9月のお題「就職活動」~転職編~

公開日 : 2011年09月14日
最終更新 :
筆者 : タマ治郎

今月のお題は「就職活動」です。去年の秋に受けたIELTSという英語のテストのスピーキングでもこの事について聞かれました。

私は日本ではアルバイト経験しかないのですが、友達の話を聞いたりして、本当にみんな凄いなぁと、ただただ尊敬するばかりです。

ここオタワは日本で言う霞ヶ関とかそういう感じで、政府機関があちこちにあります。そして大使館も多くあるので、そういったところに勤務する人がたくさんです。私もよく、大使館勤務だとか政府の日本語通訳でもしてるのか?と聞かれますが、全然違いますし、そんな仕事につけれるものなら本当にやりたいです。

職によっても違いますが、政府の仕事は選考に1年以上かかったりするので、気長に待てない人じゃないとイライラしちゃってムリかも(私もですが)しれません。

さて就職といっても、転職だったりインターンだったり、いろいろあるので、今回は2つに分けて書きたいと思います。初めは「転職編」から。というのも実は私、つい2週間ほど前に転職したので、その事と絡めて書いていきたいと思います。

ここカナダでは「転職」は日常茶飯事と言ったらチョット言い過ぎかもしれませんが、すごく普通な事です。日本では就職したらその会社にそれこそ定年になるまで勤める!っていうのが普通だと思うんですが、カナダでは逆です。バンクーバーで働いていた日本の方が、日本で就職しとうと思ったときに、面接官に職歴ですごい驚かれた=引かれた、っという話も聞きました。それくらいこっちでは職歴がどんどん変わるんです。

もちろん1年に何個も職を変えるのは、「問題あり」と見なされてしまいますが、キャリアアップやステップアップの為の転職は誰でもやってることです。私の彼のお母さんも半年くらい前に、図書司書から、政府の図書館のテクニシャンに転職しました。

私もその一人です。私は夏だけオープンするホテルのフロントデスクで3年間働いて、そのあとレストランに勤め出しました。そして今回、やっぱり旅行業界で働きたい!っていう夢を捨てきれず、転職活動を開始しました!以下は私の転職活動の様子です。参考になれば嬉しいです♪

①求人探し

私がよく利用するのはJobBankというカナダ政府が運営している求人サイトです。でもこういうサイトに出していない会社もたくさんあるので、気になる会社がある場合は、公式ホームページのCareerセクションをチェックします。

私が最初、A会社のCareerセクションを覗いたときはこれといった募集がありませんでした。でも諦めるのはまだ早い!やりたい職業や、地域なんかを登録すると、募集が出たときにメールをくれる機能がある会社もあるんです。このA社もこの機能があったのでバッチリ登録しました。そして1週間後くらいに「あなたの条件とマッチする求人があります」というメールを頂きました!

②エントリー

さぁいよいよ応募です。

これも会社によって本当にいろいろです。履歴書を送ってください、っていうところもあれば、会社のフォーマットにそっていろいろ送らなきゃいけないところもあります。ネット応募やメールで送るもの。もしくはその会社やお店に直接出しにいかなければ行けないときもあります。

どこにでも言えるのは「履歴書」と「カバーレター」というものが必要です。

履歴書は、日本のように決まった書式があるわけではなく、皆それぞれのものを作り、手書きではなくワードなどを使って作ります。目安としては1ページから2ページで、名前、住所、電話番号、emailアドレスなどの基本情報。(カナダでは生年月日、性別は必要ありません。)そして職歴や学歴。資格がある人は、これについても書きます。

この履歴書がとっても大事!!!!とにかく自分がどういう仕事をやってきて、どんな役割をしてきたのかを箇条書きでアピールします。そしてカナダの就活でポイントが高いのはボランティア活動です。こうういうコミュニティーサービスの経験があると有利ですので、経験がある人は惜しまずに書きましょう。

