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シンガポール/シンガポール特派員ブログ 仲山 今日子

シンガポール・シンガポール特派員が現地からアジア地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。


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歴史的建造物としても知られるフラトンホテル。その、中華のメインダイニングが、Jadeです。これまでは、ゴールドなどを基調としたやや重厚なインテリアだったのですが、新しくリノベーションをしたということで、お邪魔してきました!

足を踏み入れると、Jade(翡翠)という名前通りの、薄い緑色や水色をベースカラーに、シンガポールの花や鳥をモチーフにした華やかな花鳥画が目を引きます。

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厨房を率いるのは、以前と変わらず、フラトンホテルで10年、合計35年のキャリアを持つ、Leong Chee Yengエグゼクティブシェフ。 去年のWorld Gourmet Summit で、Asian Cuisine Chef of the Yearに、そしてシンガポールの大手紙Best Asian Restaurants2017で銀賞を取るなど、今注目のシェフです。

マレーシアのアーティスト一家に生まれたLeongシェフは、陶芸の作品でも知られていて、個室にはその作品の一部が飾られています。

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ショープレートも一新。孔雀と、パープルフィンチと呼ばれる、シンガポールでも見られる鳥が描かれています。

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Crispy Roasted Pork Belly($14)

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中国料理では忘れてはならない、カリカリに皮を焼き上げた豚肉。薄焼きの煎餅のように香ばしくて、カリッとした皮は絶品。その秘密は、五香粉や塩、砂糖などをまぶして一晩置いた後、まず皮が少しカリッとするまでオーブンで焼いたあと、皮に穴を開けて塩をかけて焼き上げ、その後で皮の表面を薄くなるまで削ってから仕上げ焼きしているからなのだとか。
そして、甘い脂身と柔らかい肉質のバランスもよく、とても楽しめました。

Baked Lemongrass Char Siew Lamb Rib Loin($23)

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ニュージーランド産のラム肉のバーベキュー。一口かじると、ライチのような、甘い香りが漂います。これは、中国の薔薇のお酒やパイナップル、レモングラス、はちみつなどから作った自家製のバーベキューソースに漬け込んでいるから。ちょっとエキゾティックなフルーツの香りに、豆豉や醤油のコクが寄り添い、個人的にはとても好みでした。
野菜は、シンガポールの伝統的なサイドディッシュ、アチャー。野菜は塩水で茹でてあり、紫玉ねぎの辛味も穏やかになっています。

Soon Hock in Golden Broth($13)

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野菜をたっぷり使った滋味溢れるスープは、塩をほとんど使わず、魚の骨と野菜の旨味を楽しむもの。温度を一定にして煮込むのではなく、中火で少し素材が踊るくらいに煮立たせた後に、強火にして骨からの出汁をとり、それから弱火にして、水気を飛ばすという手順で作られたもの。
この日は、クレソンと棗、白身魚のスープでしたが、食べ進める毎にじわりと旨味が広がり、薬膳のような感覚でいただくスープでした。

Sautéed Beef Tenderloin with Crispy Garlic in Black Pepper Sauce($23)

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日本の和牛のテンダーロインを、コーンスターチをまぶして揚げた後、醤油と黒胡椒のソースで和えてあります。甘みさえ感じるはっきりとした黒胡椒の香りとローストガーリックの味が肉汁たっぷりの和牛と合わさり、多くの人に好まれる味わい。

Steamed Osmanthus Char Siew(2個で$5.80)

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こちらは点心のメニューから。このJadeでは、週末限定で点心ビュッフェをやっていて、その中でも人気のメニュー。ちなみに、点心ビュッフェは一人S$38で食べ放題という、驚きの価格です。
蒸し立てふかふかのパオを割ると、チャーシューのとろりとした餡。はちみつと金木犀の花が入っていますが、金木犀の花の香りはそれほど強くありません。甘めの餡がシンガポールらしい一品。

Simmered Egg Noodle with Boston Lobster and XO Chilli Sauce $39

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麺というより、大きなボストンロブスターをそのまま満喫する一皿。半身と爪がついて、メインディッシュとしての食べ応え十分です。ロブスターは表面にコーンスターチをまぶしてから揚げてあるので、表面が薄くカリッとしていて、中がとってもジューシー。その出汁が溶け込んだの醤油とラードの旨味たっぷりのソースを、細い中華麺に絡めていただきます。中華麺も、一度揚げてあるので、表面がべたつかず、また香ばしく仕上がっています。サイドにはたっぷりの干し貝柱が嬉しい、自家製のXOソースを添えて。

