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シンガポール/シンガポール特派員ブログ 仲山 今日子

シンガポール・シンガポール特派員が現地からアジア地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。


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70階からの眺望が楽しめるモダンフレンチの店、Jaan。現在、三代目のKirk Westawayシェフが率いるイノベーティブフレンチのお店ですが、去年シンガポールでスタートしたMichelin Singapore で、一ツ星に輝いていて、初代のAndre Chiangシェフ、二代目のJulien Royerシェフともに、自らの店をオープン、どちらも二ツ星を獲得するなど、名シェフを輩出することでも知られているお店。

今年2月にタイ・バンコクで行われたAsia’s 50 Best Restaurants、アジアのベストレストランでは42位に輝いています。今回は、6月末まで提供予定の、春の新作メニューをいただきに行って来ました。

また、Kirkシェフは、世界に数人しかいない、Krug Ambassador の一人。ということで、最初はKrugでスタート。生き生きとした力強い酸味と、後味に残るクリームやブリオッシュ、バタートーストのような香りとしっかりとしたボディ。酸のすっきりとした印象とコクのバランス感がスタートにぴったりでした。

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コースは、平日限定の、Weekday lunch, 6-course set menu(S$158)。
最初は、今流行の、スナッキング、と呼ばれる手でつまんで食べるアミューズからのスタート。

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最近はいかに料理に自分らしさ、アイデンティティを盛り込むか、というのも重要な要素として捉えられることも多いもの。イギリス南西部の海辺の町、Devon出身のKirkシェフ。子供の頃から食べていたフィッシュ&チップスは、カジュアルな食べ物だと思われがちだけれど、新鮮な魚で作ったらとても美味しい、そんな思いを込めて作った定番の一品は、カダイフのように細く仕立てたジャガイモの上に、鯵のペーストとアニスの花を載せたもの。(前回の記事はこちら


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日本人にはとても親しみやすい味の、フレッシュな鯵のペーストに、カリッとした食感のジャガイモと油の旨味が加わり、誰にでも親しめる味に。軽やかでさっくりとした心地よい歯触りと、ごくほのかなアニスの香りと共に、これから始まるコースの繊細さを予感させるスタート。

そして、新作のウサギの春巻き。

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米粉のチュイルに包まれた、ヨーロッパの春の味、ウサギの肉は滑らかなフィリングになり、ほのかにカレーリーフの香りをまとっています。揚げた後、コリアンダーのクリームチーズと、表面にはネギの青い部分を細く刻んだところを載せて。白身の肉のウサギの個性を程よく生かしたバランスで使われています。

こちらも新作、そば粉のパンケーキに、オシェトラキャビアを載せて。

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このために、14種類ものキャビアを試食したというKirkシェフ。塩気が強すぎず、キャビアそのもののコクを感じるふっくらとしたキャビア、クリームと合わせた北欧風の食べ方です。

そして、フォワグラクリームを挟んだ、定番のマカロン。

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飾られたハーブの葉のサイズまで、味のバランスを取るよう緻密に計算されている気がして、小さな一品一品にかけられた手間の多さを感じる、丁寧な作り。

コースの一皿目は、

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乳製品の産地でもあるDevon出身のため、トリュフとマッシュルームの出汁を加えた、温かいクリームのスープ。

この器も、Kirkシェフがデザインし、バリ島・ウブドで作ってもらったという特別なもの。そのまま手に持って、お茶を飲むようにいただきます。マグカップからコーヒーを飲むように、くつろいで料理を楽しんでもらいたい、というKirkシェフの思いもあっての提供方法。

上には細くしたマカデミアナッツが載っていて、パウダーまで細かくなく、噛んでマカデミアナッツの香ばしさと甘味が口の中で生み出せる細かさでありながらも、クリーミーな食感を邪魔しない程よい大きさ。直接器に口をつけていただく品だけに、この程よい細かさが心地よかったです。

