【中国編】上海雑感
上海の最初の晩に興味を持った「結界」に似たコミュニティーの話ですが、それは下の写真を見るとよりクリアになるかと思います。
良く見ていただくと分かるかと思いますが、写真右下にゲートのようなものがあって、壁が家屋の群れを囲んでいます。壁の内側と、家屋の群れの中央には小さな通りがあって、人が歩けるようになっていますが、外とは隔離された形になっています。外からは閉じているわけですね。こういうコミュニティーの作り方が、とっても興味深いと思ったのです。
上海という街は、中国の中でも外に開かれている街だと言う印象を持っていましたが、実際は部外者からは閉じている強固なコミュニティーが存在している、ということを強く感じたんですね。下の写真のように、パスワードロックがかかった扉があちこちに見られたり、
こういう古めかしい扉で、外界と内とが区切られています。
この「内と外の区切り」は、例えば観光地で見ることができる上海だったり、摩天楼が代表する上海とは違う上海ですね。
その扉の向こう側には、間違いなく上海に住む「普通の人々」の生活があるということが、外側からはっきり見て取れるわけです。フランス租界を歩いた最初の晩から、このことが私自身の最大の関心事になっていました。
この一つ一つ違った扉の表情が、まるで内側の生活の様子や上海に住む人たちの思いを語るような、そのような「扉」に見えてきたのですね。
それは私が子供の頃過ごしていた、昔の日本で言えば長屋のような、横町のような、しかしそれ以上に外に閉じている内向きの生活圏というものがあることに、フランス租界から見た上海の奥深さというものを感じたのですね。
短い滞在ではなかなか「その先」まで到達することはできないのですが、少なくとも今回の旅で自分と上海のつながりの「入り口」を見つけることができたのは、幸いであったような気がしています。
確かに、夜の高速道路から初めて見た上海の街並はこのようであったし、
フランス租界であっても繁華街はこのように現代的なにぎわいをみせていたわけで、
あるいはタクシーに乗り込む若者たちの暮らしぶりは、あの「結界」の内側に住む人々とはまた違った所にあることは間違いないのですが、
これもまた多様な面を持つ上海の魅力ということになるのでしょう。その意味では「他民族都市」と呼ばれるトロントとの対比が面白そうです。何より、そこに住む人々は一生懸命で、明るく、私が考えていたよりはるかに活気に満ちた経済活動を行っていた、そのことがいまだに強く心に残っています。
それと、トロントのチャイナタウンがどこから来ているのか、そんなことも思わされて、あらためてトロントに戻った時にチャイナタウンを歩いてみたいな、と思わされたことも事実です。トロントに住む中国から移民をしてきた人々が上海のマーケットの風景を懐かしいと感じるように、私自身は上海のマーケットや街並を見てトロントのチャイナタウンを「懐かしい」と思うのが不思議でもありました。
20元でオレンジを売ってくれたおじさんの笑顔が、今回の上海の旅のしめくくりにふさわしいのかな? と思いました。さてお次は香港です。
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