Hot almond cream with egg white pistachio “Muah Chee”(アーモンドクリームは更にツバメの巣が入って$38、餅は2個$8)

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シンガポールで親しまれている餅菓子、Muah Chee。本来は餅の周りに、ピーナッツの粉に砂糖と塩を混ぜたものをまぶしたきな粉餅のピーナッツ版のような感じなのですが、こちらは、そのサクサクとした粉を柔らかい餅の中に閉じ込めた一品。

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ピーナッツの代わりに、香りのよいピスタチオを使ったフィリングは、グラニュー糖のサクサクとした食感が生きていて、たっぷりのナッツ感と共に、柔らかい餅との食感の対比が楽しめます。

その横には、暖かいアーモンドクリーム。杏仁豆腐の温かい版、とでも言いたいようなデザートです。龍皇杏仁と呼ばれるアーモンドを水に漬け込んでからミキサーにかけてこし、氷砂糖と一緒に煮たもの。かき卵状にした卵白が入っているのが中国らしい仕立て。あっさりとした甘さの中に、上質なアーモンドならではの自然な甘みが感じられる、優しい味わいです。

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本物の中国料理の味はそのままに、晴れやかな自然の中にいるような、淡いブルーを基調とした透明感あるインテリアに生まれ変わったJade。ぜひ、訪れてみてくださいね!

<DATA>
■ Jade(ジェード)
営業時間:ランチ 11:30~15:00( 平日はセットランチあり)、ディナー 18:30~23:00、点心ビュッフェ(週末のみ11:00〜又は13:15〜)、無休
住所:Fullerton Hotel, 1 Fullerton Square, Singapore 049178
電話: +65 6877 8911
アクセス:MRTラッフルズプレイス駅から徒歩4分ほど


2017年5月 6日

去年12月に、Bacchanalia(バカナリア)新しくヘッドシェフとして就任した、Luke Armstrong シェフ。
前回、1月の訪問から3ヶ月あまり。スーシェフも着任し、新しいメニューが完成した、ということで、お招きを受けて行ってきました!

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スタートは、洋梨のような香りのシャンパン、Chartogne Taillet と共に。

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極薄のフィロペストリーの上に、牛肉のタルタル、白胡椒のサワークリームに、自家製のケチャップ、キャビアを乗せて。牛が食べる牧草を思い起こさせる、干し草にニンニクの皮を焦がしてスモーキーな香りをつけた上で提供される、自然を模したプレゼンテーション。

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タラバガニのビスクとタピオカ粉、ベーキングパウダーで作ったという、極薄のシェルの中には、まさにチリクラブの味のクリームが詰まっています。

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こっそり中身を教えてもらうと、カニの身とトマト、卵白、ジャガイモにヨーグルト、ライム、七味唐辛子にチリオイルという組み合わせだとか。七味唐辛子が使われていることに、少しびっくり。ほんのり、クミンも効いていました。

そして、酸味を効かせた、温かいホワイトアスパラガスのスープ。香ばしいヘーゼルナッツのオイルをしっかり目に垂らして、オイル感で酸とのバランスをとっています。
水のようにサラッとしたテクスチャなのにしっかりとアスパラガスの香りがする。アスパラガスの皮を使っているのですか?とLukeシェフにお聞きすると、アスパラガスの皮に柚子とクリーム、ドライベルモットの、ノイリー・プラットを加えて煮立たせないようにして加熱し、2時間ほど漬け込んで置くことで、香りを抽出し作ったものだそう。

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フレンチのシェフとしては、素材ごとに最も適切な温度でそのエッセンスを抽出し、それをさらにブレンドするという手間のかかった方法で出汁の取り方で知られる、Yannick Allenoシェフを最も尊敬しているというLukeシェフ。小さなキッチンのため、さすがに素材ごとに違った方法で出汁をとることはできないものの、煮詰める「リダクション」ではなく、基本的には、Yannick氏に見られるような、今流行の低温で成分を抽出する「インフューズ」の方法をとっているのだとか。