パンは、以前お邪魔した時よりも小さくなり、サワードゥ、ミルクブリオッシュ、ライ麦とフルーツ、ベーコンエピの4種類全部が楽しめるように。

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有塩と海藻入りバターを添えて。木の器もしっかりと温められていて、細い所までの心配りを感じます。

そして、器も最近個性的なものを取り入れていて、

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一輪挿しのような見た目のカバーを取ると、

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花冠のようなこちらが

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Alaskan King Crab。ずっと見ていたくなる、エレガントで美しいプレゼンテーション。
羽衣のようなコールラビーのピクルスに包まれたアラスカ産キングクラブと、オシェトラキャビア、北海道産のウニをごく薄いグリーンピースのパンナコッタの層に乗せて。
グリーンピースの春らしさ、そしてウニにほのかにある、昆布由来の緑の旨味に重なり、キャビアがコクを後押し。そして、紫蘇の花はすっきりとした印象を、ほのかな塩気のあるボリジはキングクラブの甘味の奥にある、海の水のような味を強調します。レモンが香る、甘めのフロマージュブランのアイスクリームが、冷たいスープのような役割。

続いては、エレガントで優しいだけでなく、やや強いインパクトを与える一皿、Golden Beetroot。

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ビートルートの甘味に、マスタードとホースラディッシュを効かせて、酸味も甘味も強めに、マスタードのシャープな辛味がまずやってきて、ホースラディッシュのやや穏やかな辛味が追いかけてくるという印象。タラゴンのクリームが、甘い香りを添えます。
そして、Kirkシェフは、ポイントポイントに、粒感のある塩を効果的に使っている気がするのですが、ビートルートとマスタードのアイスクリームの下には、ヘーゼルナッツに塩を混ぜたものが。この塩のサイズも、大きすぎず、噛むとちょうどよく塩気が弾けるギリギリの所。これが、ビートルートの甘味との良いバランスになっていて、飽きさせないリズム感を作っていました。

続いては、旬のアスパラガス、ホワイトアスパラガスとグリーンアスパラガスに、シャンパンのオランデーズソース。

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まろやかなコクたっぷりのソースには、酸味のアクセントのオキザリス。
穂先はそのままの甘味を楽しみ、中ほどからはパルメザンのサクッと崩れる薄い衣をまとっていて、しっかりとした味わいを楽しめるようになっているホワイトアスパラはしっかりと焦げ目をつけて。フランス・マルセイユのそば、Pertuis(ペルテュイ)産のグリーンアスパラガスはシンプルにバターをかけただけで。イベリコ豚で作ったスペイン産の生ハム、Joselito(ホセリート)ハムとの定番の組み合わせに終わらず、生ハムの旨味やソースの卵黄のコクと相性のいい、ガーリックフラワーとガーリックの葉を載せて、力強さを加えています。

そして、ここでボリューム感ある味わいからすっとトーンを変えた、マスの一種、Artic char(ホッキョクイワナ)の一皿。

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低温調理でしっとりふわふわに火入れをしてあり、もう少しでムース、と言いたくなるような繊細な食感のインパクトが最初にやってきます。合わせているのはアーティーチョークのピュレ、そのままのまっすぐな味わいのカブ、バーネット、蒸した車海老、醤油とみりんでマリネしたイクラ。和を感じるピュアで繊細な味わいに、個人的に、この皿の主役、と感じたソースが。

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通常だと、魚の骨を野菜と共に茶色くなるまで焼いて、そこに水を加えて作る出汁を、骨を焼かず、二度出汁を取ることで、混じり気のない魚のエッセンスだけの出汁をとった、とKirkシェフ。まずは、水とシャロットや長ネギの白い部分、フランスの軽いニンニクと共に、軽い魚の出汁、フュメドポワソンをとり、冷やして清澄したものを再度別のArtic charを使って同じように出汁を取るというやり方。
「蒸したエビ、カブ、ターニップ。この一皿は、どれも焦がした味のものがない。二度出汁を取ることで、焦げた味のない皿全体にあう、ピュアなエッセンスだけを抽出した出汁を合わせたかった。焦がしバターなども使わず、極上の初摘みのオリーブオイルを使って軽く仕上げている」とKirkシェフ。湯がいて刻んだだけのカブの葉など、どこか日本的な印象を、このソースが程よくフレンチに引き戻していました。

