「Skirt」 W Hotel Sentosa Cove 海に面したスタイリッシュなステーキハウス

公開日 : 2016年06月23日
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セントーサにあるスタイリッシュなホテル、W Hotel Sentosa(ダブリューホテル・セントーサ)。スターウッドホテル系列の中でも、特にデザインにこだわりのある層をターゲットにしているというだけあって、セントーサのリゾート感あふれる中にも、どこかエッジの効いた、アーティスティックな空間が広がっています。私は午後6時半頃お邪魔しましたが、早い時間帯は奥にヨットハーバーと緑を望む開放的な雰囲気、遅い時間は、牛の生活をイメージしたという、幻想的な空間が広がっています。

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そんなW Hotel Sentosaのメインダイニングが、Skirt(スカート)。様々な種類の熟成肉と、シーフードがメインのお店です。レストランを率いるのは、シンガポール出身のLarry Koh(ラリー・コー)シェフ。現在29歳のLarryシェフは、セントーサにあるファインダイニング、Joel Robuchon(ジョエル・ロブション)のオープニングスタッフとして、東京、ラスベガスのオープニングにも携わった檀崎友紀シェフの下でキャリアをスタート。食材の適切な切り方など、料理の基本的なスキル、そして、プロとして、自らを律し、真摯に素材に向き合う姿勢などを学んだのだそう。

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その後加わった、マリーナベイサンズのレストラン、DB Bistro Modernでは、当時のエグゼクティブシェフ、Stephene Istel(ステファン・イステル)シェフの下、エネルギッシュに、スピーディーに料理をすること、素材の味わいを最大限にするにはどうしたらよいか、を学んだのだとか。そして、オーストラリアで家族が営む牧場で育ったという、Skirtの前任のシェフ、Andrew Nocente(アンドリュー・ノセント)シェフからは、牛肉の種類に応じた調理の仕方など、牛肉についてのすべてを学んだといいます。

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「でも自分の料理のスタイルは、特定のシェフのスタイルを踏襲しているわけではない。大切にしているのは、素材の味を生かすこと、料理は素材の味を後押しするもので、調味料などの味で本来の味を覆い隠してしまってはいけないと思っている」ということ。個人的に好きなシンガポール料理はホッケンミーで、肉と海鮮の旨みが溶け込んだシンプルな塩味のスープがたまらないのだとか。

そんなLarryシェフですが、母がベジタリアンということもあり、家ではもっぱら野菜と大豆などが中心の生活を送っているのだそう。

料理は、基本的にすべてオリジナルメニューになったそうで、日本人ということで、アミューズで出てきたのは、寿司!

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生のホタテの貝柱に、ネギや海苔、ぶぶあられやキュウリなどをすべて米粒ほどの大きさにそろえた「酢飯」の上に、佐賀牛をごく軽くあぶったものが載せられています。こういった海の幸と山の幸のコンビネーションが、Larryシェフは大好きなのだとか。

食べてみると、ホタテの甘みに、細かく刻んだキュウリのフレッシュな食感と緑の香りがすがすがしく、カリカリしたあられの香ばしい食感や海苔の香りが寿司らしい印象。ホタテの甘みをそのまま押し出し、極上の佐賀牛の脂の甘みとリンクさせています。

それに合わせて、おすすめのカクテルは?とお聞きして、作っていただいたのが菊正宗の樽酒にパイナップルを漬け込んだという、

特別なマティーニ、Remastered Sake。すっきりとした味の中にパイナップルのフルーティーさ。日本酒なのでアルコール度は低めでまろやか。ほのかな樽の香りが全体に厚みを加えています。

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時々、菊正宗との日本酒ペアリングディナーを行うこともあるのだとか。

