昔、マチで起こった水道バトル

公開日 : 2012年07月28日
最終更新 :
hetchhetctytapwater.jpg

SF市民が飲んでいる "ヘッチ・ヘッチィのタップウォーター"(水道水) 美味しい。

市の水道水はヨセミテの水を使っているんですね。

サンフランシスコは、近くに大きな山も川もないので、昔々は、井戸水に頼るだけで、水が足りないマチでした。  ゴールドラッシュを機に "爆発的人口増加" で、あっという間に深刻な水不足となり、対岸から船で水を売る商人まで登場しました。

1849年3月、初の市議会で水不足問題は、飲料水から防火用水の話となりました。  世界中から一攫千金狙って様々な人がいた頃、恨みつらみもたまる事もあり火付けもあったりこの頃の住宅は木造建築に多かったので火事は住民にとっては深刻な問題です。

1851年、ある人達が市内に水道管を敷く為の許可を取って会社を立ち上げました。  つまり、SFの水道は、私企業の運営でした。  (資金難からすぐ人手に渡り、別会社も新規参入 ⇒ ゴチャゴチャしそうですね。)

『水利権』  広辞苑では、"特定の企業者、公共団体、一定敷地内に住民、耕地や森林の所有者が、独占排他的に継続して、公水、殊に河川の水を利用しまたは水面を利用し得る権利。 とあります。

水利権を巡り、新規参入会社も含めやはり泥沼の争いとなります。 権利の及ばない他方・遠方へと水源探し状態が続く。

水道料金徴収も委託されていましたが、公共の場は無料となっていましたが、企業は利益あって成り立つもの公共建築物への水供給停止。 (市は、違反と訴え裁判 ⇒ 市が勝訴)

〜その頃〜

N.Y、シカゴ、ロンドンの水道事業は、既に公共事業だった。

サンフランシスコも他の都市同様、公共事業としていく事と考え、"清潔で豊かな低コストでの水源探し" 市も新規参入することになった。

1870年代市は財政難、遠方から水道計画はすぐにお手上げ、近郊その周辺で水源探しとなりますが、近郊の水源事情は敗訴した会社側に長年の経験と実績があります。

〜公共事業にするについては、新聞でも取り上げられます〜

『事業は賛成!(だけど、それまでは高い水道料金払わなければ‥)』 と市民の反応も複雑。  水道会社にしてみれば水は十分供給してるし維持管理もタダじゃないからと反論。  ある時、水を十分供給しているという水道会社への意見として、

『だったら何故、毎晩7時に水が止まって、火事にならないと開栓しないのか! ホテルが、"井戸" を持っているのは何故か! 消防署の報告書に毎年消火用水不足が書いているのは何故か! これで世界中の都市の12倍の水道料金どういう事!?』

これを一つのきっかけとし "水道料金の規定" を作る事になり、水道会社に協力要請しましたが、するはずも無く。

ならば市で考えよう! と、委員会結成し水道料金の目安考案 ⇒ 建物の大きさと何階に住んでいるか? お風呂があるか? 給水タンクは? 馬を飼っているか?‥etc。  そんな計算方法が馬鹿げていると、企業vsサンフランシスコ市の裁判沙汰。  企業の利益低下は市が補填、公共建物の料金徴収開始、消火栓・消火用水の維持管理は引き続き会社側、市は会社存続を認める事で、料金は1/3くらいに下がった。 (料金が下がったのと十分な水とは別問題ですけどね。)

1889年、別会社が、土地・水利権も問題ない場所に水源開発計画を市に提案し、議会にかけられるも時間だけが過ぎてゆき‥‥。 4年後 『市が独自に水探ししてもいいのでは?』 "民間企業買収計画" が持ち上がりますが問題は、財源でした。 (東部の都市、ヨーロッパの都市に比べるとサンフランシスコの財源は乏しい状況)

しかし、長年野ざらし状態の土地管理が、水道料金として払わなければならない理不尽さ、開発コストが70年代より安くなっている事、工事により雇用拡大、建設事業で専門家も招き入れられその知識は将来必ず役に立つ。  この委員会の意見は即可決となり、公募となった。 ⇒ 不況でまたまた発展に至らず。

1896年サンフランシスコ初の地元出身のフェラン市長の 『水道の役割、費用をもう一回考え、"全部の公共" を再構築してみようではないか。』  水源開発ありきの考えではなくもっと進歩的だった市長さんが目を付けたところ!  これを足がかりに、1900年1月どうにか市が水道事業に所有・運営できる法律施行にこぎ着けることができました。

〜とりあえずバトルは決着〜

525goldengate1.jpg

筆者

アメリカ・カリフォルニア州特派員

美丸(Mimaru)

サンフランシスコ在住ビアジャーナリスト。全米のクラフトビール探求の日々、訪問したブルワリー、タップルーム情報は随時投稿。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。