貴族トルローニア家のユニークなヴィッラ:フクロウちゃんの家に行ってみよう!

公開日 : 2016年12月10日
最終更新 :

今日は、緑多い市民公園として誰でも訪れることが出来るヴィッラ・トルローニア(Villa Torlonia)をご紹介したいと思います!このノメンターナ街道沿いにあるヴィッラは、ローマ市内にある近代イタリアの歴史を刻む代表的な庭園の一つで、広い園内にはトルローニア家の邸宅、レモン栽培場(カフェ)、劇場、フクロウの家など個性的な建物が点在し、その内の幾つかは市営美術館として一般公開されています。

全ての施設をご紹介したい所なのですが、ブログのスペースの関係で本日はフクロウの家を選んでお届けします!

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↑ この19世紀のヴィッラは、"ローマのパトロンの最後の事業"とも呼ばれ、当時、飛ぶ鳥を落とす勢いであった銀行家ジョヴァンニ・トルローニアにより造られました。設計は、建築家ジュセッペ・ヴァラディエによるものです。銀行家の彼はローマ貴族に金貸しを行っていたのですが、借り入れた人が期限までに借金の返済が出来ずに彼により没収された絵画・彫像などの美術品は、2年間で8000点以上にも上ったとされます。ビジネスで成功した男でした。

この写真は園内の入口を入ってすぐの場所です。園内には沢山のヤシ科の植物が植栽され、南国風のムードでいっぱいです。オベリスクは、ジョヴァンニ・トルローニアが1842年に息子アレッサンドロより贈られたものです。

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↑ 園内マップの看板です。少し見にくいですが、ヴィラの全体像と園内に点在している施設等のイメージが出来るかと思い撮影しました。本日ご紹介するフクロウの家は4番の場所にあります。

現在、ヴィッラ・トルローニア内には3種類の美術館があります。

カジーノ・ノビレと言う建物の中には、Villa Torlonia Museum(ヴィッラの美術館)と Museum of the Roman School(ローマ派の美術館)の2つの美術館が入っています。

カジーノ・デイ・プリンチピには、内部はローマ派の資料館(Archive of the Roman School)及び、特別展の展示会場として使用されています。

そして3つ目は、今日ご紹介するカジーナ・デッレ・チヴェッテ(フクロウの家)の美術館です。各美術館の入場券は、ノメンターナ街道側の入口にある切符売り場で販売されています。園内で切符売り場はこの一ヶ所のみですので、美術館に入場される予定の方は時間に余裕を持って訪れることをお奨めします。

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↑ フクロウの家に到着しました。フクロウの家は、元々の原型は1840年頃にジュセッペ・ヤペッリのデザインによりスイスの山小屋風の建物として建てられたものです。内部は、当時ヨーロッパで大流行したアール・ヌーヴォー様式のインテリアやアンティークなステンドグラスなどが展示された美術館となっています。ローマではかなり珍しい部類です。個性的な家の入口は緑色の屋根がある所です。それでは行ってみましょう!

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↑ 中に入って、2階からエントランス部分を見ました。壁紙など、家の中の装飾がとにかくおしゃれです。

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↑ ステンドグラスが沢山あります。アール・ヌーヴォー調にまとめられた素敵なインテリアが見学出来ます。お花や虫、動物をテーマにしたものばかりです。

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↑ フクロウをモチーフにしたデコレーションが至る所で見られます。

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↑ 落ち葉を挟んだ小さな鏡が天井からぶら下げられている装飾です。冒頭でヴィッラ・トルローニアには3つの美術館があるとご説明しましたが、その内の一つでヴィッラの核となる建物のカジーノ・ノビレは、第二次世界大戦中(1925~1943年)に宰相ムッソリーニがファシズム政権の本拠地/司令部として使用していました。地下には爆撃に備える為のシェルターがあり、本来ならば見学することが出来ます。"本来ならば"と言うのは、つい最近(1か月程前)まで見学出来たのですが、政治的な理由により閉まってしまいました。イタリアでは急激な状況の悪化(?)は良くあることですので、何があっても特別驚きませんが、ただただ、またオープンすることを期待していますと言った切ない心境です。イタリア語ですが、ご興味のある方はホームページを辿って行くと詳細等が分かります。こちら

このカジーノ・ノビレは、ムッソリーニの娘の結婚式が挙げられたことでも知られています。ローマ市民には、ヴィッラ・トルローニアは"ムッソリーニ"のイメージが強いかもしれません。大戦後はヴィッラは放棄された状態になっていましたが、70年代後半に市が整備に着手し、やがて市民公園として一般に開放されるようになりました。

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↑ 非常に個性的な建築です。そしてここにもフクロウがいます。

緑いっぱいの都会のオアシス"ヴィッラ・トルローニア"の園内には、オベリスク、円柱、古代の彫像などが配置され、ジョギングをしたり、読書をしたりする人が多くいます。この公園の魅力は、自然と、園内にある美術館等の文化施設の両方を楽しめることです。

ローマ中央駅・テルミニ駅からバスで約10分という近さですので、もしローマ滞在時にオーソドックスな観光コースを周って疲れてしまったら、ヴィッラ・トルローニアを訪れてみて下さい。真夏の観光も、園内に生い茂る木々や点在する建物が強い日射しからきっと守ってくれるでしょう!

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インフォメーション:

名称    ヴィッラ・トルローニア Villa Torlonia

住所    Via Nomentana,70 Roma

行き方   ローマ中央駅・テルミニ駅から急行バス90番で約10~15分。ヴィッラ最寄りの停留所 "ノメンターナ/レジーナ・マルゲリータ"(Nomentana/Regina Margherita)で下車し、徒歩でヴィッラ入口まで600メートル歩く。

オープン時間  (公園部分)10月1日~3月31日 7:00~19:00、4月1日~9月30日 7:00~20:30 /(美術館の切符売り場)火~日曜日 9:00~19:00、12月24日、31日 9:00~14:00

* 各美術館の入場券を売る切符売り場は、ノメンターナ街道側の入口にある一ヶ所のみです。時間に余裕を持って訪れることをお奨めします。

休館日  (公園部分)1月1日、12月25日 /(美術館)毎週月曜日、1月1日、5月1日、12月25日。

入園料    (公園部分)無料 /(美術館)有料

* 2016年12月6日現在、ヴィッラ・トルローニアでは下記の3種類の美術館が公開されています。

・Casino Nobile カジーノ・ノビレ

-Museo della Villa(Villa Torlonia Museum) (+ 特別展がある場合もあり。特別展の会場はCasino dei Principi) 

-Museo della Scuola Romana(Museum of the Roman School)(Casino Nobileの最上階)

・Casina delle Civette (House of the Owl) カジーナ・デッレ・チヴェッテ(フクロウの家)

-Museo delle Vetrate Liberty(House of the Owls Museum) (+ 特別展がある場合もあり) 

* 切符の種類及び料金の詳細はこちらをご覧下さい。また、2014年10月5日より、ローマ在住者は毎月第一日曜日は市営の美術館、ギャラリー、博物館、遺跡等の入場が無料となっています。

ホームページ  ローマ市営博物館 (英語)こちら

筆者

イタリア特派員

阿部 美寿穂

ローマからイタリアの日常やイタリア旅行に役立つ情報などをお送りしています。

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