ミシュラン一ツ星獲得、Saint Pierreの26皿フレンチ小皿コース

公開日 : 2017年07月29日
最終更新 :

現在のシンガポールでの料理のトレンドは、皿数を減らして印象深く、という方向性と、色々なものを少量、多種類試せる、バラエティー豊かなものに二極化し始めている印象ですが、この6月から、Emmanuel Stroobantシェフが自らのレストラン、Saint Pierreが始めたのは、アルファベットのA-Zをテーマに、なんと26皿もの料理が登場する、Adventure メニュー。($238、アミューズ、デザートなどはグループとして一皿と換算するため、表記上は20コース)。全てのメニューの頭文字が、アルファベットのA-Zになっている凝った作り。マリーナベイサンズを望む絶景のテーブルで、食のアドベンチャーに、行ってきました!

th_1IMG_0018.jpg

私はグラスでシャンパンと赤ワインをいただきましたが、$168でワインペアリングも楽しめます。

シャンパンは、オススメされたBollinger のロゼ。ピノ・ノワール100%のワインを加えたアッサンブラージュ法で作られたロゼシャンパン。ベリーの香りがあり、程よいボディ感で、生のシーフードなどとも相性の良いシャンパンです。

th_1IMG_9926.jpg

Avocado, quinoa, szechuan pepper oil.

th_1スクリーンショット 2017-07-29 17.37.36.jpg

アボカドのピュレをキヌアのパフで包み、四川山椒のオイルをかけたもの。重すぎない植物性の程よいクリーム感に、サクサクした軽いキヌアのパフがよくあいます。

Beetroot macaron, wasabi cream.

th_1スクリーンショット 2017-07-29 17.37.09.jpg

ビーツで作った鮮やかな色合いのマカロンは、サクサクした軽い口どけ。間にわさびのクリームが入っています。

th_1IMG_0162.jpg

Crème fraîche, ikura, lemon.

同じグループのレストランで、隣り合うミシュラン二ツ星の寿司店、小康和で漬けたというイクラの醤油漬け、生クリームにレモンを加えた、シンプルながら、間違いのない組み合わせ。

Dried black olive, burnt bread, uni.

黒オリーブを練りこんだ薄いフラットブレッドに、北海道産のバフンウニ。仕入れは一部小康和と一緒に行なっているということで、このウニも、寿司クオリティで美味しかったです。

Eel cannelloni, tarragon dust.

うなぎのスモークを、カネロニのような形のチュイルの中に入れて、甘いニュアンスのあるタラゴンのパウダーをかけたもの。

th_1IMG_9929.jpg

パンは自家製の全粒粉を使ったサワードゥで、表面がとても軽くてクリスピー、そして中はしっとりというより、水分は残しつつ、ふわふわの印象。ベルギービールをスターターに使って作っているのだそうで、ベルギー出身、さらに軽やかでヘルシーな料理を提供しているEmmanulシェフらしいパン。

海藻入り、海藻なしの自家製バター二種類。

Fine de claire, oscietra caviar, tuile.

th_1IMG_9937.jpg

フランス・ボルドーのMarenne-Oleronという村でしか作られていないという特別な牡蠣、Fine de claire。海草などを練りこんだ泥に沈めて熟成したという、旨味たっぷりのこの牡蠣の味を生かすため、さっぱりとゼリー寄せにし、カリフラワーのピュレとキャビア、小麦の生地で作ったチュイルを飾ったもの。小さな一皿にも関わらず、それぞれに丁寧に盛り付けがされていて、ミニチュアのような可愛らしさ。

Golden celeriac, conch, tomato water, marigold oil.

th_1IMG_9941.jpg

根セロリのピュレの上に、ほぐした法螺貝の身、トマトのクリアなジュース、マリーゴールドのオイル。法螺貝の身の甘み、トマトと根セロリの相性の良さに、マリーゴールドのオイルのピリッとした印象がアクセントになっています。

Hay-smoked hamachi, ponzu, oba, leek.

th_1IMG_9943.jpg

干し草でスモークしたハマチの切り身に、ポン酢や大葉、みょうが、ネギを合わせたもの。日本の藁焼きにインスピレーションを得たとのことで、通常使われる小麦の藁のスモークではなく、米藁を使っているのだとか。低温でスモークされているので、表面まで、生の食感が楽しめます。

Indian turmeric foam, herb crusted purple artichoke.