ここまでが、アミューズで、ここからがコースのスタート。

北海道産のホタテの繊細な味わいを引き出したい、と、デコポンのゼリーをメインに、柚子とトリュフのジュースを使った一皿。

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全体的に酸味はあるのですが、デコポンの甘みで酸の角が立たないように工夫されています。ココナッツミルクと柚子の小さなソルベのドットに、とても細かい、カリカリとした天ぷらの衣の部分を振りかけて。
ホタテの甘みとデコポンの甘みと酸味。すっきりとしながらも、丸みのある味わいの一皿でした。

そして、静岡産のトマトを使った一皿。トマトは一度たりとも冷蔵してはダメ。こうやって常温に置いておかないと、とLukeシェフ。

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こちらには真ん中の部分のみを使いますが、残りはエキスを取り出してコンソメにしたり、ソースをつくったりと、無駄なく使い切っているのだとか。

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とてもなめらかなテクスチャなので、最初低温調理をしていると思ったのですが、そうではなく、12度で8〜10日間エイジングしたという一皿。実は、最近スーシェフのDelfo Eickmannさんが加わったことで、低温調理をするのはやめて、全ての食材は直接火入れをしているのだそう。「機械に任せるのではなく、食材は一つ一つ、毎日状態が違う。直に触れて感じて調整する。それが料理だと思うのです」とLukeシェフ。火入れはDelfoさんと2人で行っているそうで、30席あまりのレストランだからこそできる、ある意味現代では贅沢な仕事が生かされています。

皿の一番下にはキヌア、トマトの輪切り、そして大根の薄切りの上に、トマトのコンソメのゼリー、緑のトマトのエマルジョンの上には、緑の味を強調するナスターチウムのスプラウト、中心には土佐酢のゼリーが隠れています。下にはトマトのコンソメに、バジルのオイルを散らして。ブリオッシュを揚げたクランブルがコクをプラス。可愛らしい丸いソルベには、橙など様々な柑橘類から作られたポン酢がアクセントになり、コンソメよりも更に香りが良く仕上がっています。

続いては、フォワグラを詰めたモリーユ茸とホワイトアスパラガス。

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甘めの柚子のジェル、ワイルドガーリックの葉を炒めたものを乗せて。

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ホワイトアスパラガスは、シャキシャキしすぎず、ややしっとりとした食感。どうやって調理したのかお聞きすると、ポール・ボキューズのやり方に倣い、水に砂糖と塩、ベルモット、それにパンを一切れ入れて煮ているのだそう。「味の仕上げは現代風ですが、その根本にある部分はクラッシックなものを大切にしています」とLukeシェフ。

水菜のエマルジョンの上には、水菜とシーフェンネル、ミョウガ、シーアスパラガス。ヴルーテはワイルドガーリックの味を生かしたもので、しっかり濃厚な味わいですが、クリームを煮立たせず、仕上げ際にクリームを加えて、フレッシュな状態の味を楽しんでもらうと共に、もたれないように工夫しているのだとか。

続いては、Lukeシェフが一番最初に披露したメニューでもある、シグネチャーの魚の一皿。今日の魚はカリッと表面を焼き、身の程良い弾力も楽しめるTurbot。

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リゾーニパスタに、パセリと牡蠣のエマルジョン。上には牡蠣とラディッシュを乗せて。魚の上のラディッシュは生ですが、横に添えてあるものはほんのり甘く、下のエマルジョンと相まって、とってもまろやかな味。聞いてみると、寿司酢につけてあるのだそうです。
そして、上からはこだわりの魚の出汁。ほんの少しカフィライムのオイルが垂らしてあります。
魚の出汁は、必ずカレイの仲間、Turbotから取るようにしているそう。元々はアンコウを使っていましたが、よりクリーンな味の出汁が取れる、Turbotに変えたのだとか。

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細かく刻んだ Turbot の骨に、シャロットマッシュルーム、前日のサービスで残ったシャンパンや白ワインなどを加えて火を入れ、そこに、鶏の出汁、もしくは野菜の出汁を加えているのだそうです。そして、仕上げに、良質なボルティエのバターをほんの少し加えたり、ヨーグルトを加えたりして、現代的な軽やかな仕上げにするのだそう。

