高級ボトルドティ、ロイヤルブルーティーとbeniのペアリングイベントへ

公開日 : 2017年07月25日
最終更新 :

日本、シンガポール、香港で展開しているボトル入り高級茶、ロイヤルブルーティーの吉本桂子社長がシンガポールにやって来たということで、シンガポールに初めてロイヤルブルーティーを紹介した、山中賢二エグゼクティブシェフによるフレンチ、beniでペアリングを行うということで、メディアの友人を誘ってお邪魔して来ました。

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(ベーカリー担当の前幸地晃シェフ(左)と山中シェフ)

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ランチタイムでしたが、山中シェフがこの日のためにと特別に考案したメニュー。

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もともと、本物の最上級の茶葉の味を世界で楽しんでもらうためにはどうしたらいいか、という発想から生まれたというボトル詰の高級茶。海外では水の質も違い、最適な温度で淹れられるかどうかもわからない。そんな中で行き着いたのが、「いつでも、どこでも、誰でも」注ぐだけで最大限にお茶の風味を引き出すボトルドティー、しかも、「機械摘みだと茶葉が途中でちぎれて早く劣化し、エグミや雑味、苦味が出てしまう」という理由で、茶葉の基準は「手摘み」にこだわっています。通常お湯で淹れる場合の抽出時間は、茶葉のグレードによって数十秒~数分程度ですが、ロイヤルブルーティーは、3日間または7日間、時間をかけてゆっくり水出しで行なっているのだそう。

まずはジャスミン茶の、HANAでスタート。

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こちらは中国産の緑茶。中国産の緑茶は、4月初旬、清明節の前に収穫する「明前茶」と呼ばれるお茶が最良のもの。もともと大好きなジャスミン茶。その見分け方を吉本社長に教えてもらうと、ジャスミン茶は、手摘みの茶葉を布の上に置き、その上にジャスミンの生の花を乗せて層を作り、布でくるみます。毎日花を取り替えながら、これを1週間くらい繰り返すのだとか。そうして香りだけを移した茶葉だけが高級品で、香りを移した後の花びらを茶葉と混ぜられて廉価版の「ジャスミン茶」として売られているのだとか。

そこに山中シェフが合わせたのは、青森産のズワイカニを使った前菜。

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クラッシックな組み合わせのパプリカのピュレと合わせて。チキンコンソメのジュレ、タラゴンと金箔を散らして。食べてからHANAを飲んでみると、HANAの蜂蜜のような香りが強調されて、お茶の豊かな表情を引き出します。

続いては、青茶(烏龍茶)の Queen of Blue deluxe。

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茶葉の原材料は、台湾産の「東方美人(オリエンタルビューティー)」。今年のbeniの2度目のミシュラン一ツ星獲得を祝ってのスペシャルボトル。こういったオリジナルラベルも作れるそうです。

青茶の烏龍茶ならではの深みのある味わいとしっかりとしたタンニン。それだけではなく、丸みや渋みの奥に甘みを感じます。タンニンも柔らかで、優しい印象。

ちなみに、タンニンは、カテキンが発酵(菌による発酵ではなく、酵素が働くことをお茶業界では発酵と呼ぶ)されると生まれるので、発酵度合いが深まるほどタンニンが多くなるのだとか。

こちらには、カンパチのマリネを合わせて。

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細かく刻まれたキュウリやオクラ、枝豆、かぼちゃ、ミョウガなどの野菜に、上から赤紫蘇のゼリーを重ねて。ビーツに漬けた小玉ねぎがアクセント。山形の「だし」を思わせるような味のコンビネーション。華やかなピンク色と涼感あるゼリーが目にも楽しい品。

そして、こちらにもHANAを合わせて。HANAは酸味との相性が良いように感じます。

そして、トリュフのフランの上に、マイタケなどのマッシュルームのヴルーテをかけたもの。

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まろやかではあるけれどもしっかりとある発酵度合いが高い青茶、烏龍茶ならではのタンニンの収斂性のおかげで、より一層クリームの甘みや、きのこ類の旨味やコクが引き立つように感じました。

続いては日本茶が登場、釜炒り緑茶のIRIKA。豊かな香りはありつつも、さっぱりとした後味の緑茶です。

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こちらには、稚鮎の一皿。

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稚鮎は本葛粉をまぶしてからからりと揚げて、下には三杯酢で和えたジュンサイと、クレソンのピュレを敷いて。木の芽と、オリーブオイルでインフュージョンした木の芽オイルを添えて、スイカやキュウリに例えられる鮎に、甘い香りをプラス。すっきりとした印象の釜炒り緑茶とあっています。

次は、緑茶のThe Uji。

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その名の通り京都の宇治碾茶を使っています。びっくりするほど旨味のある味わいです。緑茶の中でも、ロイヤルブルーティーが使っている京都宇治碾茶は、茶畑自体も、枝が自由に伸びることができる自然仕立てで、茶摘みの前は少なくとも20日以上、よしずなどで覆い、手摘みした茶葉を蒸してから、碾茶炉で乾燥して製茶しているそう。16日以上の被覆した茶葉が玉露と呼びますが、そのメカニズムは、根から吸い上げたアミノ酸が、太陽の光を浴びることでカテキンに変わる原理を利用し、日差しをさえぎることで、アミノ酸のまま葉の中に旨味が留まり、独特の甘みや旨味を生み出しているのだとか。世界的に飲まれているのは、茶摘みしたら直ぐ釜などで炒ることで香り高く仕上げた釜炒り緑茶。だけれども、吉本社長は、このThe Ujiのように、日本古来の蒸して甘みを引き出す緑茶の伝統も保ち続けなくては、と思っているそう。同席したシンガポールのメディアの友人からは、この緑茶が人気でした。

