シドニー・オペラ・ハウスが世界遺産リストに登録

公開日 : 2007年07月02日
最終更新 :

シドニーのみならずオーストラリアの象徴のひとつとして親しまれているシドニー・オペラ・ハウスが、今日までニュージーランドのクライストチャーチで開催されていたユネスコの第31回世界遺産委員会において、新たに世界遺産の「文化遺産」カテゴリーに登録されることが決定しました。これにより、オーストラリアの世界遺産は、全部で17ヵ所になりました。

ちなみに、2007年7月現在の世界遺産登録件数は、3つのカテゴリー合わせて851ヵ所。オーストラリアは、世界遺産の多い国ベスト10を競り合う世界遺産大国で、「自然遺産」に関しては、全166ヵ所のうち11ヵ所、「複合遺産」に関しては、全25ヵ所のうち4ヵ所と、それぞれ全体の6%、16%を占めています。オーストラリアの大自然がいかに素晴らしいか、ということの表れだと思いますが、建国以降の歴史が浅い国だけに、文化遺産の登録は、残念ながらオペラ・ハウス以前には、メルボルンの王立展示館・カールトン庭園1ヵ所だけだったのです。

シドニー・オペラ・ハウスが国家遺産に」で触れたように、国(ナショナル)及び州(ステイト)レベルでは、すでにヘリテージ(遺産)に認定済みのオペラ・ハウスですが、世界遺産へのチャレンジは今回が3度目の正直。世界レベルで偉大な建築物であると正式に認識されたことは、非常に名誉なことだと受けとめられています。

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建設中のシドニー・オペラ・ハウス

何しろ、世界遺産における文化遺産の定義は、「顕著な普遍的価値を有する記念物、建造物群、遺跡、文化的景観など」。1973年に完成したオペラ・ハウスは、世界遺産の中で最も新しい建築物で、「普遍的価値」に対する時間軸の置き方によっては異論もありそうですが、世界遺産に対する既成概念のイメージを覆す英断だと思います。

専門家による委員会への評価レポートでは、「20世紀のみならず人類の歴史において、議論の余地のない人間の創造性を表現する最高傑作のひとつ」と報告されました。「我らがオペラハウスが、タジマハールやピラミッドなどと並ぶ世界遺産のひとつとして認められた!」と無邪気に喜ぶシドニーっ子たちの気持ちもよ〜く分かります。

オペラ・ハウスのデザイン・コンペの最終結果が発表されてから、今年でちょうど50周年。設計者であるデンマーク人の建築家ヨルン・ウッツォン(Jorn Utzon)氏は、来年90歳を迎えます。設計者の存命中に世界遺産に選ばれた建物は、これが2つ目なのだそうです。2003年には建築界最高の名誉とされるプリツカー賞を受賞したものの、建設途中で辞任してオーストラリアを去って以来、オペラ・ハウスをとうとう自分の目で見ることのできなかった彼が生きているうちに、世界遺産に登録されてよかったなあ、と心から思います。

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