ローテンブルクの非日常:町が丸ごと中世へタイムスリップ "マイスタートゥルンク"

公開日 : 2017年04月12日
最終更新 :

観光地再発見の旅⑦

日本人の抱くドイツ観光と言えば、ロマンティック街道の"Rothenburg ob der Tauber(ローテンブルク・オップ・デア・タウバー)"は外せませんネ。

誰もが一度はその名を耳にしたことがあるのではないでしょうか?

Meistertrunk 1.JPG

それほど日本人に有名な観光地、ローテンブルクですが、年に1度、中世の史実を再現する盛大なお祭りで町全体が盛り上がる!というのをご存知ですか?

Meistertrunk 2.JPG

私がこのお祭りに出会ったのは本当に偶然、2003年の6月6日にルートヴィヒスブルクで人前結婚式をした後、ゲストを連れてのミニツアー、ちょうどローテンブルクで2泊した時のこと、朝起きると、ドラムの音が...

続いて親戚のおじ様、おば様から「外見てぇ~何かエライことになってるよぉ~」と言われ窓から外を見ると、上の写真の光景が目に飛び込んできました。

Rothenburg ob der Tauber.JPG

前日夕方に町に入った時には、物静かな佇まいを見せていた中世の名残を残す町ローテンブルクは、一体どこへ?

一晩寝たら、「あれっ?ここは中世?...にタイムスリップ??」な異次元空間へ。

何とも不思議な感覚でした。

Meistertrunk 3.JPG

今思えば、この日は、"Pfingstmonntag(プフィングスツモンターク)/聖霊降臨祭月曜日"だったんですネ。

Meistertrunk 4_revised.jpg

そう、ローテンブルクでは、毎年"Pfingsten(プフィングステン)/聖霊降臨祭"の

週末に、町を挙げての一大イベント"Meistertrunk(マイスタートゥルンク)"が開催されます。 このお祭りは、1631年に町を襲った大危機を市長が救った史実に基づいて当時を再現する歴史劇を市民全員で繰り広げるユニークなもので、1881年から続いている歴史あるお祭りです。

Meistertrunk 5.JPG

もう少し詳しく史実について触れてみましょう。 カトリックとプロテスタントの宗教戦争として始まった30年戦争真っ只中の1631年、カトリック側の皇帝軍司令官"Tilly(ティリー)"は、プロテスタント側についていた裕福な町ローテンブルクを60000人の軍隊で包囲しました。

町はたった3日で陥落、市長及び町の重役は死刑が確定、町も焼き払われることが決まっていました。

最後に、ティリー率いる皇帝軍を、地元のワインを3と1/4リットル入る大盃でもてなしたローテンブルクの町。 これに気をよくしたティリー将軍は、最後に慈悲の心を見せます。 「そなたたちの中にこの大盃を一気に飲み干せるものあらば、ローテンブルクの町を助けよう!」 そして、これを受けて立ったのが、ローテンブルク市長のナッシュ。 見事盃を飲み干し、ローテンブルクの町は救われたと言うお話です。

Meistertrunk 6.JPG

"Meister(マイスター)"は、"Bürgermeister(ビュルガーマイスター)"の事を指し、これは市長を意味します。 "Trunk(トゥルンク)"は飲酒、酒を飲むことを意味します。 よって、マイスタートゥルンクとは、市長の酒のみと言う意味で、身を挺して町を救った市長の行動のことを意味するんですね。

プフィングステンの金曜日から毎日、市庁舎の"Kaisersaal(カイザーザール)/皇帝の間"では、この名場面の演劇が繰り広げられます。

それと同時に市庁舎の外でも、町全体で市民皆が役者となって、当時の町の様子を再現しているのです。

Meistertrunk 7.JPG

町に侵攻してくる皇帝軍の行進、迎え撃つ市民兵、城壁の外で野営する兵士たちなどなど、そのリアルさ半端じゃありません。

Meistertrunk 8_revised.jpg

市民総出の一大スぺクタクル、面白いと思いませんか?

演じながら、というか演じなくても自然と劇の一部になっている自然体な感じが良いですネ。 BBQとお酒を楽しむ市民の姿が、場を盛り上げる役にも立っているという、何とも言えず楽しそう♪

当時の略奪の場面の再現として、酒場でも、ホテルでも皇帝軍の兵士には、好きなだけ酒が振る舞われるとか...

Meistertrunk 12.JPG

史実を再現した歴史劇とは別に、中世のマーケットを再現したエンターテイメントもお祭り気分を盛り上げます。

Meistertrunk 10.jpg

ドイツ語なのでなかなかじっくり内容を楽しむということは難しいのですが、雰囲気を味わうだけでも楽しいモノですよ。

Meistertrunk 9.jpg

ヨーロッパ的なシュールな笑いが肌で感じられます。

Meistertrunk 11_revised.jpg

中世の時代の市場ってこんな感じだったのでしょうか。 マーケットの喧騒がまんま体験できます。

Meistertrunk 13_revised.jpg

この店番の女性、ほうきで人を追い掛け回していてかなりの迫力だったのを今でも覚えています。

マイスタートゥルンクの歴史祭、ローテンブルクの町が1日中イキイキと輝いています。

これは、なかなか体験できない異次元の世界です。

ヴァイナハツマルクト(クリスマスマーケット)は、正直ローテンブルクよりもステキなところがたくさんあるので、個人的には、ローテンブルクが最も輝くのは、マイスタートゥルンクのお祭りの時だと思っています。

2017年の今年の日程は、6月2日(金)~6月5日(月)の4日間です。

ドイツ観光の王道、ローテンブルクを訪れるなら、ローテンブルクの非日常を味わえる、ローテンブルクが中世にタイムスリップする日、マイスタートゥルンクの日を考えてみて下さい。

特別な体験ができること間違いなしです!

≪INFORMATION≫

"der Meistertrunk" im Kaisersaal des Rathauses(マイスタートゥルンク劇:市庁舎皇帝の間)

6月2日(金) オープニング劇20:00 (Pfingstfreitag Eröffnungsaufführung um 20.00 Uhr)

6月3日(土) 15:00及び17:30 (Pfingstsamstag um 15.00 und um 17.30 Uhr)

6月4日(日) 10:00及び12:30 (Pfingstsonntag um 10.00 und 12.30 Uhr)

6月5日(月) 12:30 (Pfingstmontag um 12.30 Uhr)

チケット: こちら(→)で予約できます。チケットは自宅でプリントアウト可 

≪参考資料≫

"Der Meistertrunk"オフィシャルサイト: Hintergründe

"世界史の窓": 30年戦争

"Rotehnburg"オフィシャル観光サイト:

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。