ちなみに、鶏の出汁は、白い出汁が欲しい時は、一度とった出汁を再度また鶏の出汁を取る際に加え、ピュアな出汁を取っているのだそう。


そして何より特筆すべきは、毎日作り置きせず、サービスの前にフレッシュな出汁を取っていること。またクリームも、煮立たせることをせず、生のフレッシュ感を重視しているのだそう。手間のかかる工程ですが、そこにこだわりたい、というLukeシェフ。


そして、今回新しく作ったというメインディッシュは仔鳩。

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抜群の火入れのブルターニュ産の小鳩は、しっとりとしていて、生のような滑らかな食感でありながら、火が通っています。特に、下の部分のささみのきめ細かさは格別でした。そして、もちろん鳩ならではの濃厚な味わい。コニャックをたっぷりと入れた鳩のジュで仕上げてあります。

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また、添えられているのは、セップ茸とバルサミコ酢のソースと、シンガポールで使っているのはLukeシェフのみだという、カベルネ・ソーヴィニヨンのぶどうを使い、9ヶ月間樽熟成したという、スペイン・ヘレス地方の酢を使ったソース。セップ茸のソースは、栗や黒糖のようなコクを感じるバルサミコと、セップ茸の香ばしさが生きた、いわゆるソースのテクスチャだったのですが、このぶどうのソースは、アイオリのような、キメの細かい粘度を感じる味。でも、卵黄を使っているわけではなく、グレープシードオイルを使い、丁寧に乳化して作っているのだそうです。このテクスチャは特に、小鳩のキメの印象と合っていました。


その横には、ビーツの一種、Crapaudine Beetroot。

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石灰質の、ミネラルが多く水はけの良い土で育つため、根をしっかりと伸ばし、味が凝縮しているのが特徴とか。そして、私がとても印象に残ったのは、その、しっとり柔らかでありつつも、ビーツらしい噛み心地のあるテクスチャと甘み。聞いて見ると、ビーツなどの根野菜は、塩釜のような、塩と小麦粉で作った衣をまとわせて、オーブンでじっくりと丸のまま焼いているのだとか。切ると、味が流れてしまう、素材の味をしっかりと閉じ込めたい、という思いから、野菜はなるべく丸のまま、そして皮のまま加熱しているのだそうです。上には、オキザリスやチコリ、マリーゴールドやディルの花を添えて。ピンクの花は、ガーリックの花だそう。ほんの少し舌先に辛みが残る味わい。最近は美しいだけでなく、こうして味わいを加えるガーリックやネギの仲間の花が使われることが増えてきていると感じます。

脚の部分は、「野原で遊ぶ小鳩のイメージ」ということで、フレッシュな季節の野菜を添えて。

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脚の形をそのまま残した仕立ては、旨味を逃さないように、という配慮から。下には黒にんにくのスープ、それにミントとグリーンピースが入っていて、つけながらいただきます。この野菜もほんのりと甘いのですが、お聞きすると、寿司酢を軽くまとわせているのだとか。甘酸っぱさが、生野菜のえぐみなどの角を取っていました。

そして、奥の丸いものは、バターたっぷりのブリオッシュの間に、細かく刻んだイタリアンパセリと共に、マディラ酒とトリュフのジュースで仕上げた小鳩のレバーを刻んだものを入れて。

そしてデザートは、ピスタチオとホワイトチョコレートのパルフェ。

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濃厚なピスタチオのアイスクリームを、ホワイトチョコレートとココナッツの油で包んで。ココナッツの油を使うのは、カリッとした食感を与えるため、だということでしたが、シンガポール人には馴染みの深い味でもあり、シンガポールらしいアクセントになっていました。アイスクリームの上には、ライムとスターアニスのソルベに、抹茶エマルジョン。そして一番奥には、濃厚なキャラメルチョコのフィリングが入ったホワイトチョコレート。手前から食べ始めると、最後にたどり着く仕組みになっています。

もう一つのデザートは、ワイルドストロベリーとルバーブ。

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上には生のルバーブのごく薄いスライスが。いちごのアイスクリームに、同じくココナッツの油とホワイトチョコレートで包んだ、濃厚なアーモンドのアイスクリーム。日本酒のクリームと、バジルとウォッカのグラニテを添えて。

