全羅北道のセマングム干拓事業

公開日 : 2006年08月17日
最終更新 :
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 猛暑の中、全羅北道の辺山半島をドライブで一周しました。日ごろ「セマングム干潟干拓」のニュースを耳にしながら、なかなか訪れることができず、今回はぜひという思いでした。2000年を前後してこの事業の白紙撤回を求める大規模な市民運動も展開され、いったんは中止になったものの、また工事は再開しているというのが気になっていたのです。

 韓国の西海岸の中心に位置するセマングム干潟は、行政区では全羅北道・群山(グンサン)市、金堤(キムジェ)郡、扶安(プアン)郡の1市、2郡にまたがっている巨大なものです。規模としては総開発面積は40,100ha、潮受け堤防の長さは33kmで、韓国最大というのですけれど、いったいどのくらい大きいものなのか、見当も付きません。でも、反対運動の人たちが言っていた「全羅北道干潟の90%が失われる」という説明を聞き、その巨大事業に首をかしげたものです。

 何しろこの地域はアサリなどの魚介類が豊富に取れるため、「塩辛市場」が道路両側に延々と続くのです。韓国で一番おいしいとされる全羅北道のキムチにはここの新鮮な塩辛が入っているのです。また、高級宮廷料理にほんの少し出される真っ赤なチャンジャ・チョッカル(魚の腸の)塩辛もこの地域特産のものです。今回も旅の途中にアサリ粥のお店に入りましたが、その味わいにおかわりしたくなるほどでした。この写真はお店から眺める風景を撮ったものです。手前には潮風を受け牛が放牧され、海を半分に分けるように堤防が出来上がっていました。右側の海は埋め立てられるそうです。「アサリがとれなくなったら、お粥はどうしますか」と尋ねると、店の女性は「大丈夫。もっと下ったところでとれるから」と左の遥か彼方を指差して言いました。たしかにこのレストランなら、新名所としてもやっていけるかもしれません。

 開発の手が届かずにいた地域ならではの期待もあるでしょう。でも、埋め立てた土地はどう使うのでしょう。政府は食糧確保のための農業用地をかなりの広さで取っていますが、実際にはこの地域の農業は後継者不足、米余りの問題を抱えているのです。美しい海を眺めながら、全羅北道のことを考えていました。

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