「Yan Ting」セントレジスホテルの身体に優しい中華

公開日 : 2015年05月22日
最終更新 :

オーチャードロードの中でも比較的閑静なエリアに佇むホテル、St.Regisホテル。その、中華のメインダイニングが、Yan Ting。去年12月に、シンガポール建国の父、故リー・クアンユー氏やアメリカのブッシュ大統領等、世界の名だたるVIPに食事を提供して来たTony Wunシェフを香港から招き、新しいスタートを切りました。

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料理人としてのキャリアはもうすぐ40年になるTonyシェフですが、毎週休みの日はテニスをして身体を鍛えているのだそう。そんなシェフの生み出す料理は、シンプルで上品な味がコンセプト。

店内は、カーテンで仕切られた半個室風の席もあり、落ち着いた印象です。

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アラカルトメニューから点心まで、全てのメニューを一新したと言うことで、今回はそのTonyシェフのシグネチャーディッシュを、コース仕立てにして頂きました。

まずは、コースメニューをオーダーした際に出て来る、前菜の三種盛り合わせ。この盛り合わせは、好みを伝えると、それに合わせた内容にしてもらえるそうですよ。

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左から、※Deep-fried Whitebait Fish with Salt and Pepper (14シンガポールドル)

※のメニューはテイスティングサイズでいただいたので、実際は写真よりも多い分量で出て来ます。

白魚のような魚のフライなのですが、サクサクと軽い衣と、あっさりとした魚が口の中で溶けて行くような、とても軽やかな味わい。

※Pan-fried Scallop in Teriyaki Sauce

こちらはアラカルトメニューのPan-seared Scallops with Corn and Teriyaki Sauce(28シンガポールドル) から。貝柱の火入れが程よく、中がしっとりとした状態で提供されます。香港出身のTonyシェフは、特にシーフードとスープが得意と聞いていたのですが、確かに納得。照り焼きソースも醤油の香りが高く、この後のコースへの期待感が高まります。

※Homemade Marinated Radish (12シンガポールドル)

大根の自家製醤油漬けですが、塩分は控えめ、コクのある醤油の深みのある味わい、ほのかな酸味の大根は、歯触りも良く、食欲を刺激する味わいです。

Double-boiled Abalone Consommé with Maca Herb served in Teapot (38シンガポールドル)

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香港のトップシェフが集まる大会のアワビ料理部門で受賞したこともあるTonyシェフのアワビが気軽に楽しめる一皿。中国の伝統的な茶道に則った遊び心のあるプレゼンテーションです。まずは、急須からお茶を注ぐように、透き通ったスープを頂きます。

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上品なコクのあるスープには、なんとペルー産の「マカ」が入っているそう。Tonyシェフがこだわっているのは、上質な素材の味を生かし、健康に配慮した中華ということ。滋養あふれるスープは、深みがあるけれどもしつこくない、とても穏やかな味わいです。急須を開けて、Tonyシェフが前日からじっくりと調理したアワビを頂くことをお忘れなく!

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柔らかく弾力があり、旨味が詰まった極上の味わいです。

Braised Superior Bird's Nest with Black Truffle in Pumpkin Sauce (76シンガポールドル)

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こんなに大きな燕の巣を食べるのは初めてかも? と思うほどのボリューム。

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カボチャベースのスープですが、とてもあっさりしていて、ほのかな甘みが楽しめます。お肌にも良いと言う燕の巣とベータカロチン豊富なカボチャの組み合わせ。黒トリュフが森の香りを添えていて、優しい味わいのスープを引き締めてくれます。

Steamed Seafood Dumpling wrapped in Egg White(12シンガポールドル)

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海老やクワイ、干し貝柱など、たっぷりのシーフードを卵白で作った袋に包み、スープをかけたもの。上には卵を持ったロブスターが乗っています。ナイフで袋を割ると、盛りだくさんの具があふれ出して来ます。

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金華ハムの出汁が効いた内側の具の方が温度が高く、旨味もしっかりめ。あっさりした外側のスープとの対比が楽しめます。

※Pan-fried Chicken with Morel in Superior Soy Sauce(48シンガポールドル)

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鶏肉とモリーユ茸の炒め物。中華ではあまり使われないモリーユ茸を取り入れた一品。実は、Tonyシェフはフランスのインターナショナルシェフクラブから称号を受け取る等、フランスの賞も何度も受賞しています。こういった元々中華にあった訳ではない素材も、軽やかな中華に変身しています。

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程よい弾力があり、旨味のしっかりした鶏肉は、モリーユ茸の味に負けません。

※Baked Beef Ribs with Herbs (38シンガポールドル) served with Ee-fu Noodles

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何よりも、この牛肉の食感が最高です! 外側に、ごく薄いカリカリの層があり、その下はとろけるような柔らかい牛肉が閉じ込められています。横に添えられている、トマトベースのソースをつけて頂きます。添えられたEe-fu Noodlesは、誕生日等、お祝いの席で使われる縁起の良い麺。薄くて舌触りも優しい卵ベースの麺で、牛肉の旨味とよくからみます。

デザートは、Jelly with Ice Cream Served in Coconut (14シンガポールドル) とCrispy Red Bean and Banana Fritters (3切で8シンガポールドル)の盛り合わせ。

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ココナッツを丸ごと使ったデザートは、ココナッツウォーターで作ったゼリーの上に、バニラビーンズがたっぷりのアイスクリームが乗っています。ココナッツの内側の果肉をこそげながら、一緒に頂きます。ココナッツウォーターの自然な甘みが生きたゼリーが、ココナッツの果肉の旨味を引き立てます。

また、ローカルフードからインスピレーションを得たという小豆とバナナのフリッターは、揚げ物なのに、上質の天ぷらのように軽く揚がっていて、油残りがありません。

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さくさくの薄い衣と熱を通したことで甘みが増したバナナが、あっさりした小豆にエキゾティックなアクセントを加えています。

Tonyシェフの料理は、どれもすっきりとした洗練された味付け。中華と言えば、味が濃くて油っこい...そんなイメージはどこかに行ってしまいます。食材のテクスチャーを引き出す火入れが絶品、そして、何と言っても、味の決め手のスープが、しみじみ美味しく、上品な出汁が身体にしみわたります。お腹いっぱい食べても胃もたれせず、身体が軽やかになったように感じる、そんな中華です。ダイエット中の女性や、会食の多い方やご年配の方など、健康に気配りをしている方にも、安心しておすすめできる中華です。

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■Yan Ting

営業時間:ランチ 12:00〜14:30 ※週末は点心ブランチ(10:30〜12:30、13:00〜15:00の二回転制)あり 、ディナー 18:30〜22:30、(無休) 

住所:29 Tanglin Rd, The St. Regis Singapore Level 1U, シンガポール 247911

TEL:+65 6506 6887

URL: http://www.yantingrestaurant.com/

アクセス:MRTオーチャード駅から徒歩12分程

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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