いちごアイスクリームの下には、しっかりとした酸味のルバーブのピュレがあり、アイスクリームの甘さが控えめなのに、甘く感じるコンビネーションになっていました。

シンガポールに来た時が自分の理想の20%だったとすると、現在は40%。まだまだできるし、もっとこだわってやっていきたい、というLukeシェフ。


Lukeシェフの味の基本構成は、寿司酢のようなバランスの甘酸味とピュアな旨味が特徴。そこに、ヨーグルトなどのすっきりとした乳製品が加わり、雑味が非常に少なく、日本人にとって、とても親しみやすい味。
素材の味を、素材として際立たせたい、というLukeシェフのポリシー、そしてシンプルに見えるその裏には、素材を引き立たせるための多くのテクニックが隠されています。ゆっくりと、手間をかけた素材の味を楽しみたい、そんなレストランです。


<DATA>
■ The Kitchen at Bacchanalia (ザ・キッチン・アット・バカナリア)
営業時間:ランチ 12:00~14:30(火曜~金曜)、ディナー 18:00~22:30(月曜~土曜)、日曜休
住所:39 Hong Kong Street, Singapore 059678
電話: +65 9179 4552
アクセス:MRTクラークキー駅から徒歩2分ほど


2017年4月30日

今年5周年を迎えるということで、去年の12月から、「Amigos de Esquina(エスキーナの友人たち)」と銘打って、5回のコラボレーションを行なってきた、Esquina(エスキーナ)。

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ヘッドシェフは、三代目のCarlos Montobbio、スペイン・バルセロナ出身です。29歳の若さながら、El Celler de Can Roca、Cinc Sentitsなど、ミシュラン星付きのレストランで活躍してきました。

コラボレーションの締めくくりを飾るのは、シンガポールのミシュラン二ツ星のフレンチ、Odette のJulien Royerシェフ。

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2015年11月にオープンしたOdetteですが、2016年7月のミシュランでは二ツ星を獲得、今年の世界のベストレストランでは初登場で86位にランクイン、最近は4月に、Gallery Vask の Chele Gonzalezシェフなど共に、フィリピン・マニラでコラボレーションディナーを行った他、来月は5月5日〜7日の日程で台湾のLe Mout 、日本のGoh とスペシャルディナーを行うなど、積極的な活動を行なっています。

どんな体験が楽しめるのか、一夜限定のディナー(S$188)にワクワクしながらお邪魔しました!


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まずは二人のシェフの合作のアミューズから。
まずは上から、Odetteの、Sugar Snap Peas, Nori, Mint。
サクサクしたタルト生地にはスナップエンドウの実とミントのクリーム。一口で食べると、爽快さとコク、どこか抹茶のような緑の印象を重ねた春らしいタルト。
そして、同じくOdette から、Comté Sponge, Maple Vinegar, Walnut。
ひんやりとしたコンテチーズのムースのようなしっとり、ふわふわのスポンジに、メープルビネガー、細かく削ったくるみを添えて。コンテチーズのコクに重なるくるみ、メープルの甘み、そしてその印象をきりっと引き締めるはっきりとした酸。
この二つを食べると、一つの春のタルトが出来上がるような、再構築のように感じる組み合わせ。

そして、
Esquina の Zucchni Sphere, Mint Flower, Khuri Poire(写真一番手前)は、ズッキーニのピュレの詰まった球体に、同じテクスチャーが天然で楽しめるイクラを添えて。モレキュラー発祥の地、スペインらしいスタート、イクラはおそらく干し草のスモークの香りがつけてあって、この香りがとても食欲をそそります。
Foie Gras Terrine, Leeks, Sherry Vinegar こちらは、スペインを代表する酒、シェリーで作った酢を使ったフォワグラのテリーヌ、表面はカリッとごく薄いキャラメリゼされた飴のような層ができていて、酸味と甘みでこのフォワグラの旨味をいただく一品。下にはフィロペストリーが敷いてあり、上の飴の層と違ったカリッと感を2通り楽しめる仕掛け。

ワインペアリング(S$128)は、Eric Rodez Grand Cru Brut Cuvée des Crayeres, NV。

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これは、以前アンドレでも頂いたのですが、シャルドネとピノ・ノワールのバランスの良い、すっきりとした酸味も複雑味も楽しめるシャンパンでした。

