英国の決断: Referendum(国民投票)の結果に驚愕!

公開日 : 2016年06月26日
最終更新 :

6月24日の朝、朝一番にテレビのスイッチを入れると、

「UK国民投票の結果、EU離脱!」という驚愕のニュースが飛び込んできました。

Refrendum UK_Vote to leave EU.jpg

6月23日(木)に実施された英国の国民投票は、「EU残留か?それともEU離脱か?」について問う国民投票の日でした。

皆さんは、この国民投票どのくらい注目されていたでしょうか? 私は、正直前日になるまでその存在を知りませんでした。 でも、そんな大事な国民投票があると知ってからは、その結果が気になって気になって落ち着きませんでした。

予断を許さないとは言え、多くの見方は、僅差ではあってもEU残留を選ぶだろうというものだったそうですが、実際は、51.9%と48.1%という僅差で国民はEU離脱を選びました。

ドイツ語よりも英語の方が得意な我が家では、ここのところBBC World Newsを連日見ておりますが、25日の朝からずっと、"UK voted to leave EU. - 英国はEU離脱を選択"という話題でもちきりです。

ドイツのニュースでも、もちろんトップニュースは、国民投票の話題です。

今回、本当に良く"Referendum"という文字を目にします。 自然と国民投票という単語を覚えてしまいました。

日本でも、大きなニュースとして取り上げられていることと思います。

「経済面から、または政治面からどのような影響があるのか?」などについては、色々な専門家の方にお任せして、私は、EU加盟国ドイツに住み、働く日本人の立場として、このニュースをどのようにとらえるか?または、どのような事を感じるか?についてお話したいと思います。

Pound & EURO.jpg

旅行者の立場から見ると、英国がEU加盟国であろうが無かろうが、あまり大差はないものと思われます。

そもそも、英国はEUメンバーとは言え、シェンゲン協定に加盟していないので、EUから入国するのにも入国審査がありますし、EURO(ユーロ)も導入していないため、英国独自の通貨ポンドに両替する必要があります。

英国旅行に関してあまり直接的にEUのメリットというものを感じたことがありません。

でも、これがことビジネスの話になると少々やっかいです。

EU域内の売買については、とっても簡単に言うと、かなり厄介なVAT(Vaule added Tax)/付加価値税の問題はあるにせよ、基本的に大きな1つの国の中で売買するようなイメージです。

従って、日本からの製品をどこかの国で輸入通関をしさえすれば、EU域内製品となり、他のEU域内の国UKにはそのままデリバリーをすることが可能です。 例えば、日本からドイツへ運んだ製品があるとします。 今まではドイツで通関してドイツの倉庫で保管をし、英国のお客さんから注文があったら、そのままデリバリーをアレンジをするだけで良かったのです。 これが、今度からはUKへのデリバリーは、輸出になることになります。 なので、ドイツで通関をしても、UKでもう1度通関をしなければならなくなり、関税が2倍になります。 なので、保税で製品を保管しておくか、または、ドイツでの関税を売値にオンする必要が生じます。 また、輸出になるので、ドイツでの輸出/UKでの輸入のために、INVOICE/Proforma INVOICEの作成が必要になります。 「これは、結構面倒だ!」とまず思ってしまいました。 セールスの条件も見直す必要がありそうです。 まず最初に頭を過ったのが、こんなことです。

また、EU加盟国の人たちにはかなり大きな問題がありそうです。 ドイツの無期限滞在ビザを持っていても、ドイツ人と同様の権利は得られず、労働ビザなしで就労できるのは、あくまでもドイツ国内に限られる私たちには直接的な影響はありませんが、例えばEU域内での就労は基本的に自由のはずなので、今まで英国で働いていたドイツ人、ドイツで働いていた英国人は今後は労働ビザを取らなければならなくなるかもしれないのです。 当然、雇用の機会も少なくなりますね。

今ヨーロッパで盛り上がっているヨーロッパ選手権ですが、その試合を見ながら、今後英国のプレミアリーグがどうなるかな?と主人が話していました。 あくまでも、主人の話なので信憑性は不明です。 何でも、今までは、英国の選手は他のEU諸国でビザ無しにプレイができた、あるいは、反対に他のEU諸国の選手がプレミアリーグで英国人選手と同様にプレイができたのが、今後は外国人扱いになる訳ですから、外国人枠扱いになるのではないかと言うのです。 そうなると、欧州の選手も、南米の選手と外国人枠を争わなければならなくなるのでは?という懸念もあるそうです。

そして最も気になるところですが、欧州諸国が分裂して世界の平和の均衡が崩れるようなことが無ければ良いなと思います。 

こちらのニュースでは、ロシアは今回の国民投票の結果を心から喜んでいるという報道がされています。 

英国の国民投票の結果ですが、英国国内でもスコットランドと北アイルランドは、EU残留が圧倒的に勝利しています。 特にスコットランドは、EU残留を強く望んでいて、今度は、スコットランドが英国から独立するか残るかの国民投票を行うかもしれないという状況です。 英国がバラバラになるとヨーロッパの、世界の平和の均衡が崩れるのではないかと心配になってしまいます。

EU_Puzzle.JPG

ちなみに、最初の写真は、娘が持っている世界地図のパズルの写真です。

バラバラのパズルのパーツを組み合わせていると、複雑な気持ちになりました。 「こんな風にバラバラな欧州ではなく、今まで以上にがっしりと手を組んで世界の平和の均衡を保ってほしいなぁ~」と、「新たな道を選んだ英国とも上手く手を取り合って行ってほしいなぁ~」と心から思います。

色々と不安材料を抱える英国の決断ですが、キャメロン首相の後を受け継ぐ新しいキャプテンには、どうか、英国のEU脱退が大きな反響と混乱を起こすことの無い様に、スムーズなEU脱退手続きと新しいシステム作りの舵取りをお願いしたいです。

欧州に住みドイツで働く日本人として、今回の英国の国民投票について思うところを徒然なるままに綴ってみました。 

興味がおありでしたら、皆様も色々な角度から考察してみて下さい。

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