マリーナベイサンズ/セレブ御用達ステーキハウス「CUT」

公開日 : 2015年01月28日
最終更新 :

ステーキの本場、アメリカでステーキハウスベスト3に選ばれた事もある名店「CUT by Wolfgang Puck」。この、マリーナベイサンズのお店は、アメリカ国外の初の支店でもあります。

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良質の牛肉の生産者との信頼関係から、提供する肉の質は最高級のものばかり、新鮮な食材にこだわったステーキが楽しめます。シンガポールに初めて神戸牛を紹介したレストランでもあるとか。

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プロデュースしているウルフギャング・パック氏は、アカデミー賞の公式シェフとしても知られています。日本でもカフェやカジュアルなレストランを展開していますが、シンガポールのこちらのお店は、「訪れた人がセレブとしてもてなされる」という、全く異なったコンセプトのレストラン。

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重厚な銅と革を多用した店内は、虎ノ門ヒルズにオープンしたホテル、アンダーズ東京をデザインした事でも知られる、トニー・チー(Tony Chi)の手によるもの。ゴージャスさの中に、シックな落ち着きが感じられます。

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テーブルの配置も、プライバシーが配慮された設計になっています。

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「ステーキハウス」と言えば、フライドポテトのような定番のサイドディッシュを思い浮かべがちですが、「ファインダイニングであり、ステーキハウスである」CUTの魅力のひとつは、洗練された前菜。

出て来たのは、北海道産のホタテを使ったと言う前菜(Hokkaido Scallop "Carpaccio", Shaved Myoga, Wasabi-Kosho Ponzu、41シンガポールドル )

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ビバリーヒルズにあるウルフギャング・パック氏のレストランでハリウッドスター達に料理を提供して来た、カリフォルニア出身のジョシュア・ブラウン(Joshua Brown)シェフが、シンガポールで手に入る新鮮な食材を使って創作した新しいメニューです。

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「アメリカでも日本の食材は手に入ったけれど、紫蘇の花のような痛み易い小さなハーブは質のいいものを手に入れるのが難しかった。シンガポールに来てみたら、こんなにたくさん、上質な日本の食材が手に入るなんて!と、本当に感動したよ。そこで、作ったのがこのメニューなんだ」

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(目にも美しい一皿。こんなに小さな花きゅうりが飾られていました)

食べてみると、ホタテの質の良さに、まず驚かされます。独特のまったりとしたホタテならではの食感、ポン酢ベースのすっきりしたソースとシャキシャキしたミョウガがホタテの甘みを強調します。そして、上に散らされた木の芽の甘い香りが、ホタテの甘みとよく合っていて、日本で良く目にする食材なのに、全く新しい印象に仕上がっていました。そして、日本食材の質が気になる日本人からしても、どの食材にも手を抜いていないのが実感できる、クオリティーの高い一品でした。

続いては、シグネチャーメニューの一つ、海老のカクテル(Prawn "Cocktail", Wasabi Panna Cotta, Celery Salt, Avocado Mousse, Yuzu Citrus、28シンガポールドル)

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ぴりっとした刺激のある、とろけるパンナコッタの上には、蟹かと思ってしまうほどの、大ぶりの海老の身、そしてまろやかなアボカドという鉄板の組み合わせ。上にのっているタラゴン、セボリー、マイクロバジルなどのハーブが甘い香りを与えています。パンナコッタの部分が、まるでテクスチャーの違うソースのような役割をしていて、混ぜながら食べると、新しい食感で面白いです。そして、さりげなく添えられているトマトの美味しいことに、またびっくり。アメリカから特別に空輸されたトマトなんだそうですが、ポイントは一度も冷蔵していないこと。ジョシュアシェフによると、トマトは一度でも冷蔵してしまうと、美味しくなくなってしまうんですって。もちろん、その分賞味期限は短くなってしまいますが、美味しい食材へのこだわりはこんな所にも感じられました。ちなみに、上にはバルサミコ酢とオリーブオイルをひと垂らししてあり、この香りがまた最高でした!

そして、ついにステーキが登場です!