前菜の二品目は、
OdetteのBBQ Sardine Tomato, Fennel, Filo Pastry。

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サクサクの軽いフィロペストリーの上には、表面をほんの少しだけ焦がした脂の乗ったイワシに、コンフィしたトマト、太陽の力を感じるパプリカのソース、プチプチとした食感と酸味が楽しめる、フィンガーライムを乗せて。上にはトマトの透明なエキスだけで作ったエスプーマを乗せた、フェンネルのジュースを添えて。フレッシュ感を強調する、雑味のない透き通った味わいは、現代のフレンチのトレンドにもマッチしている印象。

Esquinaは、Tsarskaya Oyster,Cauliflower, Smoked Eel, Topinambour, Caviar

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カリフラワーのフランの上には、ロシアのツァーリ(Tsars)のための牡蠣、とも呼ばれることのある上質の生牡蠣。そしてキャビア。エルサレムアーティーチョークのカリカリのチップスと、刻んだオイスターリーフ、そして酢漬けにした生姜の花を添えて。カリフラワーの甘みにキャビアと生牡蠣のコクを合わせた組み合わせ。スモークしたうなぎは、ベーコンのシーフード版というような、旨味をプラス。エルサレムアーティーチョークは、カリフラワーに香ばしい甘さと、ごくごくわずかな苦味を加える役割。

ワインは、Nadine Ferrand Mâcon Solutré-Pouilly, 2015。

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シャルドネですが、樽を使わず、ぶどうそのものの味を楽しめるような作りの、すっきりとした白でした。

続いて、野菜の競演。
Odette からは、Trombetta Zucchinia Burrata, Basil, Olive Nicoise

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ズッキーニの様々な姿。ヤギのチーズを詰めて揚げたズッキーニの花、そして生のスライス、少しもちっとした食感がある、低温調理したズッキーニに唐辛子とライム、バジルの芽や黒オリーブを散らしたもの、そしてブッラータチーズと、バジルのソルベが添えられています。トマトのチャツネには、クミンが加わり、どこか地中海〜中東を感じるアレンジに。


そしてEsquina は、White Asparagus, Conté Whey, Corn, Lemon Balm

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器にコーンのクリームを敷き、グリルしたホワイトアスパラガスに、レモンバームの芽、カリカリにローストした、ペルー産の粒の大きく香ばしいコーンを使い、上からコンテチーズの乳清のスープをかけて仕上げます。とても上品なコーンクリームスープのエッセンスだけをいただいているような組み合わせに、ジューシーに仕上げたホワイトアスパラガスの自然な甘みが調和しています。コンテチーズのチュイルがカリカリ感と香ばしい焦げ感をプラス、甘さの中にすっきりとしたレモンの印象のあるレモンバームが、強すぎずいいバランスでした。

この、以上2品に合わせたワインが印象的で、ソーヴィニョンブランにもかかわらず、6ヶ月間フレンチオークの樽で熟成させてあるというMatarromera (Barrel Fermented) Verdejo, 2014。

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元々はスペイン大使館でしか飲めない、限定のワインだったのだそうなのですが、ズッキーニと合わせた時はナッティーな印象が強く、アスパラガスと合わせると、フローラルな印象が際立って、二つの側面を楽しめる素敵なペアリングでした。ちなみに、アジアでの初上陸は、シンガポールだったとか。

Odette のJulienシェフは、以前にいたレストラン、Jaanにいた時からのシグネチャー、The Egg, Smoked Potato, Chorizo Iberico.

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オーガニックの鶏卵の温泉卵をスモークしたポテトのピュレ、イベリコ豚のチョリソーの角切り、そしてクルトンを上から散らして。

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濃厚な旨味とコクを重ねた、安定度抜群の品。サービスされる際に、ローズマリーの枝と共に提供されるのですが、テーブルに置かれたこのローズマリーの香りも、演出の一つ。

それに対して、Esquinaは、魚の一品。
Meunière Grilled Sole & Allium
Onion “Doux The Cevennes”, Spring Onion, Chive Oil, Garlic Flower

