ミシュラン一ツ星クラッシックフレンチ、新生beniへ!

公開日 : 2017年03月04日
最終更新 :

店舗を移転して、新生オープンしたミシュラン一ツ星フレンチ、beni に行ってきました!

日本のミシュラン三つ星レストラン、ロオジエを始め、東京のRitz Carton Hotelのフレンチ、Azur 45などでキャリアを重ねてきた山中賢二シェフが2015年にオープンしたレストラン。去年4月にリノベーションのため一旦クローズしましたが、7月にミシュラン一ツ星を獲得、8ヶ月のブランクを経て、12月に待望の再オープンを飾ることになりました。

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4階から、さらに広い2階席に移り、カウンターのみの席だったのが、8人までが入れる個室、カーテンで仕切れる半個室も完備。ビジネスユースや家族の集まりなどにも対応できるようになったのも嬉しい限り。

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「フレンチの食材とソースの組み合わせは、長年の歴史の中で培われて来たもの。自分勝手にそのルールを壊すのではなく、季節によって食材が変わったとしても、その王道の組み合わせの根本にあるものを守りたい」、というのが山中シェフの想い。いつ食べても間違いがなく「あの味が食べたい」と、お客様が戻ってくる、そんな店にしたいのだと言います。

もちろん、現代的人の味覚に合わせて重すぎないバランスに仕上げてはありますが、数日間かけて丁寧に作られたソースといい、クラッシックな王道フレンチが好きな方には、絶対にオススメしたいお店。

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フルオープンのキッチン。カウンター席からは、全ての工程を見ることができます。

こちらは、下東登スーシェフ。

スタートの前に、グラスシャンパンをいただきました。Vilmart & Cie, Grande Reserve Premier Cru brut。

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ワインのセレクションは、ソムリエでもあるサービスのラッフルズホテルのラッフルズグリルのマネージャーで、ベストサービス賞を受賞したこともある、スイス人Antoine Capelliさんによるもの。

ビオダイナミック農法で育てられたぶどうで造られたワインで、ピノ・ノワール70%、シャルドネ30%。ピノ・ノワールの程よいコクと、きりりとしたシャルドネの気品が合わさったバランスの良いシャンパン。どこか梅の花のような香りを感じました。

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今回は、S$68のランチコースに、シグネチャーの尾崎牛をプラスした特別構成で。

まずは、スタートに自家製パン。内容は日によって変わるそうですが、この日はちょっと遊び心を入れて、青海苔を練りこんだ一口サイズの丸いパンです。できたてのアツアツを保つために、袋の下には、温めた石が置いてある工夫も嬉しいところ。

バターは、ボルディエの無塩バターに beniのロゴを浮き彫りにして。

ミネラル感のあるハワイの火山塩、日本の山椒、そして海塩が添えられています。

ふっくらとした熱々のパンは、手でちぎって気泡を潰してしまうのではなく、ふんわりしたそのままの食感を楽しみたくて、お行儀は悪いのですが、ちぎらずそのまま頬張ってしまいました。しっかりクラストを作るパンとはまた違う、柔らかいパンならではの、口から鼻に抜ける穏やかな小麦の香りに、童心に戻ったような、とても幸せな気分になります。

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まず、一品目は今回のリニューアルに合わせて有田焼の名窯、カマチ製陶に作ってもらったという、美しい小さなグラス型の器。内側の底の部分が丸くなっていて、スプーンのあたりがよく、また残さず中身が掬えるような工夫がされています。

ここに、クレソンのソース、フランス産の牡蠣に、牡蠣とムール貝のジェリーを乗せたものを合わせて。すっきりとしたスタートに。

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たっぷりのRougetのフォワグラをフランス・ランド産のPoulet Jaune(プーレ・ジョーヌ)で巻き上げた一品。黄色い鶏、という意味のPoulet Jauneは、放し飼いの地鶏で、コクのある味わいが特徴。元々はブレス産のAOCの地鶏を使っていたそうですが、こちらの方が柔らかいテクスチャーがあるということで、変更したそう。

コクのある柔らかい身、甘みがあり香りの良い皮。個人的にとても好きな地鶏です。そこに、ピスタチオを巻き込んだフォワグラが加わり、ピスタチオの自然なナッツの甘みと香り、濃厚な旨みをプラス。

