ノルウェーでテロ脅威の解除

公開日 : 2014年07月31日
最終更新 :

最終更新日8月1日

■下記、在ノルウェー日本国大使館による発表となります。

 7月31日,ノルウェー国家公安警察(PST)は,テロ脅威が減少したことから,実施していた警備対策を縮小し,警備をテロ脅威情報を発出した先週木曜日以前の通常のレベルに戻すと発表しました。

 また,ノルウェー警察は,一時的に実施していたシェンゲン域内国境でのパスポートコントロールを取り止めたと発表しました。

■王宮、国会議事堂、オスロ市庁舎の旅行者向けの一般公開は再開されました。

 ノルウェー警察は24日、国内で数日以内にシリアのイスラム過激派に関連するグループによるテロの可能性があることをオスロの記者会見で発表しました(詳細「Yahoo!ニュース個人 ノルウェーで数日以内にテロの可能性 国内で警備強化」)。

 攻撃対象の場所や日時は不明ですが、「近日中」とみているノルウェー警察は、首都オスロをはじめとして空港、国境線沿い、駅周辺を中心に国内全土の警備を強化中。旅行者の皆様は、空港内などで武器を所持した警察が見回りをしている場面に遭遇するかもしれません。

 在ノルウェー日本国大使館では公式ホームページで、主要施設や人の集まる場所に不要に近づかないように注意を呼びかけています。ノルウェー国内のどこが標的にされるかはわかってはいませんが、政府主要関連施設や多くの人が行きかうオスロが特に危ないのではと警察当局は考えているようです。

 現地メディアの25日の報道によると、テログループはノルウェーを対象国にシリアをすでに出国したとノルウェー国家公安警察(PST)は把握しているとのことです。

 旅行者が行く観光施設、オスロ市庁舎、国会議事堂、王宮などはテロの脅威に備えて現在一般公開を取りやめています。旅行予定の方は心配な点はご利用の旅行代理店などにご相談ください。世界的にも大きく取り上げられているニュースなので、海外の英語のニュースサイトでも報道されています。

追記(ノルウェー時間7月26日18時)

■7・8月開催の各地の大規模なイベントでは警備強化などの対応に注目が集まっています。27日より開始される青少年国際サッカートーナメント「ノルウェーカップ」では1500以上のチームが参加予定、4200以上の試合が行われる予定ですが、保護者から心配する声が多いということから、現時点で5チームが出場を取りやめています。

■オスロ中央駅ではテロ対策のためにゴミ箱の使用を一時禁止しています。

■空港などを中心に武装した警官・軍隊が警備にあたっています。

■ノルウェー警察当局は軍隊からも支援を受けて警備を強化しています。

■テロ対策にあたり、帆船レース開催中でベルゲンに大勢の人が集まっていることから、ベルゲン中心地の上空は警察などを除いて一般の飛行機は飛行禁止となりました。旅行予定の方の空の便に影響はないとされています。

■スウェーデンなどの国境沿いでは身分証明書の提示などセキュリティコントロールが強化されています(ノルウェーでは車でスウェーデンまで買出しなどに出かける人が多く、通常はチェックなしに自由に行き来が可能)。

■ノルウェー・デンマーク間の移動で人気のあるフェリーでは、突如厳しくなったコントロールのため、通常身分証明書として十分な写真付き銀行カードが書類として認証されず、パスポートを持参していないノルウェー人が母国入国を拒否されるというトラブルが発生。警察はセキュリティチェックに関して「ここまで厳しい基準は求めていなかった」と審査側との間で理解に相違があったとし、「これからルウェーに帰国予定の人は心配しないでほしい」とメディアを通じてコメント。

■警察当局は「テロが起こる可能性よりも、テロが起こらない可能性のほうが高い」ことを25・26日の記者会見で強調しています。

■ツイッターなどで不正確な情報が広まっており、警察や政府筋からの情報以外には懐疑的になるように、ソーシャルメディアでの情報拡散には警察は注意を呼びかけています。

■通常よりも周囲の状況に気を配り、不審物を見かけたら警察02800番まで、緊急事態には112番まで電話をするように警察は呼びかけています。

■空港ではセキュリティチェックに通常よりも時間を要しているため、オスロ(ガーデモエン)国際空港は時間に余裕をもって空港に着くように呼びかけています。

(情報元:現地メディアのNRK/Aftenposten/NTB/Bergens Tidende/TV2、ノルウェー警察当局公式HP、オスロ国際空港公式HP)

☆ここからは私個人の見解となります☆

 メディアからの情報だけを見ていると事態はかなり深刻に見えますが、かといって外出を控えている人ばかりでもありません。厳戒態勢がどれほど続くか期間も未定のため、起きていない出来事に怯えて、これから何日間も予定していた外出を控えて屋内に閉じこもったり、飛行機や空港に近づくのが怖いから国内外の旅行をキャンセルする必要があるかどうかは個人的には少々疑問があります。ただ、中心地やイベント会場に近づくことが精神的ストレスになる場合は、自分が安心できる場所を優先するとよいかもしれません。

