人と人のつながり
韓国で暮らして16年近くになりますが、未だに慣れないのが人との距離感です。私の場合、大学時代までは日本で暮らしていたので、日本式の人間関係に慣れているのだと思います。特に私は日本で「新人類」と呼ばれた世代で、バブルがはじける前の売り手市場、物質主義的な文化、個人主義志向の強い、モラトリアム的暮らし方がかっこいいとされたようなそういう雰囲気にどっぷり浸かってきました。
そういう人間が韓国に来るとどうなるか。まずは強い拒否反応が出るのです。何かと討論して、薀蓄を語りたがる人々、すぐに腕を組み、家族だと情深い関係を作りたがる人々、一人でご飯でも食べていようものならそんな寂しいことをと嘆かれてしまう…そう、韓国の同世代の生き方はまったく違っています。
なぜなら、彼らが育ってきた時代はまさに独裁政権から民主化闘争の激動の最中。家庭環境は違っても、大家族のしきたりが強く残り、何としてでもソウルで一旗あげようと一家団結して生活してきた世代なのです。
情熱的な人たちとのつきあいを通して、いろいろなことを考えさせられました。人と人がまっすぐに向かい合うことの難しさを感じながらも、違いを認め合いながら関係を築いていくことの面白さを発見する毎日でした。面倒なことも多いけれど、人間の温かさを感じさせてくれた韓国生活だったように思います。
写真はおばあちゃんと孫二人の手。韓国で子育てするのって楽しいよと言えるほど、二人の子どもを産み育てながら、学生身分では体験できなかった、さらに深い韓国人ワールドを体験できたのでした。孤独な育児とは無縁な本当に充実した生活を送れたのは、人情味あふれる世話好きでおしゃべり好きな韓国の人たち、ベビーシッターさんであり、お手伝いさんであり、近所の人たちなのでした。
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