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ウズベキスタン/タシケント特派員ブログ 齋藤 竜太

ウズベキスタン・タシケント特派員が現地からアジア地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

2015年3月 7日

タシケントでアルメニア教会を探す旅(後編)


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タシケントでアルメニア教会を探す旅(後編)

(前回までのあらすじ:タシケント市内にあるというアルメニア教会を見つけるべく、探索に出た特派員。その途上、偶然別のキリスト教教会を発見。その教会の信者さんたちに案内され、ようやくそれらしき建物に出会いました)

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 教会に入ると、礼拝堂と思しき部屋へ続く廊下があり、入って右手の壁にはアルメニア文字、正面の礼拝堂へのドアの上にはステンドグラスがはめ込んであります。


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 ドアを開けると、40-50人も入ればいっぱいになりそうな礼拝堂に出ました。


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 ステンドグラスに、礼拝堂があり、一目見た限りではカトリックの教会を彷彿とさせ、イコン(聖画像)が礼拝堂においてあるところは、ロシア正教に似ているようにも思えます。しかし、ステンドグラスもイコンも、どれも独特の意匠が凝らしてあります。


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 聖書を見つけたので、開いてあったページをのぞいてみました。アルメニア文字で書いてあり、まったく判読不能です。
 そうこうしていると、案内してくれた人たちが、奥から神父さんを呼んできてくれました。「では我々はこれで帰ります」というので、案内してくれた彼らに深く礼を言い、その後、神父さんからいろいろお話を聞くことができました。


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「日本人の方ですか?実はこの教会は、日本にいるアルメニア人の支援によって建設されたのですよ」。
 のっけからいきなり、思いもよらぬ話から始めてくださいました。
 神父さんの話によると、この教会が建設されたのは2007年。それ以前は礼拝のための小部屋があるだけだったのを、ここまで立派な教会に建て替えることができたのは、その在日アルメニア人の支援のおかげだというのです。


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 にわかには信じがたいという表情をしていたであろう特派員に、神父さんはスマフォンに登録している、その在日アルメニア人の連絡先を見せてくださいました。名前の部分はアルメニア文字で登録してあるので判読できませんでしたが、電話番号のところが「+8190*****」となっています。確かに日本の携帯電話の番号です。
(特派員註:海外から日本の携帯電話番号にかけるときは、最初のゼロをとって、+81を追加してダイヤルする)
 ちなみにこの在日アルメニア人の篤志家のご息女は、日本の大学で日本語を勉強した後、日本で英語教師として働き、現在は某日系自動車メーカーに勤めているとのこと。


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 いろいろお聞きしました。
「特派員:ウズベキスタンにはアルメニア教会はいくつあるのですか?」
「神父さん:ここを含めて二つです。もう一つはサマルカンド州にあります。」
「特派員:現在、ウズベキスタンにはアルメニア系住民は何人くらいいるのでしょうか?」
「神父さん:2万人か、3万人くらいでしょうか。ソ連崩壊後、5万人ほどが、ロシアやアルメニア、アメリカなどに移住していったそうです。」
「特派員:アルメニア語を保持している人はどれくらいいるのでしょうか?」
「神父さん:アルメニア系住民のうち、20%ほどでしょうか。家庭で話したり、オプシーナ(ロシア語で、共同体、協会などの意味)で勉強したりして、習得しているようです。」
 また、これは後日お聞きしたことなのですが、この神父さんは7年前まではエストニアのアルメニア教会で働いていたとのこと。エストニアには、1500人くらいのアルメニア系住人がいるそうです。この神父さんが赴任する前、このタシケントのアルメニア教会には、2人のスタッフがいたそうですが、一人はモスクワに、もう一人はアルメニアに赴任していったそうです。


