息子のバッテーズィモ(洗礼式)

公開日 : 2016年11月04日
最終更新 :

 先日息子の洗礼式を執り行いました。洗礼を受けるということは、その日からキリスト教徒になるということですが、うちは日本で夫も立ち会いのうえ私の地元の神社にお宮参りもしました。日本のお宮参りは「元気にすくすく育ちますように」という意味合いももちろんですが、それぞれの祖父母に晴れ姿を見せてみんなでお祝いする日にもなっていて、宗教的感覚はあまりないですよね。

 私たちの場合洗礼式もそのような感覚で、日本で生まれた赤ちゃんをイタリアの家族や親戚一同にお披露目する機会として設けました。また、国際結婚でもどちらかというと生活は日本文化よりの私たち一家ですが、私としては息子に洗礼を受けさせることで、夫の両親を喜ばせたいなぁという気持ちもありました。

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 日本のお宮参りは電話一本で予約完了、あとは当日行けば10分程で儀式は終了しますが、イタリアでの洗礼式はそうはいきません。私がまだ日本にいる頃に夫が彼自身も洗礼を受けたサンロレンツォ・マッジョーレ教会に出向いて予約をし(毎週日曜日にできるともかぎりません)、代父母となってくれる私たちの友人夫妻に挨拶に行き、ゴッドファーザー(代父)と夫が教会でのレッスンを3回程受けます。我が子に洗礼を受けさせることの意義について、勉強会をするらしいのですが、「神様は信じるけれど教会は信じない」「どうして我が子の宗教を親が勝手に決めるのか」などの論争に発展したりして長引いたりするようです...。

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 そもそも洗礼式とはその文字からも分かる通り、この世に生まれてきた以上原罪によって神の恵みを失っている赤ちゃんの汚れを洗い清める儀式なのです。天使のようなかわいい赤ちゃんたちに向かって、生まれた時点で汚れているなんてちょっとひどいなぁと思いますが。

 育児に追われて何の勉強もしないままに参列した洗礼式。式次第となるお祈りの紙を渡されて、よく分からないままに息子を抱っこして夫とゴッドファーザーと共に祭壇の前に立ちました。後ろには夫の両親と日本から来てくれた私の母を始め、親戚や友達がたくさん参列してくれていました。

 長いお祈りのような台詞をみんなで読んで、神父さんに続いて「アーメン」(そうでありますように)とか「プレーガ ペル ノイ」(私たちに祈ってください)などの言葉を言って、息子のおでこと唇と胸に十字を切ります。

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 ここではロウソクに火をつけてもらっています。これは父親の役目。

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 そしていよいよ額に水をかけられます。これはゴッドファーザーの役目。

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 この日は私たちを含め4組の家族が洗礼式に参列していたのですが、お祈りの途中で寝てしまった二人の子は水をかけられてもちろん起きて泣いてしまいました。そりゃ泣いちゃうよね。寝耳に水とはまさにこのこと、かわいそうに。

 息子は終始「あーうー」とご機嫌な声を出していて、目をぱちくり開いて観察しているようでした。水をかけられた時はおとなしくしていました。お風呂が好きだから平気だったようです。

 イタリアではほぼ全員もともと聖人の名前がついているので、洗礼名はなく、自分の名前の聖人が守ってくれることとなります。うちの息子も聖人の名前です。

 最後に教会の奥の神父さんのお部屋で洗礼証書にゴッドファーザーがサインをします。

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 洗礼式の後は、参列してくれたみんなとパーティー会場に向かいみんなでごはんを食べます。ちょっと結婚式の披露宴みたいな感じ。

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 ごはんの後はケーキを前にシャンパンを開けて、みんなで乾杯。みんなが息子にプレゼントを持って来てくれて、たくさん抱っこをして一緒に誕生を祝ってくれ、本当に楽しいひとときでした。

 息子が大きくなってから自分で宗教を選べばいいと思いますし、洗礼をしたこと自体に私はあまり大きな意義を感じてはいません。ただ、日本で生まれたこの子をようやくイタリアの家族にお披露目できたことが嬉しかったです。そして、映画「ゴッドファーザー」ファンの私としては、本場イタリアの洗礼式をこの目で見られたことにも感激しました。神聖で荘厳な教会で行われたその儀式は、息子が私たち両親だけでなく、一族から守られて生きていくんだという感じがしました。そして、ゴッドファーザーとなってくれた友人と、一生を通して家族のように付き合っていくんだと思うと嬉しくなりました。

 私が日本にいる間に全てを準備してくれた夫に感謝。洗礼式を無事に執り行い、私も夫もほっとひといき。息子はたくさんの人に抱っこされて疲れ切ったようで、この日はぐっすり眠ってくれたので、私はお酒解禁しちゃいました。

 洗礼式のための赤ちゃんの衣装を売っているのをよく見かけます。日本からイタリアに着いた翌々日が洗礼式だったこともありますが、何より一日しか着ないのにもったいないと思って、うちは白い普段着を着せました。でも見ているとやっぱりかわいいなあと思います。

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