ウルル(旧称エアーズロック)閉鎖の波紋

公開日 : 2001年05月20日
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ウルル・カタ・ジュタ国立公園が一部閉鎖されてから1週間になる。5月12日に亡くなった先住民アボリジニの指導者を追悼するためだ。地元のアボリジニの人々の所有権を主張し、ウルルの管理に共同で携われるよう、政府相手に交渉した(1985年)際の主要人物でもあったこの長老は、コミュニティの間で多大な影響力を持ち、非常に尊敬されている。当初、週末2日間だけの閉鎖予定だったのが、15日には約20日間に延長、と発表された。今のところ、登山は全面禁止だが、公園全体が閉鎖されているわけではない。一部アクセス不可能な道路や施設があるが、サンセットのビューポイントなどには特に制限が設けられていないということだ。実は、以前から地元のアボリジニの人たちは神聖な岩に登らないように、と訴えてきた。ここ数年は彼らの意見を尊重して、登らないことを選択する観光客も増えている。とはいえ、ウルルを訪れる多くの人が今でも登頂を目的のひとつとしているのは事実。正確なデータはないが半数は登ると言われている。昨日のニュースでは、登らない人の割合が高いのはヨーロッパからの観光客で、日本人はほとんどが登ると報道されていた。ウルルは年間50万人もの観光客が訪れる主要観光名所である。オーストラリアに来たからには、と大陸中央部まで足を伸ばした人も多いだろうし、昨年のシドニーオリンピックではトーチリレーのスタート地点として世界中に映像が流れたので、テレビでご覧になった人もあるだろう。観光業界や政府関係者は「閉鎖が不適切というわけではない」としつつ、こぞって抗議。期間が長すぎる、ダメージが大きい、ヘタをすれば訴訟問題に発展しかねないというのが彼らの主張だ。一方、伝統的所有者であるアボリジニの文化を尊重し、国民全体で閉鎖をサポートすべきという意見もあり、波紋が広がっている。

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(C)Australian Tourist Commission

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