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「神父さん:私の娘はウズベキスタンで生まれました。学校ではロシア語で教育を受けており、家庭で話すのはアルメニア語です。しかし、外でウズベク人の友達と遊んでいるうちにウズベク語も習得し、学校では英語も教わっているので、娘はすでに4か国語を理解できるんですよ」
 帰宅後、アパートでテレビをつけると、現地のテレビ局が、「ウズベキスタンにおける宗教共存」についての番組を放送していました。モスクのイスラーム導師や、ロシア正教の司祭などとともに、その日訪れたアルメニア教会の神父さんも取り上げられ、インタビューに答えていました。
 「またいらしてください」という神父さんのお言葉に甘えて、後日、事前に電話で確認したうえで、日本人留学生をもう一人誘って、訪問させていただくことにしました。


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 その日は最低気温がマイナス10度という寒い日だったのですが、教会の中はとても暖かく、ほっとした気分になりました。


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 神父さんに電話した時は「音楽の演奏がありますので聞きに来てください」くらいにしか聞いていなかったのですが、この日はしっかりとミサを行う日でした。日曜日ではなかったので、油断していました...
 アルメニア人は敬虔なクリスチャンだと聞いていたのですが、意外にもこの日、教会に集まったのは10人ほどでした。


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 神父さんは、黒い平服から、ミサ用の法衣に着替えます。


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 ミサが始まりました。神父さんが聖歌をアルメニア語で歌います。


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 お祈りの途中、聖歌の一節を、信者さんが神父さんと一緒に唱えるところがありました。
 「ここは―――(アルメニア語)と言ってください」
 「私の後に続いて、もう一回言ってください」
 と、神父さんがロシア語で促します。信者さんたちはきっとアルメニア語を喪失しているのでしょう。

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 聖書を読むところに入りました。ここはロシア語です。多少は理解できるようになり、少し安心しました。この日はヨハネの福音書の第3章を読みました。


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 ミサの最中は時間を忘れて見入っていました。後で時間を確かめたところ、石の床の上に1時間半、ほとんど立ちっぱなしでした。同行したもう一人の日本人留学生も、飽くことなく聞き入っていたようです。


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 ちびっこはそうでもなかったようです。


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 ミサが終わった後、神父さんと少しお話しすることができました。我々が持参した日英対訳の新約聖書をお見せすると、実に興味深そうに読んでおられました。


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「特派員:アルメニア人にとって、宗教は大事なアイデンティティの一つだと聞いています。2万から3万のアルメニア系住民がいるのに、これだけの人数しかミサに集まらなかったのは驚きでした。」
「神父さん:今はインターネットで祈りの場を確保できますし、家にいながらでも信仰を保つ方法はありますからね。明日ミサをしに行くサマルカンドの教会も、集まるのはこれくらいです。」
 どうやらこの神父さん一人で、サマルカンドの教会とこのタシケントと、二つの教会を掛け持ちしているようです。
「神父さん:先日いらしたときにお教えした本、見つけられましたか?千年以上前に書かれた、奇蹟について書かれた本です。ぜひネットで探して見てください。」


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 ここでは日曜日には日曜学校のようなものも開かれるそうです。必要なものはアルメニアから送られ、世界中に散らばったアルメニア人ディアスポラ(離散民)からの援助もあるといいます。
コーカサスの山岳地帯を発祥とするアルメニア人が、中央アジアに教会を建てて、それが機能している。それを目の当たりにして、なぜか、

「地球は広いなあ」

 という、子供っぽいと思えるほどの率直な思いが、ミサの最中に沸き上がったそのすぐあと、この教会の建設を支援したのは、日本にいるアルメニア人だということ、その日本とのつながりと、様々なめぐりあわせでこの日のミサに参加することとなったことから、頭の中でこう訂正しました。

「地球は広いけど、確実につながっているんだなあ」

 では、Ko'rshamiz! (またお会いしましょう!)

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カテゴリー 文化・芸術・美術
2015年3月 7日
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      齋藤 竜太
      日本の大学院博士課程で中央アジアの研究をしています。ウズベキスタンとの最初の出会いは2009年。その後の1年間のウズベキスタンでのロシア語留学を含めて、5回目となる今回のウズベキスタン訪問は、2014年夏から1年半の予定での留学です。ウズベク語を勉強し、研究を進める傍ら、Canon EOS Kissを相棒にタシケントとウズベキスタンを探索し、これはという街ネタをお伝えしていきたいと思います。

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