そして、この次は、定番の、ウェールズ産の子羊を使った一皿。Cannon of Lamb 一度口の中をスッキリさせた後は、思い切りトーンを上げた、クラッシックな一皿に。ただ、ポーションは控えめなので、重たくは感じません。

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先ほどの魚のソースと比べると、しっかりとしたクラッシックなフォン。

子羊の骨は、1時間ローストしてからフライパンで焼いて、子羊の端肉と混ぜて、焦がしバターやローストした玉ねぎなどと共に、チキンストックを加えて煮詰め、仕上げに焦がしバターと、自家製のトマトピュレを加えたクラッシックなフォン。(Kirkシェフは、子羊の出汁に子牛や牛のストックを使うのは、ゼラチンが多すぎること、子羊の味よりも強い印象を与えてしまうため、チキンストックを使っているのだとか)

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そんなソースに合わせているのは、焦がしたレタス、アンチョビのソース。名前通り大砲のように丸く仕上げた背肉は柔らかく、赤みの旨みのある肩肉は蒸し煮にしてからごく薄い衣をつけてフライに。一口サイズの腹身は干したアンチョビやレモンの皮、揚げたケイパーやエスペレット唐辛子とともに一晩かけて煮込み、煮こごりのようなゼラチン質を生かして。周りに添えられたペコロスのピクルスがスッキリした印象を、小さな酢漬けのアンチョビの一切れが、海の旨みと酸味を加えています。

そしてここからがデザート。
アマルフィ産のオーガニックレモンを使ったエスプーマとグラニテに、カルダモンをほのかに香らせたソルベ。

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最後にKirkシェフがレモンの皮をその場ですりおろして仕上げてくれます。

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酸味よりも甘い香りが際立つレモンに、カルダモンの香りがぴったり。下には、レモンの甘い香り、熟した印象を強調する、オレンジの実が。凍らせてあるので、食感はもちろん、香りや甘みが立ちすぎず、レモンを引き立てるバランスになっていました。

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最後のデザートは、粉砂糖とシナモンを使ってこんがりと焼き上げたフィロ、白バルサミコ酢に漬け込んで焦がした洋梨という組み合わせのPear & Ginger Tart。

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少しアジアな雰囲気のある生姜のアイスクリームに、トンカ豆のパンナコッタ、サイドには小さく切ったフレンチトーストが添えてあり、生姜のコンフィと、同じくハーバルな香気成分のあるマリーゴールドの花が散らしてあります。

クリーンな味と焦がした味がリズムよく構成されています。

そして、最後には特別に出してもらったココナッツソルベ。

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ココナッツの実からキッチンで絞ったしぼりたてのフレッシュココナッツミルクのアイスクリームに、タピオカ、そして、カフィライムの実の皮のすりおろし、そして、なんとフレッシュココナッツミルクを6時間煮詰め、キャラメル状にしたものをすりおろしてかけてあります。ココナッツミルクの甘みがキャラメリゼされて強調され、口当たりも良い香り高いパウダーになっていました。

最後はカプチーノと共に、小菓子を。

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さっくりとしたバターたっぷりのクッキーに、クロテッドクリームを挟んだスコーン風、とろりとしたキャラメルフィリングの入ったチョコレート、更に、レモンタルトの代わりに、酸味のある小菓子として、新しくフィロの上にルバーブを乗せたタルトが加わっていました。

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Kirkシェフのメニューは、前回お邪魔した時よりも、更に洗練されたエレガントさが加わった印象。ぜひ、春を味わいに来てくださいね!