th_1IMG_9949.jpg

アーティーチョークの中にインド産のターメリックの泡、中には紫のアーティーチョークを刻んだものや松の実が入り、表面にごく細かいパンをつけて、からりと揚げてあります。ターメリックの泡の上には、ひとしずくだけアーティーチョークのピュレとマリーゴールドの葉。手数を惜しまず、小さな一皿にアクセントを添えています。

Japanese corn, espelette, fleur de sel.

th_1IMG_9954.jpg

グリルした日本産のトウモロコシに、南仏の唐辛子、エスペレット、海塩、カフィライムオイルでシンプルに。香ばしさの秘密をお聞きすると、提供前に、火鉢の炭火で焼いているのだとか。紫のアマランサスの葉が、シンプルになりすぎない飾りになっています。

Kaffir lime leaf, scallop, coconut, jalapeño.

th_1IMG_9956.jpg

ハラペーニョソースの上に、表面だけ軽く炙った北海道産のホタテは、タイのココナッツエマルジョンで旨みをプラス、カフィライムのオイルでアクセント。ホタテの上には、香ばしさとコクを強調するローストアーモンドと、ハラペーニョソースをひとしずく。

Lobster royale, lettuce.

th_1IMG_9960.jpg

以前いただいて大好きだったロブスターフランの進化版。ロブスターのビスク、さらに以前は焦がし長ネギのフォームを使っていましたが、あっさりとしたレタスになり、よりフレッシュで軽やかな印象に。クルトンの歯触りも心地よい一皿です。ロブスターはたっぷりのバターで軽く火を入れているということで、しっとりとした身の食感が楽しめます。

Macadamia nuts, cucumber, bear's garlic, brioche, cured egg.

th_1IMG_9966.jpg

ワイルドガーリック(クマニラ)の葉と塩漬けの卵黄で作ったソースに、グリルしたキュウリやマカデミアナッツを添えて。メインは、このコクのあるソースで、様々な野菜を試した結果、グリルしたキュウリのピクルスにしたのだとか。火を通したキュウリはあまりいただきませんが、さっぱりとした酸味とみずみずしさがソースのコクをさっぱりとさせてくれます。自家製のブリオッシュにソースを付けながらいただきます。

Nasu, miso, sesame, micro herb.

th_1IMG_9968.jpg

日本産の小茄子を使った焼きなすのような一品。表面を焦げるまで焼いてから皮をむいて、味噌のソース、表面に白ごまを散らして。小さな茄子ならではの繊細な肉質が楽しめます。

Oxtail consommé, roasted cod, chervil powder, jerusalem artichoke.

th_1IMG_9969.jpg

味噌に漬け込んでからローストした鱈にオックステールのコンソメ、薄くスライスした菊芋の上にはチャービルの粉をまぶして。菊芋の大地の味わいに、味噌やオックステールのコクが合います。

Potato agria, garoupa ikejime, olive.

th_1IMG_9973.jpg

シンガポールらしい魚、グルッパーは活け締にしたもの、フライパンを使ってふんわりと火を入れています。Agriaというじゃがいものピュレ、チュイルに黒オリーブのパウダーをまぶしたもの、子牛の出汁にオリーブオイルを加えたソースを添えて。

Quenelle of red pepper-strawberry sorbet, confit rhubarb.

th_1IMG_9975.jpg

次の肉のメインの前に、コンフィにしたルバーブに、赤ピーマンで作ったベジタリアンのクネル風にイチゴを加えたソルベ添えて。豊かな赤ピーマンの味わいとルバーブの酸味、強すぎないほのかなイチゴの甘みで、コースの流れを遮らない構成に。

肉にはエレガントなVolneyの赤を合わせて。

th_1IMG_9983.jpg

Rhug estate lamb saddle, hummus, carrot-cumin.

th_1IMG_9980.jpg

イギリスのオーガニック農場、ラグ・エステートから来た子羊の鞍下肉は、フライパンで表面を焼いた後に、オーブンでゆっくりと火を入れて、とても滑らかでしっとりとした食感に。ひよこ豆のピュレ、フムス、人参にはクミンを効かせて中東風に仕上げて。

Seared ohmi wagyu, turmeric, choron.

th_1IMG_9987.jpg

グリルで焼き上げた近江和牛のロインは、ベアルネーズソースとトマトピュレを合わせたコクと旨味のあるショロンソースに、エキゾティックな香りのターメリックを合わせて。

Tartlet nori-mushroom, serpolet pigeon, horseradish.

