パリで注目すべき日本人パティシエのスイーツ

公開日 : 2014年05月30日
最終更新 :
IMG_1148.jpg

フランス料理界を語る時に、忘れてはならないのが日本人の存在。レストランだけでなくパティスリーやショコラトリーでも日本人料理人の活躍は著しく、ジャパニーズ・スイーツの特徴は、フランスのデザート界にアクセントを付けています。

例えば素材について、一昔前だと、それは抹茶でした。近年では(スイーツに限りませんが)柚子がよく使われるようになりました。素材以外にも、日本人パティシエが独自の感性で生み出す、伝統的なフランス菓子に注目が集まっています。

その中でも今、代表的なのがMORI YOSHIDA(モリ・ヨシダ)です。店内はサントノレやムース・オ・ショコラなど、フランスの華やかな定番スイーツが並びますが、口に運んでみると味はシンプルかつ繊細。無駄なものを無くそうとすると、とかく味が単調になる恐れもあるのですが、ここのガトーは絹糸のような美しさがあります。日本風のショートケーキも扱っており、特にスポンジの口当たりが良く、同店の特徴が凝縮されている印象でした。

店舗を構える場所も、パリで随一の高級住宅地である7区。ここの住人たちは舌が肥えているため、下手な商品を出す店は続きません。パリの中でも食のレベルが高い区です。

モリ・ヨシダのショートケーキに代表されるように、日本の素材を取り入れるだけでなく、日本のスイーツをフランス風にして売り出すパティスリーも最近増えてきました。その1つがシフォンケーキを扱うCiel(シエル)です。

フランスのパティスリーを巡り気付いた人もいるかもしれませんが、伝統的なフランス菓子にシフォンケーキ(スポンジを使ったケーキ)は、ありません。基本的にムースベースで作られています。シエルはフランスでは馴染みが薄いシフォンケーキを、全面に押し出したお店です。

以前、他媒体で取材した時にシエルが強調していたのは、口に入れたときのテクスチャー。バターを多く使い、ムースを主体とした重めのフランスのケーキとは異なり、シフォンケーキは軽さが特徴です。見た目は大きくてもマシュマロのように食べられる、さっぱりした感触が、フランス人の好奇心を引いているそうです。

持ち帰りの他にも、店内はバーカウンターのようなサロン・ド・テになっており、昼はお茶、夜はお酒に合わせてシフォンケーキを堪能できます。

一方で、パリで本格的な日本の味を欲した時はどこがいいのか? その際はYamazaki(ヤマザキ)がおすすめ。名前の通り、日本の山崎パンがパリで展開するパティスリーです。日本のショートケーキからフランスのガトーまで一通り味わえ、サロン・ド・テも併設しています。

日本と比べて、フランスのスイーツは甘いと感じる人も多いと思います。ヤマザキの担当者から聞いた話しでは、フランスではデザート以外の料理に砂糖を使わないため、そのため糖分を食後のスイーツに求めるそうです。一方で日本料理は、デザート以外の調理にも砂糖を使います。その違いがスイーツにおける甘さの程度として出るのだとか。

甘さにもその国の作法が反映されているんですね! 

(5月お題"今はやりのスイーツ")

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。