古代の夢の跡、映画「ベン・ハー」のロケ地チルコ・マッシモ。

公開日 : 2014年06月04日
最終更新 :

今までこちらでチルコ・マッシモと軽く数十回は連発してきましたが、きちんとご紹介したことがありませんでした。チルコ・マッシモっていったい何なの? と思っていらっしゃる方もいるかと思います。

そこで今日は地下鉄のチルコ・マッシモ駅(B線)もあり、ローマでは何かとキーポイントにもなるチルコ・マッシモ(イタリア語 Circo Massimo / 古代名ラテン語 キルクス・マクシムス Circus Maximus)についてお届けしたいと思います。

映画に詳しい方なら、昔ここで「ベン・ハー」(1959年)の撮影が行われたことをご存知かもしれません。

映画で主人公のユダヤ人ベン・ハーを演ずるのはチャールストン・ヘストン。ユダヤ人の貴族出身のベン・ハーが運命に翻弄され、ローマへ行くことになります!映画史上における最高傑作の一つといわれ、アカデミー賞にて11部門を獲得しこの記録は未だに破られていません。

チルコ・マッシモは簡単にいうと、パラティーノの丘とアヴェンティーノの丘の谷間にあるだだっ広い楕円形の広場で、古代に戦車競技の行われた大競技場の跡です。

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↑ この横に長い広場がチルコ・マッシモ。

脇にパラティーノの丘を望む。丘の上にずらっと連なるのは全部遺跡。皇帝達の宮殿の遺構です。

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↑ チルコ・マッシモには柵などはなく、誰でも入れます。ジョギングをしたり楽器の演奏(練習)をしたり、体操をしたりする人達が多くいます。

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↑ チルコが造られたのは紀元前7世紀の終わり頃にローマを統治していた王様タルクィニウス・プリスクスの治世下で、ローマの国力が衰退していく549年を最後にその役目を終えました。

昔の人達の主な娯楽といえば、この様な競技の観戦などです。この競技場が造られたのは大昔ですが、本格的に楽しもう!と整備が開始されたのは紀元前329年からのことです。

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↑ 当時の様子を再現した模型です。しかしローマはいやに都会ですね。長さ約620m、幅約200mの巨大な場内には15~30万人が収容でき、馬の引く戦車による競争が飽きることなく繰り広げられました!

写真中に見えますでしょうか、真ん中にはスピーナ(中心標)といわれる分離帯が置かれており、ブロンズ像の7頭のイルカと7つの卵を倒して周る数を数えます。

スピーナの中央には、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスがエジプトから運んできた高いオベリスク(紀元前13世紀のもの)がそびえていました。(1587年にローマ教皇の "ローマの町をきれいに整備しよう計画" により移動させられたので、現在ポポロ広場に立っているものがそれです!)

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↑ 戦車競技のかわいい色大理石パネルを探してきました!

2頭立て2輪馬車に乗って競技する執政官を模ったイメージ図です。(4世紀前半の作品。エスクイリーノより出土。国立ローマ博物館所蔵)

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↑ 逆に、パラティーノの丘に登ってチルコ・マッシモを見下ろしてみました。細長いだだっ広いスペースです。夏場は広場周辺に夕方遅くまで人がたくさんいますが、冬は夕方は閑散としていることもあるので、昼間にお出かけになるのが良いかと思います。

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↑ これは別の時期に撮影した写真です。

チルコ・マッシモから見る皇帝達の住居跡には、夕暮れ時にオレンジ色の日が射してとても美しいです。

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↑ チルコ・マッシモを眺めることが出来るように、周囲にベンチや水飲み場があります。

まとめとしては特別何もない広場ですが、チルコ・マッシモから眺めるパラティーノの丘は(この写真の様に遺跡が目の前に)美しいです。この場所は古代はものすごく人で賑わっていて、ローマはたいそう繁栄していたんだろうなぁなどと考えると、物悲しくなってきました。せつない観光スポットです。

筆者

イタリア特派員

阿部 美寿穂

ローマからイタリアの日常やイタリア旅行に役立つ情報などをお送りしています。

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