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ウズベキスタン/タシケント特派員ブログ 齋藤 竜太

ウズベキスタン・タシケント特派員が現地からアジア地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

2015年4月 2日

中央アジアと中華の間? ドゥンガン料理


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中央アジアと中華の間? ドゥンガン料理

Assalom alaykum! 皆さんこんにちは!タシケント特派員の齋藤です。
 中央アジア料理には、ウイグル由来の麺料理「ラグマン」や、肉まんじゅうを連想させるような「マントゥ」など、中国の影響を感じるような料理がいくつもあります。また、中央アジアでもよく食べられる、ロシア料理の「ペリメニ」は、ロシアのアジア方面の、シベリア料理ですが、水餃子にとてもよく似ています。ただ、食べるときに酢醤油でなく、「スメタナ」というサワークリームをかけ、「ディル」という香草を散らします。
 中国と中央アジアは地理的に近接しており、昔から「シルクロード」を通じての文化や人の交流が盛んでした。その「狭間(はざま)感」が、中央アジアのおもしろさである、と、特派員は(勝手に)思うのです。


 先日、特派員が住んでいるところから110番バスに乗って、タシケント郊外の「クイリクバザール」に向かっていた時のこと。なんとなく眺めていた車窓から、
「Дунганская Кухня」
(ドゥンガンスカヤ クーフニャ:ドゥンガン料理)
 という看板を掲げる食堂が目に入りました。
 その食堂が目に留まるのと、バスが停留所に滑り込むのとがほぼ同時だったので、慌ててバスから飛び降りました。


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 特派員はこれまで、他の中央アジア諸国に何度も滞在してきましたが、ドゥンガン料理は、キルギスとカザフスタンで食べてから、お気に入りの料理の一つです。中央アジア料理と中華料理の合いの子のような「いいとこどり」な点と、いかにも「文化のはざまで生まれた」料理を食べていると思わせる味わいが、とても気に入ったのです。


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 このドゥンガン料理店、中はがらんとしたホール状の空間で、入って正面奥の壁に、中華らしい装飾が施されています。


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 メニューを頼むと、あります、あります、特派員の好きそうな料理が。「ガンファン」(肉野菜の炒め煮のぶっかけごはん)は外せないとしても、もう一品は何を頼むか...。「トゥフンツァイ」(卵炒め)が気になったので、それを頼んでみました。何で気になったかというと、「トゥフン」はウズベク語で「卵」という意味で、そしてそれに中国語っぽい「ツァイ」という語尾を付けているのが、いかにも文化の交差点のシルクロードっぽいです。それにしても、ロシア語を基本とするメニューでありながら、ウズベク語由来の単語やら中華っぽい語尾やら、見ているだけでおもしろい文化混淆メニューです(そして背景はなぜか日本のお城)。


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 出てきた料理はいずれもおいしかったです。しかし、味よりも何よりも驚いたのが、ご飯にかけるガンファンの肉野菜炒め煮も、「トゥフンツァイ」という卵炒めも、いずれも片栗粉かなにかでとろみをつけてあったことです。タシケント市内の中華料理屋でも、ここまでしっかりとろみをつけているところはあまりありません。このドゥンガン料理店では、「とろみ」が一番特派員に中華の影を感じさせてくれたのでした。


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 また別の日に訪れたときには、「フンチョーザ ツァイ」(春雨の肉野菜炒め)、それと、マントゥを、蒸しマントゥと揚げマントゥの二種類頼みました。


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 ウズベク風のマントゥは皮が薄いものが多いのですが、ここのはもちもちふんわり厚みがあって、中華まんそっくりの食感でした。蒸しマントゥは一個1200スム(30-40円くらい?)でしたので、お代わりしてしまいました。


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 中央アジアのドゥンガン人はもともと、中国の北西部、新疆ウイグル自治区と接する、甘粛省とその近辺の地域に居住していた民族であるとされ、19世紀以降、清朝との抗争などの一連の政治的動乱により、現在の中央アジア地域に逃れてきた人々の末裔だそうです。形質(外見)的には中国人に似ているそうですが、宗教はイスラームで、独自の建築様式のモスクでお祈りをし、他のムスリムが使うモスクにはあまり行かないそうです。特派員の友人に、キルギスのドゥンガン人を調査しているドイツ人の若手研究者がいて、以前、その方にドゥンガン人のモスクの写真を見せてもらったことがあります。そのドゥンガン人のモスクは、一見すると中国建築のように思える外見で、このようなモスクが中央アジアにあるのが不思議に思えました。
 中央アジアのドゥンガン人は、主にカザフスタンやキルギスに多く居住しており、1999年時点のデータでは、カザフスタンに3万7000人、キルギスに5万2000人、ウズベキスタンに数千人のドゥンガン人が居住しているそうです。ウズベキスタンにはさほど多くないため、今回ドゥンガン料理店を発見できたのは幸運でした。
(ちなみに、カザフスタンやキルギスにはウイグル人も多く、ウズベキスタンでもやはり見かけます)


 このドゥンガン料理店はタシケント市中心部からはだいぶ離れています。行き方は、タシケントメトロ、ブユックイパックユリ駅(旧称マキシムゴーリキー駅)から110番バスに乗り、「O'quv kombinati(オクフ カンビナーティ)」下車。メトロ駅からバスで30-40分ほどかかります。
クイリクバザールからは7番、99番、110番バスに乗ってすぐ。クイリクバザールへは、ヴァクザール(鉄道駅)の前を通る13番トランバイ(路面電車)に乗ってタシケント市街を南東方向、鉄道駅に向かって右側へ、終点まで行くと着きます。
 もしタクシーの運転手がO'quv kombinatiバス停の場所を知っていれば、タクシーで行ってもいいかもしれません。また、この店は9時から開店しているそうで、朝早いうちに来れば、打ち立てのラグマンを食べることができるそうです。ただし、夜の営業はしておらず、5時には閉店だそうなので、その点ご注意ください。また、アルコール類もありません。


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では、Ko'rshamiz! (またお会いしましょう!)


参考文献:
小松久男ほか編『中央ユーラシアを知る事典』平凡社、2005年。
間野英二著『中央アジアの歴史』講談社現代新書、1977年。

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カテゴリー レストラン・料理・食材
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      齋藤 竜太
      日本の大学院博士課程で中央アジアの研究をしています。ウズベキスタンとの最初の出会いは2009年。その後の1年間のウズベキスタンでのロシア語留学を含めて、5回目となる今回のウズベキスタン訪問は、2014年夏から1年半の予定での留学です。ウズベク語を勉強し、研究を進める傍ら、Canon EOS Kissを相棒にタシケントとウズベキスタンを探索し、これはという街ネタをお伝えしていきたいと思います。

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