<DATA>
■ Jaan (ジャーン)
営業時間:ランチ 12:00~13:45(L.O)、ディナー 19:00~21:45(L.O)、無休
住所:Level 70, Equinox Complex Swissôtel The Stamford, 2 Stamford Road, Singapore 178882
電話: +65 6837 3322
アクセス:MRTシティーホール駅直結


2017年4月14日

Stellar at 1-Altitude で行われた、Dom Perignon のイベントにお邪魔して来ました!
オフィシャルシャンパンが Krug から Dom Perignonに変わったことを記念して、Dom Perignonのシャンパンを引き立てるコースが提供されました。

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まずは、世界で一番高い場所にあるルーフトップバー、1-Altitude で、Dom Perignon P2 vintage 1998 で乾杯。

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去年のWorld Gourmet Summitの際にもいただきましたが、20年近い時をへて熟成されたその味は、まるでクリームのようなふくよかさ。19年という長い時の経過に損なわれたり弱ることもなく、むしろ堂々と円熟していて、19年前はどんなシャンパンだったんだろう、ここに至るまでの道筋を見てみたい。思わずそんなことを感じさせられました。ナッツやバター、トーストしたパンのような豊かな香り。弱々しさを感じさせない、でもまろやかな酸と泡。P2のPとは、Plenitude、熟成が最高の状態になる瞬間のこと。19年前に、この状態を考えて逆算して作った、その作り手の技にも感銘を受けました。

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そのあと、62階のStellarに移動して、
Dom Perignon Vintage 2006と、Chris Millar シェフによる、それに合わせた料理が提供されました。

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こちらは、1998年と比べるとやや軽やかで、むしろみずみずしさを感じる味わいですが、柑橘やミネラルの香りに混じって、ナッツやトーストの香りはしっかりとある、豊かな味わいのシャンパン。

Impressions of Sturia Caviar Iberico Crisp Creme fraiche

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まずは、3種類のキャビアのテイスティング。加熱処理をしておらず、なめらかな口当たりが特徴ですが、若い魚からのキャビアで、熟成の少ないものから、熟成の長いものに向けてのグラデーションが楽しめます。下にはクリスピーなイベリコ豚の皮のチップス。海の旨味と山の旨味を重ねる組み合わせ。

St kerber Oysters, Scallop, Morcilla Sauce

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続いては、フランス・サン・ケルベール産の牡蠣に、ブラッドソーセージ、Morcilla(モルシージャ)のソースを合わせたもの。

Rougie Foie Gras Abalone Morel Sauce

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そして、フォワグラにアワビ、モリーユのソースのコンビネーション。フォワグラのコク、アワビの旨味、モリーユの香りのクリーム。Dom Perignon Vintage 2006の豊かな味わいを強調して、3品の中で一番好きな組み合わせでした。

ここからは、ロゼに合わせて。
Dom Perignon Rose Vintage 2004

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10年間セラーで熟成したその味は、熟したベリーやドライフルーツのような印象。そしてシャンパンとしての切れ味はありながら、こっくりとした濃厚な味わいがあります。

合わせたのは、
Josper Grilled Magret Duck Breast Quince Pickled Shallot

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ジャスパーオーブンでグリルした鴨の胸肉に、マルメロ(花梨)に漬けたシャロットのピュレ。ソースを合わせずに、シャロットのピュレにの程よい酸味に、鴨肉のコクがシャンパンのボディと響きあう組み合わせ。


The Plenitudes Garden

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様々な花を飾った上に、エスプーマから出したメレンゲを液体窒素で固めた小菓子を飾って。

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野いちごのような香りも感じられる、Dom Perignon Rose Vintage 2004に、野原で花摘みをするような感覚でひんやりとしたメレンゲをつまむ、楽しい演出でした。


Dom Perignon P2 vintage 1998とともに、

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大好きな Mons French Farm Cheese を。色々な種類のチーズがあるけれども、Monsのチーズは、どれも抜群の熟成具合で味わいのふくらみが違う気がします。ソフトチーズもハードチーズも、上手に炊いた炊きたてのご飯が美味しいような、そんな感じのふっくらとした印象があって、Dom Perignon P2 vintage 1998と見事に重なります。

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これからはDom Perignonが、Stellarのオフィシャルシャンパンとなるということで、こういった希少なラベルのものも飲むことができます。シンガポールで一番高い場所にある、美しい夜景の楽しめるレストラン、ぜひ訪れてみてくださいね!

