術家の一人です。

 しかしその強烈すぎた人間性は品位に欠けるとして非難を浴びることも少なくありませんでした。カラヴァッジョは1606年、35歳の時に喧嘩で一人の男と決闘、相手を刺し殺しローマから逃亡します。ナポリの次の逃亡先のマルタ共和国で『洗礼者聖ヨハネの斬首』を描き、これが認められ教皇より免罪されます。ですが一年も経たずして再度決闘し投獄されます。一度は脱走を試みるも数日後に逮捕、同作品の目前で斬首刑を宣告されます。享年38歳。

 その死の前に、ナポリでも作品を残していました。
 旧市街のスパッカナポリに平行するトリブナーリ通りをまっすぐ駅方向へ。Duomo通りを横断したらすぐのところに、ピオ・モンテ・デッラ・ミゼリコルディア教会があります。

 1602年に設立された慈善団体、ピオ・モンテ・デッラ・ミゼリコルディアは、貧困者や病人の救済などの慈善事業を行っていました。1606年に聖堂が建設されると、当時ローマを追放されナポリに逃亡中だったカラヴァッジョに、団体は主祭壇に絵を描くよう依頼します。描かれた本作はマタイ福音書に由来する「慈悲の七つのおこない」。
 各場面をひとつの場面の中に配するという極めて斬新な構図が取られている。各場面は複雑に交錯しながらも、カラヴァッジョの自然主義的写実性で描写された誇張されない事象は明確に表現されており、わずか数ヶ月の滞在中に、圧倒的な知性と創造力によって描かれた本作は、ナポリ派の画家たちの間で大きな反響を呼び、カラヴァッジョ派の画家が、この町から多く誕生することとなります。
 『慈悲の七つのおこない』は、右部の≪死者の埋葬≫と≪囚人の慰問、食物の施与≫、中央の≪衣服の施与≫、左部の≪病気の治癒≫、≪巡礼者の歓待≫、≪飲物の施与≫とで構成されています。
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 ピオモンテ・デッラ・ミゼリコルディア教会のオフィシャルサイト→http://www.piomontedellamisericordia.it
 チケット:大人7ユーロ(学生割引・65歳以上割引・家族割引・アルテカード割引あり)
 開館時間:月曜日〜土曜日 9:00〜18:00  日曜日 9:00〜14:30(閉館時間の30分前に入場締め切り)


 先日、夫がこのカラヴァッジョの絵画の下でコンサートをしました。ナポリ出身のピアニストAlberto Pizzoによる「InLucem」(ラテン語で”光の中で”の意)と題するピアノソロコンサート。
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 「慈悲の七つのおこない」をイメージした即興が演奏され、開場は不思議な光と影の世界に魅せられていました。私も二曲ゲスト出演させていただきました。
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 実はナポリに来てから、この作品を観たのはこれが初めて。このコンサートがきっかけで出会えました。「慈悲の七つのおこない」はここでしか見ることのできない作品で、小さなチャペルの中で見る絵画はますます幻想的です。
 ナポリの大聖堂から徒歩五分程の距離にあります。知る人ぞ知る、ナポリの秘蔵。旧市街観光の合間に覗く価値は充分あります。

 


2017年5月21日

 イタリアは家族の絆がとても深い国ですが、南に行けばその傾向はますます強まります。ナポリやシチリアは特に家族・親戚との関わりが深く、血の繋がりは信頼関係を築く大切な要素となります。家族の長となるおじいさんを「ドン」と呼び、オペラのように古語の敬語「Voi(あなたたち)」の形式で話します。ミラノに行った時にマエストロに向かって「Voi」の形式を使ったところ、「あなたはナポレターナだね」と言われました。この古い形式の敬語は南イタリアに残る風習のようです。

 
 先日夫のおばあちゃんの90歳のお誕生日を、親戚一同がサプライズで集まってお祝いしました。ドン・アルベルト(夫のおじいちゃん)と、おばあちゃんに対する家族の敬愛をつくづく感じた一日でした。五ヶ月の息子も初めてドン・アルベルトに抱っこしてもらいました。おじいちゃん・おばあちゃんとその二人の娘さんはナポリから車で2時間半ほどのアグロポリというところに住んでいます。
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 4人兄弟の一番上にあたる私の義父を筆頭に、伯父さん叔母さん家族とその子供も全員が集まりました。クリスマスや復活祭などでも集まる家族なので、私もよくお世話になっています。伯母さんはシェフなのでお料理がとっても上手。困った時には必ず助けてくれる、普段なかなか会えなくても大切な人達。
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 私のお姑さんは、知り合って40年経ってもそのお義父さんのことをドンの敬称で呼び、Voi siete(あなた方は〜)の敬語を使っています。私は孫の嫁にあたるので、親しくTu(あなた)で接していますが。ドンを中心に家族がまとまる、古き良き家族像が今でもきちんと守られているのが南イタリアの良いところ。
 クリスマスや復活祭、お誕生日会などでみんなが集まる時、その仲間入りをしたことを嬉しく思う瞬間です。
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2016年11月12日

