MRTオーチャード駅直結、マリオットホテルの素材を生かした絶品中華「Wan Hao」
シンガポールならではの、急な雨や、強い陽射しも心配なし。オーチャード駅直結と言う絶好のロケーションにあるマリオットホテルの高級中華「Wan Hao」。香港出身のレイモンド・ライ(Raymond Lai)エグゼクティブシェフによる、素材を生かした中華を提供するお店です。
今回は、EXQUISITE SET MENU A、(78シンガポールドル、税・サ別。写真はありませんが、グラスの赤ワインがつきます)に、追加で北京ダック(1羽 90シンガポールドル)をいただきました。
まず出て来たのは、北京ダック。こちらは生後6ヶ月未満の若いダックのみを使い、その中でも皮と脂肪層のバランスがよいもののみを選び抜き、究極の味わいを創り出すとか。
焼きたての北京ダックは、つやつやで本当に美味しそう。サービスの方が切り分け、見事な手つきでこの、こだわりのクリスピーな皮に、オリジナルのプラムソースにつけ、美しく巻いてくれます。
通常は甜麺醤を使ったソースでいただきますが、このプラムソースはシェフのオリジナルで、もちろん手作り。このソースに限らず、Wan Haoでは、全ての料理に化学調味料はいっさい使わず、素材から丁寧に味を引き出して作っているそうですよ。
ネギの程よい辛みと胡瓜の瑞々しさ、時間が経ってもカリカリの皮が楽しめます。プラムソースの酸味が食欲をそそる前菜です。
ここからがコースのスタート。中華の定番前菜、中華クラゲと蒸し鶏、ではなく、酔っぱらい鶏! (Jellyfish with Cucumber Roll with Drunk Chicken)。
酔っぱらい鶏には塩をほとんど使わず、とても上品な味で、紹興酒で漬け込んだ柔らかい鶏肉の本来の味わいが楽しめます。個人的には、素材の味を生かすこの引き算加減がとても気に入りました。中華クラゲもこりこりとしていながらも硬すぎず、程よい歯応えです。
続いて出て来たのは、シンガポール風の茶碗蒸しのような、"Double-boiled Minced Chicken with Crab Claw and Cordyceps Flowers"。
茶碗蒸しと違うのは、卵の分量。実は鶏肉と卵の割合が8:2という組み合わせで、鶏肉が主体になっています。それでも、くみ豆腐を思わせるような柔らかい食感にするには、火加減を絶妙に調節して出来るものだとか。最初はクリアなスープの上品な旨味、そして下に行くにつれてしっかりとした鶏肉の旨味が強くなって行き、食べ進めるにつれて味が濃厚になるという変化が楽しめます。立派なカニの身はプリプリしていて甘みがたっぷり。
Cordyceps Flowersは、歯応えのいい茸の一種。これに、黒トリュフオイルを掛けて、トリュフの香りを移したそう。とは言え、トリュフの香りが目立ちすぎる事なく、絶妙なバランスです。こんな風に、基本に忠実な上で、独自のひねりが加わった料理が繰り出されて来ます。伝統と革新を行き来する、シェフのバランス感覚が生きています。
続いては、ナマコのアワビソース、"Crispy Sea Cucumber in Abalone Sauce"。
元々アワビの専門店でキャリアを重ねて来たレイモンドシェフの新作メニューです。12時間かけて作ったアワビの出汁は、とっても滑らかで、深い味わいがあります。余分なとろみ成分は使わず、温度をしっかり管理してゆっくり煮詰めると、このように滑らかで旨味の凝縮したソースが出来るのだとか。
熱い油をかけて、こんがりと仕上げたナマコは、表面がクリスピーなのに、中がしっとりとしていてゼリーのようにやわらか。ナマコは通常煮る料理しかないそうで、「このように表面をカリッと焼いたものを提供しているのはここだけ」と、レイモンドシェフは胸を張ります。ノンコレステロールなのにコラーゲンがたっぷりで、美肌にもいいと大人気なのだとか。
脂の乗ったシーパーチ"Pan-Fried Sea Perch marinated with Sea Salt and Homemade Sauce"
レモンソルトで臭みを抜いてから焼いてあります。レイモンドシェフに、料理で一番大切にしている事は? とお聞きしたら、「全てにおいて、火加減」という返事が返って来ましたが、納得の焼き加減です。中はしっかり火が通っているにも関わらず、脂がのっていてとてもジューシー。