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シンプルにグリルした魚に炒めた青野菜。こういった組み合わせは、下手をすると醤油などを使いすぎて中途半端にアジアだったり、えぐみが際立ったりと、微妙に楽しめないこともあるのですが、きちんと西洋料理の構築になっていました。グリルしたヒラメに、フランスのセヴェンスオニオンと呼ばれる強い甘みが特徴の玉ねぎを添えて。下にはピュレ、サイドにはスープ。炒めた玉ねぎの葉と、酢漬けにした茎も、上には玉ねぎの花。スープには、スペインらしくシェリー酒、Amontillado(アモンティリャード)の甘いナッツの香りをスプレーで一吹き。キャラメリゼした玉ねぎのピュレのようなスープは、濃厚な旨味を出そうとすると、どうしても香りに雑味が出てしまうので、それをアモンティリャードの甘い香りで包み込むような構成の気がしました。

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そして個人的に感じた味わいの一番のキーは、黒にんにくのアイオリ。黒にんにくの、玉ねぎより一段トーンの高い甘み、そしてさらに卵黄をたっぷり使って、濃厚なコクをだし、雑味を包み込むように作っている印象で、ヨーロッパ料理として楽しめました。
Guy Amiot Clos Saint Jean Rouge 1eR Cru, 2013

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こちらには、まだ酸味の生き生きとした印象が残るピノ・ノワールを。

そして、料理のコースの締めは、Odette の、Baby Lamb Axuria ‘A La Basque’ Espelette Harissa, Eggplant, Confit Garlic

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バスク風の子羊は、腰肉の部分はステーキ風に仕立てで、きっちりと作られたジュで。腹身の部分は、じっくりと火を通してとろとろに仕上げた後、ギリシアヨーグルトと細かく刻んだレモンのコンフィをかけて。薄切りにしたきゅうりは酢漬けにして。ラムラックの骨の下には、柔らかくジューシーな一口大のフィレが隠れていて、これは塩のみの素直な味付け。添えられたナスは、外側はキャラメリゼされてカリカリに、そして内側は柔らかくジューシーに仕上がっています。
ラムラックの肉汁を受け止めているのは、ミントとレーズンの入ったクスクス、クミンを効かせたエスペレット唐辛子とパプリカのソース。アーモンドとこのクスクスを一緒に食べると、中東で食べた味そのまま。中東に影響を受けたバスク風の仕立て、というのに納得です。
Château Haut-Maurac, 2009

スパイス感、果実味、ボリューム感ともにこの子羊の香りや中東風の味わいに負けない、メドックの赤を合わせて。

そしてここからがデザート。
オデットは、Cucumber, Bay Leaf, Mint, Verbena

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肉料理の中東風の流れを受けて、きゅうりを使ったすっきりとしたデザート。きゅうりのソルベには、ベイリーフをごくごくほのかに効かせて、この後のデザートへの橋渡し。ミントのフォームと、レモンのような香りのバーベナ葉のピュレ、カリカリのメレンゲを添えて。

Esquina からはデザートが2品。
Strawberry, Mannitol, Fines Herbes

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スペイン産のイチゴは、表面を砂糖とレモンの衣で薄くコーティングして、温かい状態で提供されます。個人的にはカリッとした砂糖の衣から弾けるジューシーなほんのり温かいイチゴがとても気に入りました。ほんのりと温めたことで、甘みを強く感じ、横に添えられているレモンとバニラビーンズのソルベとの温度の対比も楽しめます。


そして、”Plantation Pineapple” Rum Baba, Coconut Espuma, Mango プランテーション・パイナップルという、珍しいパイナップルからできたラム酒を使ったババ。

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焼きたてに、スポイトでラム酒を入れて。下のココナッツのエスプーマ、マンゴーのピュレと、南国風の仕上げです。

これに合わせたのは、コニャック、Rémy Martin XO。

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特にアルコール感も味のボリュームも高い、ババとの相性はバッチリでした。

二人のシェフの出身地、スペインとフランスの魅力が詰まったコラボレーション。
Esquinaの普段のメニューは、こちらから見ることができます!

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<DATA>
■Esquina
営業時間:ランチ 12:00~14:30 (平日のみ)、ディナー 18:00~22:30 (日曜休)
住所:16 Jiak Chuan Rd, Singapore 089267
TEL:+65 6222 1616
URL: http://esquina.com.sg/
アクセス:MRTアウトラムパーク駅から徒歩9分程


2017年4月29日
2017年4月27日
2017年4月14日
2017年4月10日
2017年4月 9日
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