フランス人は親切なのか、わがままなのか

公開日 : 2014年11月30日
最終更新 :
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フランス人は正直です。自分の思ったことは周囲がどうだろうと構わず主張しますし、自分に都合が悪いことは、なるべく自分には火の粉が被らないように弁解します。フランスへ来てからしばらくは、このフランス人の性格に戸惑い、嫌な気持ちになることも多くありました。

それは私が今まで育った日本の環境と、まったく違うからです。なぜフランス人は、分かっていても空気を読まないんだろう......。ところがフランス滞在も年数が経つにつれて、長所も見えてきました。長所が見えてきたというより、短所が長所でした。

フランス人は自分の気持ちのままに行動します。例えば困っている人がいたとします。「忙しいから」「自分が行かなくても誰か気にかけるだろうから」「周りの目が気になるから」と素通りしてしまう日本人は、多いのではないでしょうか? 

フランス人は自分が気になると、(もちろん素通りする人もいますが)、日本と比べれば多くの人が即座に声をかけます。ベビーカーを押して階段にさしかかると、誰かが必ず運ぶのを助けてくれますし、年配者には積極的に席をゆずります。

うれしい時はうれしがり、悲しい時は悲しく、不平不満がある時は怒ります。自分に正直で、周囲がどう考えるかは二の次です。ありのままでいるし、ありのままにいられる人たちです。

二国間を行き来していると、「日本とフランスどちらがいい?」と聞かれることも多いです。私はいつも「どちらも結局は同じ」と答えます。完璧な国なんてありません。

日本はフランスと比べ、いろいろなサービスが行き届いていますが、翻せば自分自身もそのようなサービスをしなければいけません。一方でフランスは、サービスが不足している点も多いですが、自分たちも必要以上のことはしなくて良いと言えます。長所は短所であり、短所は長所です。

この国では、心があたたかくなる話は多いです。そして悲しくなる話も、怒りを覚える話も多いです。自分に正直に生きる。それがフランスの良さだと思っています。

(11月お題"あったかエピソード")

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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