サステイナブルなノルウェー料理教室
1月23日、首都オスロにあるノルウェーデザイン建築センター「ドガ/DogA」で、サステイナブルなノルウェー料理教室講座が開催されました。
Photo & Text: Asaki Abumi
「サステイナブル」は「持続可能な」という意味ですが、料理においては生態系を壊さずに、有機栽培、オーガニック栽培などを重視し、地域経済の発展にも尽くすというような意味を持つ、人や環境に優しい、安心・安全な食を目指すことを指します。
今回開催された料理教室では、ほぼ全ての食材が地元のノルウェーで採られた新鮮な魚や野菜、または北欧近隣諸国から仕入れたものを使用しています。
料理教室は有料で、参加者は「健康で安全な料理」に興味のあるノルウェーの人々。主催者は、「フード・スタジオ」(Food Studio)という、オスロにオフィスをもつ料理団体です。
フード・スタジオの哲学は、「良質で正直な食事を信じる人々のストーリーを共有すること」。「的確な環境下で育てられた動植物」、「責任を持って生産された、おいしく、健康的な食材」、「わたしたちにインスピレーションを与えてくれる食べ物」などをコンセプトとしています。
フード・スタジオの料理教室は不定期で開催されており、伝統的なノルウェー料理というよりは、参加者が家庭でも簡単に作れる、いつもよりちょっとお洒落な「いまの北欧料理」です。
ノルウェー人料理研究家や、素材を育成または生産する提供者が、フード・スタジオとコラボしながら、新しいレシピを前菜~メイン~デザートのコースで約3時間以上もの時間をかけて丁寧に教えていきます。
今回の料理教室を取り仕切ったのは、子ども達向けの料理教室を学校などで開催している料理人のカミーラ・ヴィルセ(Camilla Wilse)さん。そして屋内型フードホールとして知られる「マートハーレン/Mathallen」館内にお店を持つ魚屋のフロイヤ・ショーマット(Frøya Sjømat)で働くマリウス・トベートハウグ(Marius Tvethaug)さんです。
今回は前菜のヴィシソワーズをはじめとするスープを2品、メインにノルウェーの新鮮なタラを調理した魚料理、デザートはリンゴを煮込んだヨーグルト沿えのコンポートでした。タラの味付けには、塩の代わりにアイスランドの海草を使用するなど、ちょっとしたコツなども教えてもらいました。
「料理教室」といっても、雰囲気は私達が想像するものとはちょっと違います。夕方18時から開催されていることもあり、とてもアットホームな雰囲気の中、ワイングラスを片手に、おしゃべりしながら、料理人や主催者もレシピを見ながら一緒に調理をします。
皆さん初対面でしたが、「料理好き」という共通点があることから、すぐに打ち解けて、まるで友人と会話をするように仲良く料理の時間を楽しんでいました。
「ノルウェーでは料理教室というイベント自体があまり一般的ではありません。あったとしても、日中に開催されている料理教室はもうちょっと真面目な雰囲気なのかも。リラックスしながら、食材のルーツや、調理方法について、楽しく話していく体験を私達は大事なものと考えています」と、主催者のフード・スタジオ創設者であるセシリエ・ダウス(Cecilie Dawes)さんは語ります。
参加者のひとりであるシッリエさんは、二ヶ月の赤ちゃんがいるお母さん。「今回の料理教室、主人がクリスマスプレゼントとしてくれたものなのよ。彼は今夜は家で子守をしてくれているの。今日習った料理を食べるのを楽しみにしているみたい。私は料理が大好きだから、本当に素敵なプレゼントだわ」とニッコリ微笑んでいました。
料理は、前菜・メイン・デザートの3グループに分かれて行なわれました。調理後は、おしゃれにテーブルコーディネートされた食卓で、みんなでおしゃべりをしながらちょっと遅めのディナーを楽しみます。
参加費は475ノルウェークローネとちょっと高く感じるかもしれませんが、最終的にできあがる料理は高級レストランのコース並みで、その後テーブルで楽しむディナーの時間を考えると、物価が高いノルウェーでは妥当なお値段かもしれません。
参加者の中にはノルウェー語が話せない人もいたので、「じゃあ、英語で会話しましょうか」と瞬時に言語が切り替わったのも、さすが英語を巧みに操るノルウェー人という印象を受けました。最初から最後まで料理をテーマとした「コミュニケーション」が大事な要素となるのですが、ノルウェー人と交流したい外国人の方にとっても、地元のライフスタイルを体感する良い機会ではないでしょうか。会話力が必要とされますが、料理好きの日本人の方にもおすすめです。
フード・スタジオは料理教室以外にもさまざまな食のイベントを開催しています。ちなみに、次回開催予定のイベントは、ノーベル平和センターが会場となる「世界はなにを食べているの?」です(2月14日18時~、有料500ノルウェークローネ)。今後のイベントは公式ホームページやソーシャルメディアでアップデートされるので、気になる方はぜひチェックをしてみてください。
フード・スタジオ/Food Studio
【記載内容について】
「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。
掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。
本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。
※情報修正・更新依頼はこちら
【リンク先の情報について】
「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。
リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。
ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。
弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。