 先日息子の洗礼式を執り行いました。洗礼を受けるということは、その日からキリスト教徒になるということですが、うちは日本で夫も立ち会いのうえ私の地元の神社にお宮参りもしました。日本のお宮参りは「元気にすくすく育ちますように」という意味合いももちろんですが、それぞれの祖父母に晴れ姿を見せてみんなでお祝いする日にもなっていて、宗教的感覚はあまりないですよね。
 私たちの場合洗礼式もそのような感覚で、日本で生まれた赤ちゃんをイタリアの家族や親戚一同にお披露目する機会として設けました。また、国際結婚でもどちらかというと生活は日本文化よりの私たち一家ですが、私としては息子に洗礼を受けさせることで、夫の両親を喜ばせたいなぁという気持ちもありました。
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 日本のお宮参りは電話一本で予約完了、あとは当日行けば10分程で儀式は終了しますが、イタリアでの洗礼式はそうはいきません。私がまだ日本にいる頃に夫が彼自身も洗礼を受けたサンロレンツォ・マッジョーレ教会に出向いて予約をし(毎週日曜日にできるともかぎりません)、代父母となってくれる私たちの友人夫妻に挨拶に行き、ゴッドファーザー(代父)と夫が教会でのレッスンを3回程受けます。我が子に洗礼を受けさせることの意義について、勉強会をするらしいのですが、「神様は信じるけれど教会は信じない」「どうして我が子の宗教を親が勝手に決めるのか」などの論争に発展したりして長引いたりするようです…。
IMG_2730.JPGなんだか笑っちゃううちの子の格好。


 そもそも洗礼式とはその文字からも分かる通り、この世に生まれてきた以上原罪によって神の恵みを失っている赤ちゃんの汚れを洗い清める儀式なのです。天使のようなかわいい赤ちゃんたちに向かって、生まれた時点で汚れているなんてちょっとひどいなぁと思いますが。

 
 育児に追われて何の勉強もしないままに参列した洗礼式。式次第となるお祈りの紙を渡されて、よく分からないままに息子を抱っこして夫とゴッドファーザーと共に祭壇の前に立ちました。後ろには夫の両親と日本から来てくれた私の母を始め、親戚や友達がたくさん参列してくれていました。
 長いお祈りのような台詞をみんなで読んで、神父さんに続いて「アーメン」(そうでありますように)とか「プレーガ ペル ノイ」(私たちに祈ってください)などの言葉を言って、息子のおでこと唇と胸に十字を切ります。
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 ここではロウソクに火をつけてもらっています。これは父親の役目。
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 そしていよいよ額に水をかけられます。これはゴッドファーザーの役目。
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 この日は私たちを含め4組の家族が洗礼式に参列していたのですが、お祈りの途中で寝てしまった二人の子は水をかけられてもちろん起きて泣いてしまいました。そりゃ泣いちゃうよね。寝耳に水とはまさにこのこと、かわいそうに。
 息子は終始「あーうー」とご機嫌な声を出していて、目をぱちくり開いて観察しているようでした。水をかけられた時はおとなしくしていました。お風呂が好きだから平気だったようです。


 イタリアではほぼ全員もともと聖人の名前がついているので、洗礼名はなく、自分の名前の聖人が守ってくれることとなります。うちの息子も聖人の名前です。


 最後に教会の奥の神父さんのお部屋で洗礼証書にゴッドファーザーがサインをします。
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 洗礼式の後は、参列してくれたみんなとパーティー会場に向かいみんなでごはんを食べます。ちょっと結婚式の披露宴みたいな感じ。
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 ごはんの後はケーキを前にシャンパンを開けて、みんなで乾杯。みんなが息子にプレゼントを持って来てくれて、たくさん抱っこをして一緒に誕生を祝ってくれ、本当に楽しいひとときでした。


 息子が大きくなってから自分で宗教を選べばいいと思いますし、洗礼をしたこと自体に私はあまり大きな意義を感じてはいません。ただ、日本で生まれたこの子をようやくイタリアの家族にお披露目できたことが嬉しかったです。そして、映画「ゴッドファーザー」ファンの私としては、本場イタリアの洗礼式をこの目で見られたことにも感激しました。神聖で荘厳な教会で行われたその儀式は、息子が私たち両親だけでなく、一族から守られて生きていくんだという感じがしました。そして、ゴッドファーザーとなってくれた友人と、一生を通して家族のように付き合っていくんだと思うと嬉しくなりました。


 私が日本にいる間に全てを準備してくれた夫に感謝。洗礼式を無事に執り行い、私も夫もほっとひといき。息子はたくさんの人に抱っこされて疲れ切ったようで、この日はぐっすり眠ってくれたので、私はお酒解禁しちゃいました。


 洗礼式のための赤ちゃんの衣装を売っているのをよく見かけます。日本からイタリアに着いた翌々日が洗礼式だったこともありますが、何より一日しか着ないのにもったいないと思って、うちは白い普段着を着せました。でも見ているとやっぱりかわいいなあと思います。
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2016年11月 4日
2016年11月 2日
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