【特別編】シンガポールから6時間半、秘境パプアニューギニアへ!

公開日 : 2017年06月15日
最終更新 :

秘境旅行が好きで、かれこれ45カ国になろうという私。それでも、行ったことがなかった場所が、パプアニューギニア!

今回、雑誌の企画で、ずっと見てみたかった、カカオ豆の生産現場を、パプアニューギニアで取材するという、素晴らしい機会をいただきました。

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20年前にパプアニューギニアに駐在して以来、温かい人々に魅せられ、パプアニューギニアと日本をつなぐ仕事をしたいと、バニラビーンズとカカオ豆の商社「バニラハウス」を立ち上げた小瀬一徳さん、アジアのベストパティシエで、東京の二ツ星フレンチ、エスキスの成田一世さんと、アシスタントの青柳東洋さん、また、パプアニューギニア政府のカカオ研究所、Cocoa Coconut InstituteのKanah Pouruさんをはじめ、島の人たち、そして首都ポートモレスビーでは、JICAの伊藤明徳さんに、大変お世話になりました。

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せっかくの貴重な機会、今回は特別編ということで、パプアニューギニアの観光についてご紹介していきます。

パプアニューギニアは日本から南に約7時間、南太平洋に位置する大小多くの島がある島国です。

ちなみに、コンセントはオーストラリアと同じI型、電圧は240ボルトです。時差はシンガポールからは+2時間、日本からは+1時間です。

私はシンガポール出発、馴染みのあるチャンギ空港から。初めて乗るニューギニア航空。どんな飛行機なんだろうと、ワクワクしながら乗り込みました。

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飛行機が出発したのは夜8時15分、機内には機内誌やビデオなどのエンターテイメントもありました。

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中でも、パプアニューギニアの様々な地方を紹介するビデオは、情報が少ない中で貴重なものとなりました。機内食はパプアニューギニア料理?と思いましたが、洋風の料理が出てきました。

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数時間寝て、パプアニューギニア時間、朝4時50分にポートモレスビーに到着です。

ここで、他の皆さんと合流。現地の最新の事情について、伊藤さんからお話をお伺いした後、国内線で取材先のあるマヌス島へ。

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ポートモレスビーの国際線から国内線への移動は、歩いて5分程度。日本語の案内板もあります。

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国内線のターミナル。

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マヌス島の空港に到着。簡単な屋根があるだけの、こぢんまりとしたのどかな空港です。単線の走る地方都市の列車の駅、というような風情。荷物はベルトがなく、飛行機から降ろされて来たものを、こんな感じでそれぞれに持って行きます。

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マヌス島では、小瀬さんが「パプアニューギニアのお父さん」と呼ぶ、ソロモンさん一家に、バニラの畑を見せてもらったり。ゆっくりとおしゃべりしながら、島の時間を楽しみました。

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交通手段は、小瀬さんがソロモン一家にプレゼントしたトラックの荷台。雨が降るとビニールシートを下ろして雨も防げるよう工夫されています。

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島には一軒だけ、インドとフィリピンの合弁資本でできたというスーパーマーケットがあり、歯ブラシ、石けんなどの日用雑貨はもちろん、オーストラリアのTim Tamから、日本の出前一丁まで(中国生産でした)!揃っていました。離島のため、ポートモレスビーと比べると割高なようです。輸入品がほとんどのため、こういった場所での物価は、東京よりも少し高いような印象でした。

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逆に、地元のものが欲しい場合は、市場がオススメです。

地元の人に大人気だったのが、ビートルナッツ、と呼ばれる檳榔樹の実。

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Dakaと呼ばれるマスタードの仲間の実に石灰の粉をまぶしたものと共に、中の種をガムを噛むように噛みます。檳榔樹の実を食べる地域は他にもありますが、地元では「パプアニューギニアのビール」と呼ばれているそう。種は白いのですが、石灰との化学変化で歯や歯茎が朱色に染まります。男性女性問わず、噛んでいる人はいますが、宗教的な理由などで口にしない人もいます。

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バナナの種類の豊富さにも驚かされます

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ブダイのような鮮やかな色の魚も、もちろん食用。

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マヌス島にしかいないという、緑色のカタツムリが、アクセサリーになって売られていました。

