50年目を迎えるシドニー・フィルム・フェステイヴァル

公開日 : 2003年06月05日
最終更新 :

恒例のシドニー・フィルム・フェスティヴァル(シドニー映画祭)が、6月6日から20日まで開催される。今でこそ、映画祭は世界各地で盛況だが、シドニーで初めてこのフェスティヴァルが催されたのは1954年。会場はシドニー大学で、「移民のために母国語の映画を」というのがコンセプトのひとつだったらしい。これまでに上映された映画の数は、約6,000本。今年は記念すべき50回目の開催を迎える。今では信じられないが、外国映画の選出に際し、ASIO(オーストラリア安全保障情報機関)が厳しく目を光らせていた時期もあったという。フェスティヴァルには、多文化都市のシドニーを象徴するかのように、さまざまな国から多種多様な作品が毎年エントリーされる。著名な監督による新作や、各地の映画祭受賞作品に混じり、まだまだ無名ながら前途有望な作品も数多く含まれるため、若い才能の発掘も楽しみのひとつとなる。今年のオープニング作品は、"The Honourable Wally Norman"。オーストラリアらしさたっぷりのコメディは、過去の作品と並べてみると意外な選択という印象を受ける。例年同様、開幕初日には朝9時から夕方まで丸1日かけて、18作品を一挙上映する短編映画のコンペ(デンディ・アワード)も予定されている。これがなかなか侮れない。短編、つまりショート・フィルムをきっかけに認められるようになった映画監督やプロデューサーがオーストラリアには、わんさかいる。「ピアノ・レッスン」のジェーン・カンピオン監督や、「オスカーとルシンダ」のジリアン・アームストロング監督、「裸足の2000マイル」のフィリップ・ノイス監督らも皆、ショート・フィルムからキャリアをスタートしているのだ。今年の特集企画のひとつ"Bright Sparks"では、1970年から2002年のフェスティヴァルでショート・フィルム・アワードを受賞した全23作品が上映されるので、彼らの初期作品を見ることができる。ドキュメンタリーが多いのも、このフェスティヴァルの特徴のひとつ。今年は、キューバのカストロ議長に焦点をあてたオリヴァー・ストーン監督の"Comandante"や、オーストラリアにいるアフガン難民の生活を追った"Molly and Mobarak"などが、注目を浴びそうだ。映画ファンの間で早くから話題を呼んでいる特集が、もうひとつある。50年の歩みを振り返る回顧イヴェント"Perspectives 54>03"がそれ。過去のフェスティヴァル・ディレクターが厳選したという作品群には、今どきの映画館のスクリーンでは決して見るチャンスのない逸品がずらりと並んでいる。日本映画では、「生きる」(1952年/黒澤明監督)、「地獄門」(1953年/衣笠貞之助監督)、「他人の顔」(1966年/勅使河原宏監督)が選出された。このほか、最近の日本の作品では、オーストラリアで映画製作を学んだ北村龍平監督のアクション時代劇「荒神(Aragami)」と、ベルリン国際映画祭で、NETPAC賞を受賞したSABU監督&寺島進主演の「幸福の鐘(The Blessing Bell)」が上映されることになっている。映画通は、2週間に渡って連日連夜会場に通い、嬉々として映画三昧の日々を送る。彼らはもちろんパスを購入し、「これぞシドニーの冬の正しい過ごし方」とばかりに、どっぷり映画に浸かるのだ。熱烈な映画ファンに支えられてきたフェスティヴァルだが、数年前からは、観客層を広げるためにシングル・チケットも発売されるようになった。オフィシャル・フェスティヴァル・バーとなるヒップな"アートハウス・ホテル"では、注文時にフェスティヴァルのパスやチケットを見せれば、グラスワイン+メインコースが$15で提供されるので、お見逃しなく。◆Sydney Film Festival期間: 2003年6月6日(金)~20日(金)会場: ステート・シアターデンディ・オペラ・キーズシングル・チケット: $14(5枚以上は1枚$12.50、11枚以上は1枚$11)デンディ・アワード: $22オープニング・ナイト: $110(パーティー入場券付)パス: $120~260※日本からのチケット購入は、Ticketek利用が便利

「荒神」の一場面(画像提供: Sydney Film Festival)■地獄門2003年6月7日(土)14:30~ステート・シアター■生きる2003年6月8日(日)10:00~デンディ・オペラ・キーズ■他人の顔2003年6月11日(水)12:00~デンディ・オペラ・キーズ■荒神2003年6月13日(金)19:15~デンディ・オペラ・キーズ■幸福の鐘2003年6月15日(日)10:00~2003年6月17日(火)20:30~ステート・シアター

「荒神」の一場面(画像提供: Sydney Film Festival)■地獄門2003年6月7日(土)14:30~ステート・シアター■生きる2003年6月8日(日)10:00~デンディ・オペラ・キーズ■他人の顔2003年6月11日(水)12:00~デンディ・オペラ・キーズ■荒神2003年6月13日(金)19:15~デンディ・オペラ・キーズ■幸福の鐘2003年6月15日(日)10:00~2003年6月17日(火)20:30~ステート・シアター

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