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<DATA>
Stellar at 1-Altitude(ステラ・アット・ワン・アルティチュード)
営業時間:ランチ 11:30~13:45(平日のみ)、ディナー 17:30~21:30、(いずれもL.O.)無休
住所:1 Raffles Place, Level 62, Singapore, 048616
電話:+65 6438 0410
アクセス:MRTラッフルズプレイス駅徒歩1分


2017年4月10日

毎年行われる食の祭典、World Gourmet Summit の今年のテーマは、United Nations。世界の国にもっとフィーチャーし、幅広い食文化を取り上げています。
あのNomaがメキシコに行く、ということもあって今注目のメキシコ料理。そんな中、メキシコ大使館のサポートのもと、Miele Galleryで、メキシコからDaniel Ovadiaシェフを招いてのイベントが行われました。
まずは、Danielシェフによるクッキングデモンストレーション。
(下の方に、虫の画像があります。苦手な方はご注意ください)

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1億2000万人の人が住むメキシコ。その食文化も、とてもバラエティに富んでいるといいます。600年前にスペイン人がアステカ帝国にやってきて、その時に持ってきた食材が今は多く使われており、そういう意味で、メキシコ料理はフュージョンである、とDanielシェフは語ります。

メキシコを代表するソースは、モレソース。一般的には、カカオを使った濃厚なソースのことを指しますが、元々は「モレ」という言葉自体が、ソース、という意味。唐辛子を使ったもの、果物を使ったもの、カカオを使ったもの。その全てがモレ、と呼ばれるのだそう。

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今回は、南部の港町、Veracruz(ベラクルス)地域に伝わるソースを作ります。シナモンの産地でもあること、また港町でヨーロッパからの船が着くため、その影響も受けているのだとか。
今回は、辛味は強くなく、甘くて香りの良い緑の唐辛子、Chile Poblano(チレ・ポブラーノ)を使ったソースを作ります。
メキシコでは、唐辛子を干してから、グァバやシナモンでスモークするため、より香りが甘くなるのだとか。

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この干した唐辛子をそのまま鍋に入れて温めると、唐辛子の中から自然なオイルが出てきて、香りが良くなるのだとか。鍋に入れる以外にも、直火で炙ったり、サラマンダーにかけたりして温めることもあるそうです。

そして、ラードを加えて、鍋をこそげて焦げた糖分を取ります。そして、豚肉や鶏肉、野菜などの出汁、もしくは水などを加え、さらにシナモン、オレガノ、塩を加えれば、スープの元になるものが出来上がります。

ここに、さらに表面が黒くなるほど熟したバナナ、(調理用バナナ、プランテーンの場合は甘くないので砂糖を加える)、ピーナッツ、アーモンド、カカオ、トーストしたパン、クミン、黒胡椒、レーズンなどを加えて、ソースを作ります。本来はメタテと呼ばれる石臼で材料を潰して混ぜていくため、中には作るのに1週間かかるものもあるそうです。なので、特別な行事の際に、みんなが集まって総出で作るもの、という側面もあるのだとか。その中でも特に高価なのは、chilhuacle(チルワクレ)と呼ばれる唐辛子の中でも高級品。生産しているのは8家族のみ、5エーカーほどの広さのエリアでしか育たないため、毎年3〜8トンしか収穫できないのだとか。生でもフレッシュで香りがよく、それを更に3〜4ヶ月石の上に並べ石の上にひっくり返し、天日で乾かさないといけないのだとか。