食事のベースは、島に生えているバナナやココナッツ、そしてタロイモやサゴ椰子(根元のデンプンを水にさらして、粉にして食べます)、フルーツなど。魚なども食卓に登場します。

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歴史的に見ても、日本と関わりの深い土地柄。市場で偶然出会ったジョゼフィーヌさんは、祖父が「伊藤」という苗字の日本人で、少しだけ日本語を覚えているそうです。

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市場の片隅には、子どもたちが遊べるスペースも。

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取材ではここから更に、スピードボートで1時間半の離島にお邪魔しました。

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電気も水道もない島、車も一台も走っていません。木登りカンガルーなど、絶滅危惧種の生物も多く生息していて、古代の生態系が息づく島では、カカオ豆の栽培が行われています。

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今回は、島を含めた自治体の招待を受けての訪問。島に伝わる伝統的なダンスで、歓迎してもらいました。

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今回はチョコレート作りの取材、私もカカオ豆の発酵を少しだけお手伝いさせていただきました。

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島には蛍がいて、本当に昔ながらの雰囲気。

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8年生(中学2年生相当)までの学校もあり、みんな制服を着て、勉強に励んでいました。学校が終わった後は、カカオ豆の発酵の様子を興味津々で見ていました。

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そして、子供達も魚釣りがとても上手。ある日の昼ご飯は、お邪魔したお家の6歳の女の子、ジルちゃんが釣って来てくれた魚。大人になると、ボートに乗って沖にまで釣りに行き、大物を捕まえて来ます。

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海辺には湧き水と海水の混ざったプールがあり、子どもたちのプールがわりに、また、漁から帰った人々が塩を洗い流す場所としても使っています。

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水道がないため、生活用水は雨水を貯めたタンクで。飲み水も、洗濯も、水浴びも、この水を大切に使っています。

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この辺りでは、クリスチャンの方が多く、日曜日(宗派によりますが)には教会でミサが行われます。

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私はパプテスト教会にお邪魔したのですが、10代の少年のギターに合わせて賛美歌を歌い、中には、お互いに歌いながら握手して踊るものもあったのが印象的でした。

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島には商店という商店はなく、交通手段はスピードボートのみ。でも、島の中にはパパイヤやバナナの木、タロイモなどがあり、生活には困りません。

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道を歩いていると、会ったことがない人からも、「アピヌン」(地元で使われているピジン語で、こんにちは)と声をかけられます。小さな島だけに、みなが助け合って暮らしています。

私たちが宿泊していた民家がある島の反対側は砂浜になっていて、ジャングルの中を1時間ほど歩いて行ってきました。途中は膝までの深さの沼もあり、近くに生えているサゴ椰子の葉を切って、その上を急いで渡ります。

大自然を満喫するトレッキングのような場所。道端には、バニラの木や唐辛子の木。自然観察しながら歩いていると、あっという間です。

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ちなみに雨が降った時の傘は、大きな木の葉。必要なものは、大自然が供給してくれます。

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とても綺麗な珊瑚でできた砂浜。遠浅で、たくさんの魚が泳いでいました。

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そして、離島なだけに、マヌス本島にはいる蚊が、全くいなかったのも印象的でした。それだけ、清浄な環境が保たれているということかも知れません。

ここで捕まえたナマコや貝は、そのまま夕食に。

そして、特別なごちそうとして、木登りカンガルーを捕まえてきて、料理してくれました。

一週間弱の滞在期間中で、すっかり仲良くなった島の人たち。最後は船着場まで送ってくれました。

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マヌス島では、民家ではなく、ペンションやホテルに宿泊しました。いわゆる都会のホテルとは趣が違いますが、お湯も出て、中には簡単なキッチンがあるペンションもあり、快適に過ごせました。石鹸やタオルなどは、ある場所とない場所がありますので、念のため自分で準備して行った方が良いでしょう。歯ブラシなどはありません。

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海岸沿いにも、小さな露店が連なるエリアがありました。

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穏やかな島の暮らしが感じられます。

出発2時間前に空港に。マヌス島の空港には飲食店などはありませんでしたが、

帰りには、ちょうど選挙運動期間中ということで、有名な政治家が来ていて、地元の人たちが踊りの準備をしていたので、お話をお聞きしました。

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この地域にいくつかある、伝統文化を継承するグループのうちの一つで、イベントなどの依頼があると、こうやって活動をしているとのことでした。民族ごとに、音楽や踊りは少しずつ違うそうですが、ちなみに、マヌス島には20以上の民族があるとか。民族ごとに方言のように少しずつ言葉が違うので、すぐ分かるそうです。