中国語のメニュー名に、「日式(日本風)」、とあるので不思議に思っていたら、上には芽紫蘇が。すっきりとした味わいで、脂の乗った魚と良く合います。火をいれてもしっとりとしたままの魚の身は、一瞬脂の乗った魚の刺身を食べているような錯覚を覚えます。
そして、オレンジの甘みと、下に敷かれたマイルドなイタリアンミントとマスタード、ディル、ピクルスが入ったソースの相性も抜群。レイモンドシェフのシグネチャーソースの一つで、なんと、ミントソースとマスタードで食べるラムチョップからアイデアを得たとか。
そして、地味に見えてとても印象深かったのがこちらのチャーハン。北京ダックの残りのお肉は、麺かチャーハンにできるので選んだチャーハンですが、このチャーハンが驚きの味でした。
まず、全く油っこくありません。お米もパラパラで、まさに軽い口当たり。水分が抜け過ぎたような軽さではなく、とてもふんわりと軽いチャーハンなのです。実は、レイモンドシェフは上海で行われたシェフの大会で、中華の常識から言うと極めて異例な、肉も海鮮類も入っていない、シンプルな野菜だけのチャーハンで賞を取ったほどの腕前。旨味素材である肉も海鮮も使わず、野菜の味を引き出す事で居並ぶ審査員を満足させると言うのは、卓越した技能があってこそ。
今は御年80歳を超えると言う、達人のシェフから直伝で教わったと言うこのチャーハンは、蒸気の圧力を利用して調理するからこそ出せる味なのだとか。この技をしっかりと伝えたいと、レイモンドシェフはWan Haoのキッチンに入った若いシェフに、まずはこのチャーハンの作り方を教え込むのだそう。
「昔のシェフは限られたメニューの中で、いかにクオリティーの高いものを作るかに力を注いでいた。でも今のシェフは、新しいメニューの開発や盛りつけにも力を入れなくてはいけない。それは仕事としては全く別のもので、比べたりする事は出来ないものだけど、その両方をしっかりとやって行きたい」と、目指す料理を語ってくれました。
そして、もち米の蓮の葉包み"Fried Rice with Chinese Sausages, Preserved Meats, Minced Dried Shrimps, Diced Mushrooms and wrapped in Lotus Leaf"
深みのある旨味が広がります。これには、最上級の豚レバーのソーセージ、豚肉のソーセージをレイモンドシェフの生まれ故郷の香港から取り寄せて加え、更にはアワビのソースを加えたと言う贅沢なもの。
本日のデザートは、亀のゼリー。ゼラチンを使わず、亀のコラーゲンと涼草粉というハーブで固めています。
その他、20種類もの漢方と亀を7時間もかけてコトコト煮出して作ったゼリーは、免疫力を高め、抗がん効果もあると信じられているそう。漢方の智恵が生きたゼリーは、やや苦みを感じるものの、奥深く複雑な中国ハーブの香りが生きています。
現在56歳のレイモンドシェフに、将来の夢をお聞きした所、若いシェフを育てる事、そして、自分の農場を持って毎日新鮮な素材を使って、限られた8−10皿の日替わりのお任せコースを提供するレストランを作りたいとか。
新鮮な食材を生かす高い技術と、手間を惜しまない丁寧な仕事が生きたWan Haoの中華は、どこか和食に通じる上品さを感じます。
しっかり食べても、もたれず軽やか、伝統と革新がバランス良く混ざり合っていて、上質なものを知る人にぜひ食べていただきたい中華です。
<DATA>
■"Wan Hao(萬豪軒)"
営業時間:ランチ11:00〜15:00、ディナー18:00〜23:00
住所: Singapore Marriott Hotel, 320 Orchard Road, Singapore 238865
TEL:+65 6735 5800
URL: http://www.singaporemarriott.com
アクセス:MRTオーチャード駅直結
<お勧めレストラン一覧>
筆者
シンガポール特派員
仲山今日子
趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。
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