激しくなるソウルの反戦デモ

公開日 : 2003年03月26日
最終更新 :

 夕方のNHKニュースを見てから、韓国のニュースをつけるとイラク戦禍を伝えるスタイルがずいぶん違うことに驚く。あらためて日韓の違いを感じている。国家のスタンスの取り方や日米韓3カ国の関係といった外交ゲームはよくわからないが、今起こっていることをどう伝えようとしているかはずいぶん違うように思う。もちろん日本の民放ニュースは見ることができないので限られた情報の中でだが。 たとえばタイトル。日本は「イラク戦争」をよく使っているが、韓国は「イラク攻撃」が多いように思う。考えてみれば、今回の戦争は一方的にアメリカが仕掛けた戦争であり、冷静に考えれば攻撃の方が的を得ているのかもしれない。戦争といってしまうと、何だか同じ土俵の上で戦っているような意味合いに聞こえるが、イラクにしてみれば勝手に宣戦布告されて勝手に期限付きの亡命を勧められ・・・ということにはならないだろうか。韓国ではわりとそういう世論が最近強まってきたように思う。 韓国は過去に植民地支配され、現在も休戦状態にある国だ。韓国人は身近に軍隊の懲役を経験した人も必ずいるから、軍隊や戦争といった言葉に敏感だ。日本のように自衛隊を派遣するかどうかといった次元ではなく、軍隊を派兵するか参戦するかどうかといった現実的な話し方がされるから、わかりやすい。ストレートだ。 日本ではニュースに反戦デモの風景があまり出ないが、韓国のニュースにはよく取り上げられる。熱くなりやすい正義感いっぱいの国民性もあって、ソウル市内では、米国大使館やマクドナルドなどの店などに「反戦・反米」の奇襲デモが相次いでいる。主役は大学生というところも日本とは違う。若者が元気だ。 たしかに、昨年末くらいから、米軍によって事故死した女子中学生を追悼する集会が続き、反米感情がかなり高まっていた。その女子中学生汎国民対策委員会は、他の団体とともに汝矣島(ヨイド)にある国会議事堂前で「派兵反対」の座り込みを続けている。 ニュースを見ていると、政府の対応も日韓はかなり違う。日本ではアメリカを支持するという首相の声明があってから、反対議員の動きはあるものの、それほど大きなニュースはない。韓国も大統領が派兵を決断したものの、国家人権委員会や与党の新千年民主党(民主党)が派兵案に反対するなどしている。要するに、声をそろえるということが難しいのだ。日本の「出る杭は打たれる」や「事なかれ主義」は韓国には存在しないようだ。討論文化を築こうとしている革新的な大統領は、世論どころか国家機関での意見の対立に苦労している。 

反戦デモに手作りのメッセージを掲げる若者たち

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