手づくりを楽しむこと:2 ブラジルの生地で洋服を作る竹内享子さん

公開日 : 2014年07月18日
最終更新 :

前回、造形家Paulaの期間限定ショップ(前回の紹介記事はこちら)について書きましたが、今回は日本人主婦代表を!

竹内享子さんは小学4年生と中学2年生の娘さん、そしてご主人と共にレゼンデに暮らしています。

手芸関係なんでも得意な彼女ですが、特に好きなのは洋裁。ブラジルのレゼンデで売られている洋服というのは、好みのデザインやジャストサイズを見つけるのが難しく、だったら「作っちゃう!」というのが竹内さんです。

ブラジル人のファッションやここでの主婦の生活の話を織り交ぜて彼女の作品をご紹介させていただきますね。

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こちらは白の花模様が刺繍になっていて凹凸感がある生地。ちょっとしたお出かけ用に、バッグとセットで作りました。竹内さんは日々、手芸店を回ってお気に入りの生地やパーツを発掘しています。

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ひとつは白い麻、もうひとつはコットンのボーダー柄とデニム生地を合わせた、ふんわりブラウス。襟や裾、胸元、バッグのポケットに縫い付けたクロッシェ(カギ網みのレース)もかわいいですよね。

ブラジル人の基本ファッションはピタピタTシャツとピチピチシーンズ。夜のお出かけ時には豹柄や金キラに変身して露出度高し...。だからこういうナチュラルな服、レゼンデにはないんですよ。

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クロッシェを縫い付けた服といえば、この黒の麻のワンピース。麻素材とクロッシェを組み合わせた作品、個人的に好み!ちらりと見える襟ぐりや袖ぐりの裏のバイヤステープ使いも竹内さんのこだわり。

作るのに時間がかかるクロッシェはランチョンマットとして売られていたものを購入しました。ブラジルではクロッシェは人気がある手芸で、販売している人も多いのです。細部まで自分ひとりの手作りにこだわるのではなく、竹内さんはもともとかわいいものを素材として取り入れる素直な人。

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そして、生地の柄を部分的に切り取って他の生地と合わせるのは、彼女の得意とするところ。ブラジルで売っている布の魅力はなんといっても、「華やかな柄」だと竹内さんは話します。日本ではなかなか見つからないようなブラジルらしい柄を見つければ即購入。全柄にしてしまうとうるさい場合は、こうやってポイントとして使っています。

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もちろん、生地の柄をいかして全面に使うことも。

また、竹内さんは布を買う時点で余分に買いすぎないことを意識。布を裁断するときにも余りがでないように工夫していますが、それでも残った端切れはスカーフやシュシュ(ヘアゴムを布でくるんだ髪飾り)に。「布は一切無駄にしない」という竹内さん。彼女ほどのペースで洋服づくりを楽しんでいるからこその、経験と節約です。

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食料品の買い出し(ブラジルのレジ袋はすぐに破けます)や教材が重い語学学校へ行くのは手作りのバッグ。せっかくブラジルにいるんだからと、ブラジルらしい生地を組み合わせたり、ブラジルの手芸雑誌から型紙を探してパッチワークをしたり。普段使用の作品からは特に、ブラジルでの生活を楽しもうとするパワー全開な竹内さんらしさを感じます。

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変わってこちらはエレガントに。アルゼンチンのブエノスアイレスを旅行した時に購入したソファー用の生地でコートを作りました。生地の色柄が落ち着いているところから、ブラジルとアルゼンチンの違いを感じてしまいます...。

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こちらは、2人の娘さんの誕生日会用に作りました。コットンパールのアクセサリーも手作りです。

竹内さんは現在のところ、販売などはしていません。日本でもハンドメイド作品をネット販売する主婦がとても増えていますよね。竹内さんは前回紹介したPaulaの期間限定出店のような「仲間ショップ」は理想的だと話します。

趣味は趣味のままの方がいいこともあれば、世に出して試してみたいという気持ちもすごくわかります。家計を助けるために刺繍や編み物をする女性もいます。いずれにしても、素敵だなと思います。だって自ら時間を作りだすことって、簡単なことじゃないですから。

美術やデザインの学校で基礎から学んできた方や、職人さんに何年も師事してプロになった方々は、どこから見てもかっこいいです。でも、日の目を見なくとも、工夫しながら作り続けてきた女性達の手仕事だって、すごくかっこいいと思います。だから世界中に女性の手仕事があるんだなと、自分が母親になってから思うようになりました。

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上の写真はPaulaのアトリエで遊ぶ彼女の3人の子供と我が長男。Paulaの場合は4年制の美術大学を卒業していて、約30年前から制作を始めたものの、3人の子供の出産と育児や、夫の転勤によるアパート暮らしで制作のスペースがとれない時期がありました。末の子が幼稚園の年少に上がった今、「やっと、またこの世界に戻れた」といいます。

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竹内さんの制作時間はたいてい夜中。すべての家事を終えた夜10時頃から一晩で1着作ってしまいます。長袖のワンピースで3時間程度。すっごく速い! でも夜10時からって...。私はぐったりしていて子供と一緒に寝落ちしてしまう時間です。

昼間時間がとれないのは、なにをするにも日本の数倍の時間がかかるから。食料の買い出しだって、日本のように一軒のスーパーで全てが揃うわけではなく、肉はこの店、野菜はこの店と離れた場所を何件も回らないといけません。しかも徒歩で。

さらに現地校(全授業がポルトガル語)に通う子供たちの勉強のフォローも母親の負担です。ここにはインターナショナルスクールも日本人学校も日本語補習校もありません。学校への送り迎えも、日本にいる時にはなかった手間。

洗濯(外干しできないからなかなか乾かない)、掃除(網戸がないからか砂埃がひどい)、3度の食事作り(学校給食なし)! おっと、だんだん私が感情的になってしまいました。

とにかく、日本の女性も世界中の女性も何かしら抱えながらうまくやりくりして手仕事を楽しんでいるんですよね。それを想像するとちょっと楽しくなってくるのです。

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