そして、もう一つ高価なものが、虫。メキシコでは、伝統的に虫食が行われていて、特にアガペと呼ばれる竜舌蘭の根の部分を食べて育つChinicuil(チニクイル)と呼ばれる虫。赤いものは根の部分を食べて育つため、特に高価だとか。葉の部分を食べて育つ白いものは、頭を取らないと食べられないそうですが、赤はそのまま食べられるのだとか。

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油で揚げてカリカリにしたものを食べてみると、表面がカリッと軽く揚がっていて、竜舌蘭由来なのか、キクイモのような香りが。内臓の部分はほのかなコクがあり、後味には、海老のような旨みを感じます。
塩と混ぜて、マンゴーにかけて食べたりもするそうです。ちょっとアジアの海老塩のような感じでしょうか。
「Chinicuilの魅力は、そのエレガントな味わいだ」とDavidシェフは語ります。

そして、もう一つ作り方を見せてもらったのが、サルサ。味のキーになるのは、Danielシェフが大好きだという、Chilmoleと呼ばれる、黒いペースト。

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トマトやオレガノ、唐辛子などを焦がして、酢とオレンジジュースを加えたものだそうです。少しだけ味見すると、スパイスを焦がした味に、野菜の濃厚な旨みを感じます。黒い色は、焦がした灰を加えているからだそうで、加えていない白色のもの、コチニール色素を加えた赤色のものもあるそうです。

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そして、これを使って作ったサルサは、ネギや玉ねぎ、トマトなどが加わっていて、サルサの主要原料であるトマトと玉ねぎのフレッシュな香りの中に、キャラメリゼされた野菜の旨み、そして唐辛子の甘い香りが感じられます。

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このモレもこの虫も、600年前にスペイン人がやってくる前のプレ・スパニッシュフードと位置付けられる、伝統的な料理なのだそう。豚のラードは、スペイン人が来てから食べるようになったそうですが、その前からイベリコ豚に似た種類の豚がいたのだそう。

そして、Danielシェフによるお料理の試食タイム。

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まず一皿目は、先ほど登場したChilmoleを使ったサルサと、メキシコの珍味、竜舌蘭につく虫のChinicuil。
柔らかいタコスの皮に包んで、アボカドと一緒にいただきます。干しエビのような感覚で食べられるクリスピーなChinicuil、菊芋のような香りと、サルサのハーブの香りが合います。アボカドの食感との対比も面白い組み合わせでした。

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もう一つは、豚の肩ロース肉に、炭を加えたChilmoleのソースをかけたもの。炭の少しざらっとした食感があり、焦がしたことによる凝縮した野菜の旨味が感じられるスパイシーなソースが、豚の脂の甘みに合っていました。

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そして、ワカモレに子豚の丸焼きを組み合わせた一皿。本来はメキシコ料理では伝統的にドライなトルティーヤは使われておらず、テキサスなどで食べられているTex-Mexにしか使われないナチョスを逆輸入して散らしてあります。

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そして、中にはオリーブオイルの中でコンフィにした卵黄が。混ぜて食べると、アボカドと相まって、濃厚なコクが感じられます。

私が一番気に入ったのは、鴨肉に、バナナとカカオを使ったモレソースをかけたもの。熟したバナナとカカオの甘みでいただく鴨肉、サイドには甘いかぼちゃのピュレ。程よく焦がしたシャロットを添えて。サイドにはトルティーヤの生地を丸めて茹でたものが。

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メキシコ料理といえば、タコス、というようなイメージがまだまだ一般的ですが、豊かな食材のバラエティや、ソース一つとっても色々な作り方があって面白いメキシコ料理。

世界がより小さくなる中で、こういった新しい料理との出会いも、世界でどんどん増えてくるのかも知れません。


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■World Gourmet Summit 2017
国内各地のレストランで4月16日まで開催

■Culinary Master class and Luncheon featuring Chef Daniel Ovadia by Miele
日時:2017年3月31日(終了)


2017年4月 9日
2017年3月31日
2017年3月28日
2017年3月20日
2017年3月15日
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