「Future World」チームラボによる世界初の常設展、マリーナベイサンズに誕生!

公開日 : 2016年04月11日
最終更新 :

マリーナベイ・サンズにある、蓮の花をイメージした美しい美術館、アートサイエンス・ミュージアムに、日本のウルトラテクノロジスト集団チームラボが、初の大規模な常設展、「フューチャーワールド」(FUTURE WORLD: WHERE ART MEETS SCIENCE)の公開がスタートしました。

デジタル技術を生かして生み出された「デジタルアート」は、双方向でのコミュニケーションが可能な、参加型のアート。アートサイエンス・ミュージアム全体の4分の1を占める1,500平米もの広い空間は、「自然」「街」「公園」「宇宙」の4つのゾーンで構成された展示空間となっており、15作品が展示されています。

「自然」は、実際の季節と連動して、四季を感じることができる展示。それだけでなく、訪れた人の動きに合わせて変化し、自らが芸術作品の一部のように感じられるようになっています。その中のひとつが、「花と人、コントロールできないけれども、共に生きる」。暗い空間の中、季節の花が次々に咲いては散っていきます。実際の季節の花が咲くようになっているそうで、春の菜の花などが咲いていました。「散る瞬間が一番美しいのですが、人が触れると散るようになっています。また、ずっと同じ場所に立っていると、その場所から花が咲いてくるようになっています。

Flowers and People, Cannot be Controlled but Live Together - A Whole Year per Hour_pace01.jpg

「絵具とキャンバス、というような物質に縛られたアナログのアートと違って、人がいることで美しくなるデジタルアートで、他者の存在をポジティブにとらえてほしい、そんな思いを込めました」と、チームラボ代表の猪子寿之さんは語ります。

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もう一つは、「百年海図巻 アニメーションのジオラマ」。広々とした横長のスクリーンの展示の前には、大きなクッションがいくつか置かれ、寝転がって楽しめるアート。

100 Years Sea_ASM.jpg

実際に寝転がってスクリーンを見ると、美しい松の木が生えた島が映し出されます。まるで日本昔話のよう、と思ってみていると、みるみるうちに海面が上昇し、島が飲み込まれていきます。寝転がって見ていると、自分自身が海に飲み込まれていくような、そんな錯覚を覚えます。WWF(世界自然保護基金)の科学的なデータに基づいて、今後100年間の海の変化を10分間に凝縮した作品なのだとか。

言葉で伝えられるより、地球温暖化がリアルなものに感じられます。何より、実際のデータに基づいているという説得力があります。

そこからすべり台を滑り降りて訪れることのできる「街」へ。(もちろん、すべり台を使わなくても入れます)

この中でも印象的なのが、来場者が描いた絵で街ができていく作品「お絵かきタウン」。アートサイエンス・ミュージアムでの展示のために、シンガポールをイメージした架空の街になっています。

Sketch Town_ASM01.jpg

来場者が二次元である紙に描いた建物や車、宇宙船などが、マリーナベイ・サンズやシンガポールフライヤーなど、シンガポールならではのランドマークも登場する街に立体的な三次元の姿になって投影されます。みんなで参加しながら街を作る、自分が参加することによって街が変わっていく、そんな体験ができる空間になっています。

「学校で絵を描くと、どうしても上手い、下手、という競争的な縦型の判断軸になりがち。多様な絵があるから面白い、いろいろな人がいるから楽しい。そんな風に多様な価値観を認める社会へのきっかけになれば」、と猪子さんは語ります。

また、もう一つの「つながる!積み木列車」は、台の上に投影された街に置かれた同じ色の積み木同士をつなげると、色ごとに線路や道路、水路などができていきます。自分の頭の中に描いたものが、すぐさま形になる喜びは、デジタルアートならでは。そして、この街に飛んでいるヘリコプターからの俯瞰の映像が、実はすぐ横のスクリーンに映し出されています。

「未来を生きる子どもたちに、二次元でなく、三次元のものの考え方を、遊びながら無意識のうちに感じ取ってほしい」と猪子さん。

Connecting! Train Block _pace03.jpg

「公園」の中で印象的だったのが、「憑依する滝」。

デジタルで岩を作り、その岩にデジタル技術で水を落とし、その動きを分析して映像として再現する、というもの。つまり、この映像を作るのにあたって、実際の滝も岩も、存在していません。それでも、人の目には、とてもリアルな滝と岩が見える。これは、人間の視覚的な認知や認識がどのように成り立っているのか、それに挑戦している映像でもあるように感じられます。

Universe of Water Particles_ASM03.jpg

最後のテーマは、「宇宙」。こちらの作品「クリスタルユニバース」は、約17万個のLEDを使った空間に入り歩きまわることができ、また、スマートフォンで惑星の形のエレメントを選び、この空間に投げ、クリスタルユニバースを創ることができるという作品。普段は気づかないけれど、究極に俯瞰してみるならば、自分はこのように宇宙の中の一部であるのだな、と実感できる展示。キラキラした世界はとても幻想的で、心が浮き立つ空間です。

Crystal Universe_pace06.jpg

「ぜひ、一度だけでなく、何度も訪れて、未来の世界を感じてもらいたいし、未来の創造的な思考に、脳をバージョンアップしてほしい」と猪子さん。

この他にも魅力的な展示が詰まった、このフューチャーワールド。大人も子どもも遊び心をくすぐられ、美しさに癒され、そして学べる展示。ぜひ訪れてみてくださいね!

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■FUTURE WORLD: WHERE ART MEETS SCIENCE

日時:2016 年 3 月 12 日(土)~ 常設展示 (年中無休)

開館時間: 10:00~19:00(最終入場 18:00)料金: (カッコ内)はシンガポールレジデンス

チケット:スタンダード 13 歳以上: S$17(S$14), 65 歳以上: S$14(S$11), 12 歳~2 歳: S$10(S$7)ファミリーパッケージ(子ども 2 人、大人 2 人) S$44(S$35)。シーズンパス 個人: $90, 家族: $150 ※訪問制限なし(2016 年 12 月 31 日まで有効)

URL:http://exhibition.team-lab.net/singapore/

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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