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帰りは、ラウを経由しての便だったので、ちょっと長めで2時間あまりのフライトです。

行きはそのままマヌス島にお邪魔したので、ポートモレスビーの空港の外に出るのは初めて。

ポートモレスビーでは、伊藤さんの案内で、いくつかの観光名所にお邪魔しました。

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こちらは、バードパーク。

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パプアニューギニアの国鳥もいます。ここは総合アミューズメントパークのような場所で、機関車の乗り物や小型の動物園、蘭園、そしてウォータースライダーのあるエリアなどもありました。

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帰り道には、お化けを模したという、「マッドマン」と呼ばれる伝統的な仮面がお土産に売られていました。

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本来は粘土のみで作るそうですが、運んでいる途中に割れてしまわないように、お土産用にはセメントが混ぜられています。

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さらには、ポートモレスビー随一のショッピングセンターへ。

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高級ホテルとも直結していて、便利です。入っているブランドは違いますが、日本やシンガポールとあまり違わない内容。

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スーパーマーケットの充実ぶりは、驚くばかり。酸味のないパッションフルーツのような、シュガーフルーツなど、シンガポールでもあまり見かけない果物、そして、お土産に良さそうな地元産のコーヒーや、チョコレートも売っています。こちらでの物価も、東京とあまり変わりません。輸入物のポテトチップスが一袋400円もして、むしろ高いかもしれません。

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伊藤さんに、お土産を買うのにおすすめ、と連れて行っていただいたのが、ホリディ・イン・ホテルで行われていた、クラフトマーケット(不定期で開催されています)。

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地元の人たちが手作りのものを持ち寄って販売します。

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私は、ヤシの殻や貝殻、ビーズなどで作ったネックレスをいくつか購入しました。南国ならではの鮮やかな色が楽しく、シンガポールでも気に入って使っています。

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ポートモレスビーでは、セキュリティのしっかりしている、空港近くのゲートウエイホテルに宿泊しました。

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たまたま、夜は地元の女性弁護士の集まりがあり、民族舞踊の披露があったのですが、途中からみんな一緒に踊っているので、通りすがりの私もご一緒させてもらいました。

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こんな大らかさも、パプアニューギニアの魅力の一つ。

このゲートウエイホテルの敷地中には、JICAの方がやっているお土産屋があり、木彫りなどを購入できます。

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また、こちらは日系の旅行代理店(http://www.png-japan.co.jp)も兼業されているので、何かと相談すると良いかもしれません。

というのも、私たちはパプアニューギニアの言葉、ピジン語を流暢に話し、地元の事情をよく知る方々に助けてもらい、一緒に行動していたので危険な目には会いませんでしたが、ポートモレスビーの治安自体はあまりよくなく、日中でもエリアによっては危険とのこと。出会った地元の人たちは温かい人ばかりでしたが、事情が分からずに、安易に人を信頼するのも、危険な面があります。また、万が一トラブルに巻き込まれた際の対処も、独自の文化などの深い理解がなければ、自力で解決するのは難しいでしょう。信頼できる旅行会社を通して、ドライバーと地元のガイドのついたツアーを手配してもらうと、安心して楽しめそうです。また、どこに行く際でも同じだと思いますが、海外旅行保険は必須です。

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そして、ポートモレスビーの空港へ。免税店には、工芸品だけでなく、パプアニューギニア産のビールの他、コーヒーやチョコレート、バニラビーンズなども売っています。日本やシンガポールではなかなか手に入らない、同じ南太平洋のフィジーの化粧品が売っていたのが個人的には嬉しかったです。

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そこから、一路シンガポールへ。シンガポールとの時差2時間というのも手伝って、あっという間に到着した気がしました。

最後の楽園、と言われることもある、秘境・パプアニューギニア。ゆったりとした時間の流れ、人々の穏やかな暮らしに癒された旅でした。

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ニューギニア航空のチケットは、こちらで購入できます。

日本から(成田発着・週2便)

http://www.airniugini.jp

シンガポールから(チャンギ発着・毎日)

http://www.airniugini.com.pg

取材協力:ニューギニア航空

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筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

【記載内容について】

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