そしてカバーレター。これは日本ではあるのか良く分からないのですが、カナダでは重要なアイテムです。簡単にいうと、自分を売り込む作文。とにかく自分がこの仕事にこんなに向いています!こんなプロジェクトに携わってきました!私を雇わなきゃ損ですよぉ的な勢いでアピールする作文です。目安としては1ページで、履歴書に書ききれなかった業務内容や学校で学んだこと、そういった経験がどのようにこの仕事に有利で活かせるのかを書きます。

このカバーレター、会社によっては要求してこない所もありますが、あったほうが良いです。要求していなくても履歴書の前につけて応募することをオススメします。

さて、私の応募したA社ですが、ネットでの応募で、まずは簡単な条件チェックがありました。旅行業界での経験があるか、接客業はしたことがあるか、等です。

そして履歴書とカバーレターのアップロード。メールで応募できる場合は簡単なのですが、ネット応募の場合はファイルをアップロードしなければいけません。そんな時、履歴書を罫線やフォントをいろいろ変えたものを用意してる場合、結構面倒なんです。履歴書を作る時は、フォントを統一したプレーンな履歴書と、いろいろ組み合わせた履歴書、両パターン作っておくと便利です。

③待つ。ひたすら待つ。

ここでのアクションは2つあります。本当にその職に就きたい場合、フォローアップというものをする人もいます。これは応募してから数日後に担当者に電話したり、そのお店にもう一度出向き、自分の書類がきちんと手に渡っているか、他に審査の手助けになれるような事はないか、と聞くことです。私は一度もしたことはないです(笑)でも今働いているレストランでは10人に一人くらいの割合でフォローアップの電話をしたりしてくれる人もいます。雇う側としては、やる気を感じるというか、気にかける率はアップするかと思いますが、これで全てが決まる訳でもありません。逆にかけてくる時間が丁度忙しい時間帯でマイナスイメージになったりって事もあります。

④電話面接の連絡

応募して1週間くらいは毎日のようにメールをチェックしたりしていましたが、音沙汰がないので諦めて夏を満喫していました。

そして忘れた頃に本社から電話が!!!電話面接を次の週にしたい、との事。仕事中だったのであんまり騒げなかったのですが、とにかく嬉しく飛び上がっちゃいました。

カナダはとりあえず広いので(笑)電話面接が一般的に行われています。同じ州や市の場合は電話面接が無かったり、電話面接と面接の両方だったりしますが、州をまたいでの就活では電話面接だけで終わる場合もあります。この電話面接が1回だけの時もあれば2回、3回とある時もあります。

⑤電話面接

電話面接まで1週間ほどあったので、彼に毎晩インタビューの相手をしてもらって練習しました。私は本当に電話面接が苦手!!!というのも、相手の顔が見えないので、向こうがどう思っているのか、自分の回答に満足しているのかなどがわかりにくいし、ジェスチャーを交えて話すことが出来ないからです。

電話面接では、仕事内容の詳細、給料や就業時間の説明から始まり、この会社を受けた理由や、転職の理由、仕事のやりがいなどを聞かれました。最後に、審査の説明があり、電話面接に通った場合だけ、面接の連絡がくるとのこと。そしてプロフェッショナルリファレンスが2ついる、という説明もありました。

このリファレンスというもの、初めて耳にする方もいっらしゃるかと思います。簡単にいうと、推薦人のことです。新しく仕事を探す、インターン、転職、どんな場合にもリファレンスを要求してくる企業は本当に多いです。これは現在や昔の上司や同僚に、応募者の仕事におけるパフォーマンスを確認するものです。

私もマネージャーという立場から、リファレンスを頼まれます。内容は「○○さんはあなたのもとで働いてましたか?」「彼女の仕事に対する姿勢はどうですか?」などです。もちろんリファレンスに上司などを使う場合、先に知らせておく必要があります。これが転職者には大問題!私はオーナーには内緒で転職活動をしていたので、まさかオーナーに私を推薦してくれ!なんて頼めません。仕事場の人に相談したら、こんな面白い、でもすごく的を得ている答えが返ってきました。