ちなみに、碾茶とは、抹茶の原材料で、本来の抹茶とは、碾茶の葉肉だけを石臼でひいたものを指すのだそうですが、「茶葉の種類も違い、石臼びきでもない緑茶パウダーを抹茶と言ったり、色素を添加して緑っぽくしているものも抹茶と呼ばれるのは、実は問題になっているのです。1時間に40g位しか挽けない抹茶は本当は希少なお茶といえます。」と吉本社長。

こちらのThe Ujiは、抹茶になる前の碾茶を茶葉の状態で使っています。ちなみに、碾茶シリーズのボトルドティの中でも、宇治茶を生産して16代という吉田利一さんが作る特別なRIICHIという商品もあるのだとか。

茶葉はもむことで深い旨みがでますが、揉んでいない茶葉を石臼で引くことで、手で揉むと同じ状態にするそう。また、石臼で挽くと、複雑な形をした粒子になり、抹茶特有の舌触りを生むそうです。

ちなみに、碾茶も玉露と同じように、被覆しますが、玉露より期間が長いだけでなく、茶葉の摘み方が違い、玉露は、開く前の産毛がついている新芽を摘むのに対し、碾茶は、開面採(かいめんさい)と言って、新芽が少し開いてからの茶葉を摘むのだそう。

こちらに合わせたのは、「ちょっと遊んでみました」と山中シェフがニコニコしながら持ってきてくれた、大地の味をテーマにしたような一皿。

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エスカルゴはクラッシックなニンニクとエシャロット、イタリアンパセリを刻んだソースを合わせ、そこに鳥のジュ、以前差し上げた京都・丹後産のフルーツガーリック、そのピュレ、そしてそこに江戸前の穴子を合わせて。しっかりとした大地の味わいを重ねたところに、豊かな旨味の緑茶を合わせます。

旨味に旨味を重ねてもうるさくならないのは、緑茶ならではのキレ味の良さがあってこそ。

続いては、シグネチャーのアマダイの松笠焼き。

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ワタリガニとロブスターのビスク、そして大根とともに。アマダイ自体にエビのような香ばしさがある上に、さらにビスクが味わいを後押し。下にはチキンストックと日本の出汁で炊いて下味をつけた大根。口当たりを良くするために、綺麗に面取りしてから、丁寧に6つに切れ目が入っていました。上にはアマダイが乗っていて、更にはミルクベースのガーリックのフォームとビスクに隠れている部分、多分見ないでそのまま食べる人も多いでしょうに、その裏にきちんと仕事をしている丁寧さが、細部に手を抜かない山中シェフらしい。もう一手間を惜しまない、それが、「普通に美味しい」と「とても美味しい」の境界線なのだろうと感じる今日この頃。アマダイの皮と身の間には、細かく刻んだシイタケが挟み込まれていて、旨味を加えています。

ここで、Queen of Blue Premium、先ほど出てきたのと同じ青茶(烏龍茶)ですが、オークションクラスの茶葉を使ったプレミアムタイプを飲ませてもらいました。

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シンガポールでは、卸値でも800ドル以上するという高級茶。全体に柔らかい印象で、後味に白い薔薇のような、甘い香りがありました。

玉露の茎を使ったほうじ茶、KAHO。

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香ばしいほうじ茶に、こちらも香りよく表面を焼き上げた牛肉を合わせます。

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そして、シグネチャーの牛肉のサーロインは、鹿児島の野崎牛。赤身の部分の旨味がとても強い牛肉のように感じました。表面をフライパンで焼いてから、オーブンで焼いて、しばらく寝かせてこの美しいロゼ色を生み出しています。濃厚なジャガイモのピュレと、トリュフの香るマルサラ酒のソースを添えて。上質な和牛の甘い脂を溶かし込んだこのソースが大好きで、いつもお代わりをお願いしてしまうので、この日は小さなソースパンに入れて、あらかじめお代わり分を用意してくれていました。今が旬のオーストラリアの黒トリュフをたっぷり削って。

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最後は、インド・ダージリンで唯一インド人が所有する、Makaibari 茶園のもの。

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紅茶のオークションで世界最高額を記録している茶園でもあり、オーナーがマハラジャということで、名前にも"Rajah"となっています。です。季節の野菜や果物の味わいを引き立てるので、夏の果物と合わせた、ということで、デザートは、生のイチジクに、クッキークランブルをあしらい、パンデピス(ジンジャーブレッド)のアイスクリーム、そしてチョコレートのチュイルを飾ったもの。

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香りや味のペアリングが楽しめただけでなく、翌日とても体が軽かったのがびっくり。お酒が飲める方でも、全部をワインペアリングにするのではなく、一部だけティーペアリングにするという方もいるのだとか。

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また、beniではディナーコースのスタートの際に、玉露、HIROを淹れてお茶として味わってから、その茶葉も味わう提供方法も行なっています。新しいお茶の楽しみ方、ぜひ試してみてくださいね!

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■ beni (ベニ)

営業時間:ランチ 12:00~15:00、ディナー 19:00~22:00 (日曜休)

住所:333A Orchard Road #02-37 Mandarin Gallery Singapore 238897

電話: +65 9159 3177

アクセス:MRTサマセット駅から徒歩6分

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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