サイドに添えられたドライトマト、マッシュルームはソテーした後シェリービネガーでマリネしてあり、加熱した雑味の感じられないすっきりとした味わいに。小さなスライスのペコロスが一切れ、サラダ仕立てですが、ざっくりと盛りつけるのではなく、付け合せ一つとっても、味のバランスを考えて適正な分量を盛り付けてあるのがわかります。全体の味を引き締める、自家製の粒マスタードを添えて。

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次の魚は、青森産のアンコウのロブスターソース。

それに合わせて、サンセールのソーヴィニョンブラン。草原の香り、そしてどこか青いマンゴーのような味わいがあります。

アンコウは皮を使わないので、硬くなるのを防ぐために、スモークした豚の背脂、ラルドと網脂で巻いて焼き、蒸し焼きのようにしっとりと焼き上げてあり、白身の肉のようなむっちりとした存在感。ローズマリーやカイエンペッパー、パプリカやタイムなどのハーブやスパイスを合わせて、どこか南仏を感じる味わい。

オマール海老の頭から丁寧に出したソースに、贅沢にトリュフをみじん切りにして入れて作ったルビーポートワインのソースを合わせて香り高く仕上げています。上に乗った小さなフェンネルは、コリアンダーやオレンジの果汁と共に煮てから、表面をこんがりと焦がして。フルーティーな酸味が、オマール海老のソースに生き生きとした印象を与えています。

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そして、私の大好きな尾崎牛のシグネチャー。

こんがりとグリルされた尾崎牛は、表面にごくごく薄いカリッと焼き上げられた層があり、そして噛むとその内側から上質な脂が溢れ出してきます。滑らかな肉質を感じながらさらに噛むと、赤身の肉の旨味。そして、そこに、トリュフをまとったクリーミーなポテトのピュレ、そしてこっくりと深い味わいのマディラソース。このマディラソースには、仕上げに尾崎牛の脂が加えられていて、旨みたっぷりの味わいは格別。

紫芋のチップ、小さな紫のベビー人参、ブロッコリーやスナップエンドウなどのしっかりとした味わいの野菜と共にいただきます。

尾崎牛は通常S$228のコースでの提供。ポーションは、写真は60gですが、二倍の120gになります。

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ちなみに、個室でいただく場合、美しい「打雲」と呼ばれる、波状の紋が入った日本の高村刃物製の特注のナイフでいただくことができます。

デザートは、鈴木良ペストリーシェフによるもの。

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Waku Ghinの石野シェフの教え子だという鈴木シェフ、登場したのは、シンブルなチョコレートのケーキと甘すぎないマンゴーのアイスクリーム。

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チョコレートケーキを割ると、中からチョコレートのフォンダンがあふれ出します。一口食べるとパッションフルーツの自然な酸味が、チョコレートのカカオ感にぴったり。さっくりとした表面、きっちりとクラッシックを作っている印象です。

ソースの円にさりげなく等間隔に置かれたパッションフルーツの種が、程よい食感と酸味のアクセントになっています。

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プティフールは、生クリームを乗せたイチジクとブラックベリーのタルト、ブラウニー、マドレーヌ。

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個人的に一番気に入ったのが、イチジクとブラックベリーのタルト。イチジクのコンポートに、ブラックカラントのジャムを混ぜてカスタードクリームを絞ってあります。アーモンドが入ったタルト生地の香り高さがとっても印象的で、お聞きすると、作り置きせず焼きたてを提供するようにしているのだとか。

ブラウニーも、くるみの香ばしさが生きていて、程よい甘さのクリームがふんわり。見た目の派手さはないのですが、素材を素材らしく提供している、上質な味わいのプティフールでした。

クラッシックの土台に基づいた王道フレンチ、ぜひ訪れてみてくださいね!

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■ beni (ベニ)

営業時間:ランチ 12:00~15:00、ディナー 19:00~22:00 (日曜休)

住所:333A Orchard Road #02-37 Mandarin Gallery Singapore 238897

電話: +65 9159 3177

アクセス:MRTサマセット駅から徒歩6分

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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