「今付き合っている彼氏に今晩ある人(Bさん)とデート行くんだけども、もしそのBが私が良い彼女か聞きたいって言ったら、あなたに電話で確認しても大丈夫??あ、でももしこのデートが上手く行かなかったりBが思っていた男像と違ったら、あなたのところに戻ってくるから、その時はよろしくね。」

って言ってるようなもんだと。でも本当にそういうことなんです。もしも面接を受ける会社に合わないと感じたり、面接に受からなかったら、今の職場に何事もなかったかのように働き続けるわけです。でも上司(このたとえでは彼氏)は私が転職(浮気)したってことがバレてるわけです。

もちろん、転職にサポート的な上司もいます。私の友達が転職する時、彼女の上司は面接の練習や履歴書のチェックもしてくれた、と言っていたので、本当に人それぞれだと思います。

⑥待つ・Thank you letter・フォローアップ

面接のあとでのアクションも人それぞれです。フォローアップの電話をいれる人もいれば、Thank you letterというのを送る人もいます。これは「電話面接の機会をありがとうございます。私はますます御社に興味を持ちましたし、もっとこの仕事に向いていると感じます。」のような感謝&アピールのメールです。私は、インタビュアーのメルアドが分かる場合はメールしますが、電話はしません(笑)電話嫌いなんです。

1週間はかかると言われていたのですが、3日後に支社から電話があり、面接の誘いが!!!丁度仕事が休みで寝てたので、最初は何がなんだか分からなかったのですが、徐々に実感が!とりあえずペンと紙を探し回ってあたふた...これからはベット際に用意しておくべきですね

⑦面接

さぁいよいよ面接です。日本ではリクルートスーツとかいろいろ決まりがあるみたいですが、カナダではそんな決まりはありません。もちろんジーパンなんかで行ったらアウトでしょうが、スカートにシャツとかパンツスーツとか自分の好きなようにドレスアップ出来ます。

suit.JPG

丁度サマーセールでGet出来たベネトンのYシャツと黒のスカート。私は156cmと小さいので、セールの時は余り物サイズが安く手に入りとっても便利!!!

黒のスカートはle Chateauというお店で買ったもの。ここのお店ではドレスとかスーツ系が多く揃っていますが、何せ背が高い人向け!サイズが合ったことが奇跡です。

今回はバスで目的地まで行こうと思ったんですが、なかなか来なくて(オタワのバス、OCtranspoは本当に時間にルーズ!!!)タクシーを利用しました。。。痛い出費。です。

面接は人生初めての3対1!!一人は人事部、一人はチームリーダー、そして書記の3人。書記の方は最後まで何も質問して来なかったので実質2対1でした。

まずは人事部からの質問。「どうしてこの会社で働きたいのか?」「今までの中で一番の接客は何か?」「機嫌を損ねいているお客様への対応の例」

この最後の2つは STAR method (S=Situation T=Task A=Action R=Resurt) とも言われている質問。どいうい状況で、どういう目標を設定して、何を自分はやって、どんな結果になったのか?という一連の行為を聞く質問です。

つまりここでは、一番の接客をした時を思い出し、その状況の説明、何を自分が考え行動したのか、そしてお客様の反応という流れで答えました。

このSTAR質問は、面接で本当に良く聞かれるので、その場であわてないよう、仕事での一コマを準備しておくことをオススメします。

その後は、チームリーダーからの質問で、もっと細かい質問「○○というソフトは使えますか?」「今までの経験をどのようにこのポジションで活かせますか?」など仕事に関する質問でした。

そして質問の時間。私は「マネージメントからフィードバックをもらえる機会は多くあるのか?」という質問をしました。

ここでの質問はとても重要です。「特にありません。」といえば、この会社・ポジションに興味がないのか?ともとられてしまいます。逆にお給料やボーナスについて聞くと、この人はお金にしか興味がないとも思われてしまいます。