th_1IMG_9989.jpg

海苔を練りこんだタルト生地に、シメジなどのマッシュルームを詰めたサイドディッシュ、そしてメインは鳩。醤油とみりんでできた焼き鳥をイメージしたソースを塗って、高温のオーブンで短時間焼き上げてから、肉を休ませてから提供されています。

th_1IMG_9991.jpg

仕上げには薔薇胡椒を少し。肉汁にホースラディッシュを混ぜ込んだソースと共に。焼き鳥のソース、と言っても、醤油の香りが強すぎることもなく、フレンチの流れの中で自然にいただけた一皿。

th_1IMG_9998.jpg

フランス・ロワール渓谷産の、生後4週以下の小鳩を使っているということで、しっとりとした赤身の肉の食感が絶品でした。薔薇胡椒のアクセントが効いていて、自然な甘さのソースともよくあっています。個人的に、このメニュー全体の中で一番気に入りました。

ここで、チーズをいただきました(3〜4種類で、コースに追加$28)。

th_1IMG_0004.jpg
th_1IMG_0007.jpg

Saint Felicien リヨンの西にある街の名前が由来のチーズ。ダブルクリームといって、生クリームを加えて作られているため、とてもクリーミーな牛乳のチーズ。とろりととろける食感が楽しめました。

Saint Nectaire

オーヴェルニュ地方の独自品種、サレール牛のミルクから作られるセミハードタイプのチーズで、優しいナッツの味わいと共に、やや酸味を感じます。

Roblochon

サヴォア地方で、牛乳で作られたセミハードタイプのウォッシュチーズで、しっかりとしたナッツのような香りとコクがあります。

Cabri

赤いパプリカの粉をまぶした羊乳のチーズで、やや酸味がありフレッシュな印象でした。

Bleu d'Auvergne

オーヴェルニュ地方で作られる牛乳のブルーチーズ。程よい刺激で食べやすい青カビチーズした。

ここからがデザート。

Unfiltered strawberry juice, sorbet.

th_1IMG_0010.jpg

苺のジュースに、シロップに漬け込んだ生の苺、バジルオイル レモングラスなどの入った苺ソルベ。自然な甘みで、イチゴ好きにはたまらない一品。

Vanilla rice emulsion, macerated raspberries.

th_1IMG_0012.jpg

リ・オレのようなバニラとお米のエマルジョンとラズベリー。お米は、バスティマライスとリゾット用のカルナローリ米バニラは甘い香りのマダガスカルバニラを使っています。ラズベリーの酸味と合う、ヨーグルトソルベを添えて。

Willamette pear espuma, pear extraction.

th_1IMG_0239.jpg

洋梨のエスプーマに、ソルベ、そして下には小さな丸いパール状にくりぬいた生の洋梨。目に見えない部分ですが、口当たりをよくするために、角切りではなく丸くくりぬいてあるところがとても好きでした。ライムの皮を散りばめて、さっぱりといただけます。

Xp5-marinated pineapple, lemongrass, coconut, meringue.

th_1IMG_0028.jpg
th_1IMG_0244.jpg

XP5というラム酒に漬け込んだパイナップル、ココナッツメレンゲの球体の上には、フロランタンのような、アーモンドをキャラメルで固めた丸い板、レモングラスの香りのココナッツのアイスクリームという組み合わせ。

Yuzu macaron.

th_1IMG_0252.jpg

ゆずのマカロン。さっくりとした軽い食感は、デンプンを加えているから。

Zephir lychee, diamond biscuit

Zephirとは、風のように軽い、という意味のギリシア語。Diamond biscuitと呼ばれるスパイスの効いたビスケットに、ライチのムースを合わせて。

A-Zをテーマにしたこのメニューは、ランチタイム・ディナータイム共に楽しめます。内容は季節に応じて変わっていくそう。ちなみに、平日は3コースのセットランチ$58、ディナーは5コース$148〜となっています。

色々なものを、少しづつ食べたい、そんな楽しみ方ができる贅沢なコース、健康のためにベジタリアンになったというEmmanuel シェフの料理は、ココナッツクリームやナッツなど、植物性のコクをうまく使ったメニュー。26皿といっても、お腹にもたれることなくいただけました。3時間程度かかりますので、時間に余裕を持って、ぜひ試してみてくださいね!

また、独立記念日の花火がとても良く見える立地。当日は、シンガポール料理を独自にアレンジしたスペシャルメニューが提供されるということです。

<DATA>

■Saint Pierre(サン・ピエール)

営業時間:ランチ 11:30~15:00(火~金曜のみ)、ディナー 18:00~23:00、日曜休

住所:1 Fullerton Road, #02-02B One Fullerton, Singapore 049213

電話:+65 6438 0887

アクセス:MRTラッフルズプレイス駅徒歩5分

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。