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見た目はTボーンステーキと似ていますが、よりフィレ肉の多い、上質な「ポーターハウス」という部位のステーキ。数ある牛肉の中から、ジョシュアシェフが「牛肉の旨味と脂のバランスがいい」と選び抜いた、オーストラリアのレンジャーバレー産のアンガス牛です。(Australian Angus, 300+ Days Grain Fed, Ranger Valley, Aged 35 Days、175シンガポールドル)。

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片側はフィレ、片側はサーロイン。あっさりしたフィレ肉と、ジューシーな脂弾けるサーロイン、どちらの味も楽しめる嬉しい組み合わせ。ちなみに、「2人前」とメニューにありますが、どど〜んと990gのお肉。日本人の感覚では3〜4人でも十分にシェアできるサイズです。更に、ジョシュアシェフのお勧めのボーンマロー(牛の骨髄部分、12シンガポールドル追加)をのせて焼いていただきました。ボーンマローが、牛肉本来の香りを後押ししてくれて、更に美味しく感じられるのだそう。

300日以上穀物肥育され、更に35日熟成されたという牛肉は、とても滑らかな肉質。

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そして、熟成肉ならではの凝縮した旨味が感じられます。ゼラチン質のボーンマローは、コクのあるまろやかさで、牛肉の味わいを引き立ててくれます。そして、何よりも感動したのは、グリルされた表面の香ばしい事!これは、リンゴの木とメスキートの炭を半分ずつ入れた特製のグリルで焼き上げているからなんだそう。

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端に木を、真ん中に炭を置いて焼く事で、香りよく仕上げる事が出来るそう。もちろん、自然の炎なので、温度管理は大変。アメリカにいた時から、長年この方法でステーキを焼き続けているジョシュアシェフだからこそ出来るステーキなんだとか。

また、季節限定のサイドディッシュは、何と松茸(Matsutake Mushrooms、24シンガポールドル)!

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バターでソテーして、軽くスダチを絞った松茸は香りも良く、とっても贅沢な気分。フィレ肉との相性が特に良いように感じました。

デザートは、ベイクド・アラスカ(Baked Alaska、24シンガポールドル)。

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出て来たのを見て、そのボリュームにびっくり。ソフトボールくらいある、大きなデザートですので、シェアして食べるのもお勧めです。

こちらも、実はジョシュアシェフの新しいメニューで、なんとシンガポールの朝食の定番、「カヤトースト」を再構築し、一皿に表現したものなのだとか。

サイドのX型のソースは何と、中国醤油(スイートソイソース)でできていて、その横にはコーヒーのクランブル、そしてベイクド・アラスカのメレンゲの中には、パンダンリーフなど、カヤジャムの材料で作ったアイスクリームとココナッツの冷たいクリームの層。下には、パンをイメージした薄いケーキ、横に添えられたのは、卵黄のサバイヨン。

一口食べると、ひんやりしたアイスの中に、しっかりとパンダンリーフの香りとココナッツの香りが生きています。まわりのもっちりとしたメレンゲ、卵黄のコクのあるサバイヨンソースと合わせると、確かにあの「カヤトースト」の味!冷たさも相まって、ついついスプーンが進みます。

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アイスクリームと中国醤油の程よい塩分もバランスが良かったです。実は、ジョシュアシェフはシンガポールのマレー風定食、「ナシ・パダン」がお気に入り。ローカルフードに親しむ中で、こう言った斬新なデザートを思いついたのだとか。

最後に、「最高のステーキの為に必要なのは?」と、あえてシンプルな質問をジョシュアシェフに投げかけてみると、「肉汁を逃さず閉じ込める焼き方だとか、調味料の使い方も重要だけれど、やはり一番は、いい肉を使う事かな」という答えが返って来ました。実際、良質の牛肉を提供する牧場の信頼も厚く、シンガポールで初めて、神戸牛を紹介したり、日本でもなかなかお目にかかれない、北海道産でサシの細かい、「Snow Beef」というブランドの肉も、限定で提供しているのだとか。また、同じ牧場でも、例えばスネークリバーファームという牧場の場合、その中でも最高の質の1%のみが届けられているそう。

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ハイクオリティーな食材の魅力を生かした洗練された前菜と、熟成され、木と炭で丁寧に焼き上げられたこだわりのステーキという、なかなかない組み合わせが嬉しい「CUT」。

今後は、前菜にシーフードのメニューを増やし、ウニやイクラを含め、刺身をうまくアレンジした料理が出来ないかを考案中なのだそう。「新しい事に挑戦しなかったら死んじゃうからね」と朗らかに笑うジェイソンシェフ。一体どんなメニューに仕上がるのか、今から楽しみです!

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■CUT by Wolfgang Puck

営業時間:18:00〜22:00(日曜〜木曜)、〜23:00(金曜、土曜)

住所:B1-71, Galleria Level, The Shoppes at Marina Bay Sands, Singapore 018956

TEL:+65 6688 8517

URL: http://www.marinabaysands.com/restaurants/cut.html

アクセス:MRTベイフロント駅から直結

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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