煙に覆われたシドニーのクリスマス

公開日 : 2001年12月27日
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シドニーでは12月25日のクリスマスと、翌26日のボクシング・デーは祝日。それと前後して有休を取る人が多いので、街はすっかりホリデームードだ。旅行に出かけたり、帰省したり、家族水入らずで過ごす機会が増える。ご馳走を食べたクリスマス明けのボクシング・デーは、公園やビーチでのんびりバーベキューというのが、お決まりのパターンなのだが、今年は屋外での火の使用が全面禁止された。「ブッシュ・ファイヤー」と呼ばれる山火事が、各地で続けざまに発生したからだ。ブッシュ・ファイヤーはオーストラリアでは頻繁に、自然発生的に起こる。人家に近い国立公園などでは、大規模な火災にならないよう、定期的にわざと火を入れて管理しているところも多い。熱のおかげで固い殻から種が弾け、繁殖する植物もあり、重要な生態系の一部でもある。ただし、今回は落雷に放火も加わったから、手に負えない。いや、消防当局者によると、その多くが放火だったというのだ。州政府は数カ所の災害指定地域を宣言し、深刻な被害状況が次々と報告されている。この72時間以内に発生したブッシュ・ファイヤーは、ニュー・サウス・ウェールズ州だけで100ヵ所あまり、焼失した民家や商店は140軒以上、今でも1万2000世帯が停電したままだ。クリスマス当日に気温が35度を超え、強風が吹いていたシドニー近辺が特にひどい。電車は一部郊外路線が運休し、多くの道路や国立公園が閉鎖されている。シドニーの南30キロのところにある、世界で2番目に歴史ある国立公園「ロイヤル・ナショナル・パーク」は、1994年のブッシュ・ファイヤーで、1万6000ヘクタールある敷地の90%が焼失した。うっそうとした緑が戻っていたのに、今回また7割以上が燃えてしまい、残りも時間の問題だと言われている。懸命な消火活動にも関わらず、一部では、高さ30~60メートルもの火の手が上がっており、今後10日以上火災が続く可能性もあると言われている。火は川や高速道路さえ飛び越えて、まだまだ燃え広がっている様子だ。燃えているのは、近いところでも市内から数十キロ離れているのだが、シドニー上空はクリスマス以来すっぽりと煙に覆われており、市内やビーチでも灰や燃えかすが空気中に漂うようになった。一部の地域では、水道の水は沸騰させてから飲むように、という警告も出された。オーストラリアでは正規の消防士と共に多くのボランティアが活躍している。今回は500人以上の助っ人が隣のヴィクトリア州からもやって来た。クリスマス・ホリデーの真っ最中に、現場に駆けつけ、自らの身の危険を冒して消火活動を続ける彼らにはホントに頭が下がる。早く恵みの雨が早く降りますように!

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(C)Tokiko Minamida●ボクシング・デー恒例のヨットレース(Sydney to Hobart Yacht Race)出発直後の様子。真っ青なはずの海と空が、煙でぼんやり霞み、ヨットもはっきり見えない......。

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