パンは、自家製のチャバタ。エルサレムアーティーチョークの、少し土の香りのする素朴な味わいと酸味が感じられるピュレと、

チョリソーを漬け込み、香りをつけたオイルと共に提供されます。

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スターターには銅のフライパンの上に載った様々なシーフードがテイスティングサイズで食べられるSeafood Platter(S$79)がおすすめ。

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やはり、海のそばだけに、こういったシーフードを見ると、気分が上がります。

Boston bay mussels casserole,chorizo, piperade

まず、ボストン産のムール貝のキャセロールは、チョリソーで香ばしい香りをつけ、ピペラード風(

トマト、ピーマン、玉ねぎを使ったバスク地方の料理)に仕上げたもの。内側がふんわりしたフランスパンにニンニクと唐辛子のソース、Rouille(ルイユ)を塗ってあります。

魚介の旨みに、角切りのベーコンのコクが溶け込んだアメリケーヌソース。ムール貝は旨みがあり、臭みは全くありません。

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Marinated king prawns, grilled summer vegetables

オリジナルスパイスに漬け込んだキングプラウンは、味噌までおいしく食べられる新鮮さ。どこかエスニックなスパイス、香ばしい炭の香りをまとった味わいは、海沿いの開放的な雰囲気にぴったりです。

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Petuna ocean trout tartare,avocado puree

カリッとした豚の皮のチップの下には、滑らかな生のオーシャントラウトをアボカドのピュレで和えたもの。見た目はマヨネーズのようですが、セロリの香りと相まって、それよりも軽く、後味がすっきりしている印象です。トラウトとも相性抜群のイクラが乗っています。

このSeafood Platterだけの特別メニューは、チリクラブをイメージしたクラブケーキ。ぎっしりと詰まったカニの身に、ピリリと辛いチリクラブのソースが添えられています。チリクラブを再構築したような一皿。日本酒ベースで、軽やかなアルコール感の、パイナップルのカクテルとよく合います。

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そして、カニの身のトマトスープ仕立ては、大きなカニの身の食べごたえは抜群。酸味の効いたトマトのソースが、カニの甘みとキャビアのコクを引き立てます。

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そして、肉とともに、フォワグラの前菜(写真左)を。

Foie gras torchon, sliced brioche, chocolate infused oil(S$32)

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フォワグラのトーション仕立ては、滑らかな舌触りのフォワグラと、ブリオッシュのカリカリとした食感の対比で、バターの香ばしさとサクサクの食感が、ポワレのような印象を与えています。チョコレートオイルは、カカオ豆のビター感というよりも、チョコレートクリームのような印象で、程よい甘みとコクがあり、横に添えられた赤ワインで煮たブルーベリーのほのかな酸味が、重たすぎないバランスになっています。

メインディッシュの前に、サービスマネージャーのPaoloさんから、小さな瓶が渡されます。「アップルビネガーのクレンザーです」

お肉を食べる前に、口の中をリセットして、しっかりとお肉を味わってもらおうという趣向。

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メインはお肉のテイスティングセットTasting Platter of 5 breeds(S$250~)。こちらでは、アメリカ産のメスキートの木を使っていて、メスキートならではのスモーク香で、とても香ばしく焼きあがっているのが特徴です。

スモークした塩と、タバスコのような、少し酸味が効いたバーベキューソース、バターハーブソースと共に提供されたのは、それぞれ100グラムずつ、左上から

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1)30 days dry-aged(in house)Australian Wagyu beef, Ribeye、

2)USA(Idaho) snake river farm wagyu,Tenderloin、

3)A4 Saga-Gyu,Japanese black-haired cattele, Kyusyu, Japan,Sirloin

4)Hereford grass fed, John Stone Longford, Republic of Ireland, Tenderloin(dry-aged for 20days)

5)Carifornia Black Angus beef, Ribeye

でした。

1)の、Skirtの熟成庫で30日間ドライエイジングされたというオーストラリア和牛のリブアイは、後味にはっきりとした旨みが残り、脂の旨みは一番しっかりと感じられました。5)のカリフォルニアのブラックアンガスと同じリブアイでしたが、こちらの方が脂の融点が低く、口の中でとろける感覚が味わえました。