聞くと良い質問の例は「昇格出来る環境は整っているか?」「具体的な一日の流れを教えて下さい。」などです。私は自分がもっとスキルアップ出来るような環境なのか知りたかったのでフィードバックに関する質問をしました。と、いうのも今まで働いてきた所は、そういう機会が全くなく、シーズンの終わりにいきなり「長井は○○がダメだったから、ボーナスはこれだけ!」と言い渡される事ばっか...もっと前々から「ここを伸ばそう、改善しよう」と言われていれば、努力はしたのに...と思っていたからです。

トータル20分強の面接でしたが、終わった途端ドッっと疲れが出ました。人生で一番とも思えるくらい緊張して朝も昼も何も口に出来なかったくらいだったので。よく緊張で喉が通らない、って言いますが、まさにそれでした。23年目にしてようやく味わうこの感じ。うぅ~ん最初で最後にしたい(笑)

⑧待つ・フォローアップ

さぁ転職活動ももうすぐ終わりです。面接の後には、今まで書いてきたようにフォローアップをする人もいます。もちろん私はまたしていません(笑)

また、この間に会社側はリファレンスチェックをしたりする場合もあります。リファレンスを会社に渡した人は、リファレンスになる人に「電話が近いうちに来るかもしれませんよぉ。」と連絡すると親切です。

私は電話面接でリファレンスについて聞かれたのにもかかわらず、面接では何もその事については触れられなかったので渡しませんでした。

厳しいところは犯罪証明を送って下さいと言われる場合も。

⑨ジョブオファー

他にも面接する人がいると言われてたし、質問に上手く答えられなかったので、もう駄目だろうなぁと思ってる矢先、次のに日に本社から電話が!!!!

「嬉しいニュースよ、あなたにジョブオファーをしたいの。」とのこと。昨日で今日の急展開にビックリでしたが、本当に嬉しかったです。

私の場合は電話ででしたが、メールで来る場合もあります。またこのオファーは書面になっていないと効力を発揮しない、とも言われています。電話で伝えられたとしても後日メールや書面で、公式なオファー(formal/official offer)が来るのが普通です。

この会社はちょっと特殊で、このオファーが来てから、犯罪チェックなどを行うとのこと。ここでひっかかると、オファーは白紙に戻ります。なのでまだ仕事は辞めないでね、と。なので100%喜べる状況でもないこのうやうやしさ。日本でいう内定っていうのはこういう感じなんでしょうか?

⑩雇用締結・退職届

1週間もしないうちに、全てのチェックが終わったので雇用書にサインをして下さい、との連絡が。これでやっと100%喜べます(笑)

そして今度は退職届の準備です。カナダでは2 weeks noticeというのが慣例となっていって、退職したい日の2週間前には最低でも届け出を出さなければいけません。これが法律で決められている訳ではありませんが、円満な退社、上司にこれから先のリファレンスになってもらいたい場合、などにはやはりこの2週間は守った方が良いです。

今の職場のオーナーとはすごく仲が良いし、最近スタッフが激減してタイミングが悪かったので、切り出しにくかったんですが、オーナーも喜んでくれて無事に退職出来そうです。私は口頭で伝えただけですが、書面を要求されることもあります。

すごく長くなってしまいましたが、カナダで転職しようとしている人の力に少しでもなれていればなぁと思います。

日本と違う事はやはり、履歴書の書式、カバーレターの重要性とリファレンスだと思います。あと退職までの期間が2週間というのも早いのかなぁと思います。

ちなみにあんなに悩んだのに最後の最後までリファレンスチェックはありませんでした。何の脅しだったんだぁ???

新しい仕事は来週の月曜から始まりますが、ドキドキです!!!

筆者

カナダ特派員

タマ治郎

2009年よりカナダの首都オタワへ。人生の半分以上をカナダで過ごしてる事になりました。

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