今年は違ったパリの夏
基本、気まぐれなパリの天気ですが、今年は例年と比べ6月を過ぎても寒い日が続きました(いつものイメージでは6月に暑い日が多く、7月は落ち着き、8月は涼しくなり始めます)。その代わり7月半ばに入ってから、とても暑い日が続くなど若干変則気味でした。今はもう、ずいぶん涼しくなり過ごしやすい日が続いています。
今夏もう一つ特徴的だったことと言えば、同性婚が合法化されたことに伴うゲイ・マリアージュ議論の盛り上がり。市内では連日大規模なデモが行われるなど、フランス国民が賛否分かれて議論が続きました。
今、私が借りている部屋の家主(女性)も、普段会う時はそれほど政治的な話はしない人ですが「今週末は私もデモに参加するわ。同性婚は本人の意思だから良いと思うの。ただ、同性婚に伴い同性カップルに認められた子供の養子縁組については反対よ。あなたはどう思う? 」といつもより熱を帯びていました。この盛り上がりの源泉はどこなのでしょうか。
フランス人は自分勝手です。不当な扱いを受けた時は退きませんし(一方で不当な主張もしますし)、自分が不利益を被りそうな場合、穏便に済ますという考えはありません。意見もはっきり言います。それゆえ理不尽なことでペースが乱れる日々に、スムーズにことを運びたがる私たち日本人は「またか......」とうんざりしてしまいます。
一方でそれは、社会に多様性と活性を生みます。世間には様々な人がいます。見た目、考え方がマジョリティに属している人もいますしマイノリティの人もいます。世界の多くの国は民主主義で動いています。多数を占める人が社会のスタンダードを作っていきます。だからこそ小さな意見が埋没せず、声を上げられる雰囲気があることが大事ではないでしょうか。普段はフランスにムカつくことが多い私ですが、そういう社会をあらためて今夏「いいな」と思いました。
(8月お題"今年は違った○○の夏)
筆者
フランス特派員
守隨 亨延
パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。
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