コロッセオの修復工事が始まりました!

公開日 : 2013年10月11日
最終更新 :

今日の午後に撮ったコロッセオ(Colosseo)です!「コロッセオがあるうちはローマも存在し、コロッセオが滅びる時、ローマも滅び、ローマが滅びる時、世界も滅びるだろう。」と言う有名な言葉がある様に、昔の人にとって、それはそれは巨大で存在自体がミラクルだったコロッセオです。

ローマ特派員なのに今までブログで一度も扱っていなかったことが嘘みたいですが、今日は初めてコロッセオについて書いてみたいと思います。

この時期のローマ観光でちょっと残念なのは、修復費用を援助してくれるスポンサーが見つかったので、長いこと念願(悲願)だった修復作業についに入り、最上段まで綺麗に残っている方の北側面が、作業用の足場がかかって全く見えない状態にあります。

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↑今年の春頃に撮ったコロッセオ。

コロッセオとは"円形闘技場"、すなわち古代ローマ人の娯楽の殿堂で、この中で剣闘士が剣闘士同士やライオンなどの猛獣軍団と死ぬまで戦ったり、死刑囚同士が(人間対人間)で戦ったり、キリスト教の信者を豹やクマなどの猛獣に襲わせてずたずたにさせたりして、死闘を繰り広げていたという、とにかく血生臭い歴史のある場所です。

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↑コロッセオ航空写真。

コロッセオは紀元80年に、ローマ皇帝ティトゥス帝の時代に完成すると、オープニング記念イベントとして100日連続で人間対猛獣との死闘が繰り広げられ、5000頭が犠牲になりました。痛々しいですね。ところが市民は大熱狂しました。オープニング当日は猛獣大行進というもので、キリンや象などの1万頭の動物が運ばれてきて、人間に仮装行列(歴史上の人物)させられて登場です。

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↑現代では多少、破壊されていますが、これが完成当初の姿。

約5万人を収容できた闘技場は、しばしば中央の舞台の床の上にアフリカのジャングルやサバンナ風に舞台装飾を施すなどして、一見、"猛獣と人間の戦い"という演劇を鑑賞しているみたいですが、出演者は本当に死んでしまうので笑い事ではありません。

猛獣狩りに飽き足らなくなると、今度はアレーナの木の床をはずして、地下部分に水をはり、模擬海戦も行われました(これも死闘)。これは死刑囚2万人が海の兵士の格好に擬して、2組に分かれて船に乗り、投石機を打ち合ったり相手の船に乗り込んで斬り付けたりし、水中に船が沈むまでの殺し合いを見て楽しむもので、歴史上にあった有名な海戦を真似しています。

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↑今日のコロッセオ。北側面の修復中です。

ローマ史には「パンとサーカス」という言葉がありますが、"小麦の配給と楽しい催し!"を市民に提供し喜んでもらって人気票を稼いだりして、問題だらけの政治から目をそらさせることはローマの政策の一つだったんですね。

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17歳以上の"ローマ市民権所有者"であれば、一人一ヶ月32.5kgの小麦が帝国から無料配給されていました。この小麦を貰う資格"小麦受給証明書"を施設の入口で掲示すれば、ローマ帝国内で行われるスポーツ試合観戦(現代なら野球やサッカー?)や闘技会(相撲やボクシング?)や音楽会(歌手のコンサート?)、演劇鑑賞(映画や舞台、歌舞伎とか?)などの全ての娯楽&催し物に無料で入場できました。多い時代では2日に1回位、近所で何かしら楽しいイベントがありました。

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困窮していた市民には、さらに一年に5ヶ月間ベーコンの無料配布があり、おかげで当時100~160万人いたローマ市民は誰も飢え死にすることがなかったといわれています。

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闘技場内の席は、一番舞台が良く見える席がもちろん皇帝の席で、その他には軍人の席、平民の席、教師の席、女性の席、奴隷の席、立見席(最上階)など割り当てられていました。

日差しが暑い時などにも見世物を楽しめるよう、わざわざ"テント張り隊"(海軍)が待機していて、雨が降ってくると、がば~っと巨大なコロッセオの天井を覆うテントを張っていたのです。今でもテントを張る為に使用していたひっかけ台が残っています。

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↑入場者の列。今日はまあまあの長さです。

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↑最寄り駅は地下鉄B線、その名もコロッセオ駅。駅から出ると目の前です。

コロッセオは中世以降にローマ市内の別の建物(私邸、公邸問わず)を建てるために石材として持ち出されてしまったので、現在の様な最上階まで残っている面もあれば、2階までしかない部分もあり、完璧な円形では残っていません。

修復中ですが、一度に全周は修復をしないので訪れてみて下さいね。中に入場すると、階段(エレベーターでも)で上まで上がることができますので、その大きさにびっくりすると思います。内部にはトイレやブックショップもあります。

コロッセオの入場券は正面にあるフォロ・ロマーノ/パラティーノの丘との共通入場券(2日間有効)ですので、入場の列が短そうな時を見計らって入場してみて下さい!

最後になりますが、コロッセオを訪れる前に、映画「グラディエーター(剣闘士)」を見てから来られるとコロッセオが身近に感じられて面白いと思います。(主演はラッセル・クロウで2000年公開の映画)

また、コロッセオは円形だと思っている人がとても多いのですが、Google Map などの衛星写真で見ると、実は楕円形であってまん丸でないことがわかります・・・。

インフォメーション:

住所  Piazza del Colosseo コロッセオ広場

オープン 8時30分~日没の1時間前

休み    なし

入場料  12ユーロ。(フォロ・ロマーノの遺跡とパラティーノの丘と共通券)内部で展示など特別展がある場合は展示見学もOKで料金は多少値上げします。

筆者

イタリア特派員

阿部 美寿穂

ローマからイタリアの日常やイタリア旅行に役立つ情報などをお送りしています。

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