2)の、スネークリバーファームの和牛は、テンダーロイン(ヒレ)ということもあり、とろけるような柔らかい肉質が印象的。鉄分の香りも強過ぎず、程よい味のバランスで、私は海外産の牛肉の中では、一番気に入りました。

3)の、日本の佐賀牛は、脂の甘みが楽しめる肉。噛むとはじける脂の感覚は、きめ細かい霜降りと、脂の融点の温度が低い、日本の和牛ならではという印象でした。

4)の、アイルランドの牛肉は、牧草育ちというだけあり、草原を思わせるような植物の香り、そしてジビエや鴨の肉のような野性的な鉄の香りが濃く、味わいはさっぱりとみずみずしい印象の肉。

5)カリフォルニアのブラックアンガスは、脂のナッツのような香りが強く、脂の香ばしさを味わう肉。赤身の部分も、噛めば噛むほど味が出るような印象でした。

お店のおすすめのサイドディッシュは3品。

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茎の部分が長いブロッコリーのような、ブロッコリーニをバターでソテーし、生のサクラエビをあしらったSauteed broccolini with sakura ebi(S$15)。サクラエビの海の香りと、プチプチした食感も楽しい一皿です。

シメジや椎茸、ブナピーなど、様々な種類のキノコを、程よい歯ごたえを残してハーブバターで香ばしくソテーした、

Sauteed medley of mushrooms(S$16)

オレキエッテパスタを、マカロニチーズ仕立てにして、アルビュフェラソースで仕上げた、Orecchiette mac and cheese, albufera sauce(S$16)は、鶏の出汁とマッシュルームを煮出したクリームがベースのアルビュフェラソース。焦がしバターのような香ばしさと、自然な、でも濃厚な旨み、そしてもっちりとしたパスタが絶品でした。

デザートは、左から、アールグレイティーのブリュレ、レモングラスとココナッツのブリュレ、チョコレートとヘーゼルナッツのブリュレ、という、3種類のブリュレのセット、Trio Palette Crème Brulee: Milk Chocolate & Hazelnut Coconut&Lemon Grass / Earl Grey Tea(S$20)。

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すっきりとした柑橘類の香りのアールグレイのブリュレ、そしてレモングラスの南国らしい香りと、まろやかなココナッツの味わいが広がるブリュレ、そしてチョコレートとナッツでできたクリームのような印象のチョコレートヘーゼルナッツ。

そして、熱々のフォンダンショコラのケーキ、Warm Chocolate Mud, Marinated Strawberries with Mint Crème Fraiche Ice Cream(S$24)は、中から濃厚なチョコレートがトロリ。

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甘みとほろ苦さのバランスもよく、チョコレートを食べた後なのにも関わらず、サイドに添えられたイチゴとラズベリーの甘いこと!厳選された材料を使って作っているのがよくわかります。

リゾート感あふれるセントーサ島のスタイリッシュな空間で、新鮮なシーフードや様々なタイプの牛肉をそろえたSkirt。

特に、ドライエイジング・ウェットエイジングなど、その肉のタイプに合わせて、様々な熟成方法を考えた牛肉へのこだわりは特筆もの。今回ご紹介した以外にも、色々な牛肉がそろっていますので、ぜひ、お好みに合うステーキを探してみてくださいね!

サービスも心地よく、記念日など特別な日を祝うのにもピッタリですよ。

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■ Skirt(スカート)

営業時間:18:00~21:00(ラストオーダー)・無休

住所:W Singapore Sentosa Cove, 21 Ocean Way, 098374, Singapore

電話: +65 6808 7278

アクセス:中心街からタクシーで20分ほど

※ホテル内のレストランですが、子どもの同伴は8歳~ですので、ご注意ください

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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