10月1日は乾杯の日!シンガポールでも一斉乾杯

公開日 : 2016年10月06日
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もともと、新米を収穫し、日本酒を作り始める時期であること、また10月が十二支の酉の月にあたり、酒を意味する感じである、と言うことで1978年に日本酒造組合中央会によって制定された、10月1日の日本酒の日。

この日に、日本と世界で一斉乾杯をして「乾杯の日」として定着させていきたい、というイベントが、世界に広まり始めています。

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3年前はシンガポールと佐賀で行われたこのイベントですが、去年は日本で初めて、全国一斉乾杯が行われることとなり、シンガポールと日本でおよそ4万6906人の参加者が集まりました。

今年も、東京会場の明治記念館には約500人の日本酒愛好家が集結。

シンガポール側のメイン会場には151名、それ以外にも18軒の参加レストランで振る舞い酒が提供されて、同時乾杯が行われ、日本各地での乾杯を合わせると、のべ7万6393人が参加。

シンガポールのメイン会場、セントーサゴルフクラブで行われた乾杯イベントにお邪魔しました。

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入り口では、シャンパンの代わりに、スパークリングの日本酒がふるまわれ、その後は自由に試飲ができる仕組み。

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同時乾杯は、シンガポール時間午後7時(日本時間午後8時)で、東京側での発声は、佐賀県の蔵元、天山酒造の6代目、七田謙介さん、

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シンガポールのメイン会場では、主催の酒サムライ・清永真理子さん、そして日本から駆け付けた岐阜県飛騨の酒蔵、天領酒造の9代目、上野田又輔さんと、「蓬莱泉」で知られる関谷醸造の7代目、関谷健さんが行いました。

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スカイプ中継のスクリーンに、東京の映像とともに、カウントダウンの数字が映し出され、国境を越えたにぎやかな乾杯になりました。清永さんも「去年の約2倍の151人が集まった。日本人以外の参加者も増えている」と笑顔。

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お料理は、スパイスの効いた魚のすり身をバナナの皮に包んで焼いた「オタ」など、シンガポール料理を中心としたビュッフェ形式。日本各地の酒蔵から集まった24種類の日本酒と、自由に組み合わせて楽しみます。

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参加はチケット(前売りS$88++、当日S$108++)を購入する仕組み。

Facebookで情報を見て、チケットを購入したというロシア出身のナタリアさんは、

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「日本に数か月間滞在したことがあり、その時に日本酒の魅力を知った。日本酒は一人で4合瓶1本くらいは飲むけれど、上質なワインと同じで、翌日二日酔いにならないのでうれしい。ワインと同じように、米の種類や醸造工程によって味が違うから、こんな風に色々なタイプの日本酒を一度に楽しめるイベントは貴重」と語ります。

会場では、日本酒のタイプが爽酒、薫酒、醇酒、熟酒といった日本酒の基本的な味わいのタイプや製法などが日本語と英語で紹介されました。

ビンゴ大会で、浦霞と一ノ蔵が当たったカナダ人の女性は、

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「日本酒は個性が強すぎず、口当たりが滑らか。どんな料理にも合うので、これまでもよく飲んでいたけれど、色々な種類があることがよくわかった。これから銘柄や味わいの違いを、もっと知っていきたい」と語っていました。

私と一緒に来てくれたフランス人の友人は、シンガポールに来て日本酒が好きになったのだとか。秋限定のひやおろしを飲んで、「日本酒に季節限定の味があるとは初めて知った。熟成感があって、フランス料理にも合いそう」と話していました。

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天領酒造の9代目、上野田又輔さんは、アメリカに留学してワインの流通を学んだこともあるそう。

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「下呂温泉のすぐそばにある酒蔵だけに、地下水が豊富。うちの酒は蔵の井戸に湧く超軟水の地下水だけで作られているので、口当たりがとても滑らかなのが特徴」と語ります。この日は、35%まで磨いた山田錦を使い、絞らずに袋から落ちるしずくを集めて作ったという、メロンのような上品で繊細な香りが特徴の「天禄拝領大吟醸」、地元飛騨産の米「ひだほまれ」の旨味を感じる「ひだほまれ純米吟醸」、炭酸ガス注入式で、炭酸水ペリエの5倍の炭酸という、アタックのはっきりした泡と、やや甘口の味わいが特徴の「すますまスパークリング」の3種類を披露。「暑さもあるせいか、シンガポールではスパークリングが一番人気」だったそう。ちなみに、このすますまスパークリングは、100%地元産。「米、水だけでなく、酵母も『岐阜清流酵母』という地元のものを使っているのが自慢です」と語ります。

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もう一つの酒蔵、「蓬莱泉」で知られる愛知県の関谷醸造の7代目、関谷健さんは、「蔵の裏山から湧き出す水だけを使っている」のだそうで、「辛口に作っても、辛口だと感じてもらえないほど」柔らかい味わいが特徴だとか。今回は、シャンパンと同じように瓶内二次発酵して作ったスパークリング、「蓬莱泉やわくちスパークリング」、一年間熟成した奥行のある味が人気で、日本でも入手が困難な「蓬莱泉 空 純米大吟醸」、そして空よりもフルーティで華やかな「蓬莱泉 美 純米大吟醸」の3種類を紹介。「実は、空は後味を軽くするために麹にする前の米をさらに削って作った、手間のかかったお酒。同じ本数を持ってきたけれど、空が一番早くなくなった。『柔らかな味、滑らかなテクスチャー』というフィードバックを得ている。味が気に入って、リピートでいらした方が多い。シンガポールは、日本酒に対する味覚が洗練されていて、日本酒の好みも日本に近いと感じた」とのこと。

世界に日本酒を広める活動をしていることが評価され、日本酒造青年協議会による「酒サムライ」の称号も持つ清永さん、日本とシンガポールを行き来しながら、日本酒ペアリングイベントも行っていくそう。

10月28日には、清永さんもゲストとして参加するという、日本名門酒会シンガポール大試飲会が行われます。詳しくはこちらをご覧ください。

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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