 大人の精神状態は子どもにも伝染しやすいので、注意が必要となるでしょう。メディアでは子どもへの対応に関しても記事を配信しており、「どうして首相が夏休みを返上して仕事しているのか」、「どうして警察がいたるところにいるのか」ということを説明すること、大人がいない場でテレビやインターネットをONにしたまま子どもがニュースを知ってしまうことがないようにすること、メディアを通してではなく大人が子どもに時間をかけて説明すること、テレビ画面などからの情報や映像は最近は不幸なものも多いため海水浴や釣りをしに屋外に行くことなどをアドバイスしています。

 なにぶんテロが実際に起こるのかどうかさえ分からず、可能性のある場所も時期も不明なため、今後の行動は自己責任となりますが、心配しすぎて心が疲れてしまうことのないようにしていただければと個人的に思います。

追記(ノルウェー現地時間7月27日19時)

■記者会見

 27日16時、ノルウェー警察当局とノルウェー国家公安警察(PST)は記者会見を開き、テロが起きる可能性はいくらか「減った」と発表しました。24日以降、国内外から信頼できそうな情報は集まっているが、情報源は発表できないとのこと。しかしながら状況は急変する可能性もあり、全国での警備体制は継続予定とのことです。

■オスロの街の様子

 ノルウェーがテロ攻撃の対象となっている可能性が発表されて4日目となりますが、27日(日)のオスロ中心地にはいつもと変わらず多くの地元民と観光客で賑わっていました。青少年国際サッカートーナメントも開催中のため、コスチュームを着た若者たちの姿や、地図を見ながら歩く旅行客の姿も目立ちました。雷雨の気配もあり、夏休み中・日曜日なので人通りは通常より少なくてもおかしくはないのですが、テロを恐れて「通常より街に人が少ない」とは個人的には言いがたいと感じます。市内にはパトカーが何台か見かけられ、市庁舎の表門前には警察官が1人警備にあたっていましたが、武装した警察官や軍隊の姿は見られませんでした。

■オスロを旅行予定の方

 オスロ市庁舎前にあるオスロ観光案内所内には20人以上の外国人旅行者が集まっており、観光情報を求めて受付前には人だかりができていました。オスロ市庁舎、国会議事堂、王宮はテロ対策のために旅行者向けの一般公開は取りやめとなっていますが、建物内に入れない・ガイドツアーに参加できないというだけで、外から建物を見学することは可能です。王宮では衛兵の交代式も通常通り行われています。オスロ観光案内所の受付スタッフによると、その他の有名なオスロの観光スポットではテロ対策のためにクローズしている場所はないはずとのことです。

■オスロ(ガーデモエン)国際空港

 27日はノルウェー南部各地で激しい雷雨が確認されており、そのため多くの世帯で停電が発生。オスロ国際空港では電気回線の問題により、荷物の運搬に時間がかかっているようです。テロ対策のためにセキュリティ検査にも時間を要しており、空港をご利用の際は時間に余裕をもった行動をおすすめいたします。

■テロが本当に起きるかどうかは誰にもわかることではないので、中心地やイベント会場などに行くかどうかはご自身による判断をお願いいたします。ノルウェー警察当局は通常通りの生活をするよう呼びかけており、在ノルウェー日本国大使館では24日の時点で公式ホームページ上で主要施設や人の集まる場所に不要に近づかないように注意を呼びかけています。

27日のオスロの街の様子

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「安全上の理由のためガイドツアー中止」の掲示が貼られている国会議事堂(写真左)とオスロ市庁舎(写真右)

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写真左:テロ対策のためにビニールがかけられ封鎖されているオスロ中央駅のゴミ箱

写真右:旅行客が行きかうカール・ヨハン通り

oslo_torrism_asakiabumi_norway_4.jpgのサムネール画像

追記(ノルウェー現地時間7月28日)

■現地の報道によると、ノルウェー警察当局は28日の記者会見で、29日より全国での警備体制を縮小することを発表しました。武装した軍隊や警察官の姿が各地で少しずつ減少していくとみられています。今後は人材を情報の収集・分析の強化にあてるとのこと。

■テロの脅威はいくらか減ってはいるが、油断はできない状況。

■国境沿いや空港での警備は継続し、当面はノルウェー国民もスウェーデンやデンマークのスカンジナヴィア隣国へ行き来する場合は、通常は必要とされないパスポートや運転免許証などの身分証明書を持参するようにとのことです。デンマークへ旅行するためにわざわざパスポートがない人は新規で作らなければないということではなく、なくても問題はありませんが、セキュリティチェックに時間を要する場合があるとのこと。

■王宮、国会議事堂、オスロ市庁舎の旅行者向けの一般公開はいつから再開となるかはわかっていません。

Photo&Text:Asaki Abumi

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