No.8 フランス北部で揚げ物といえば、いわずと知れた××!
フランスの北の端、ノール県の文化には、ベルギーのそれと似通っている部分が多くあります。食文化にしても同じこと。
このあたりで「揚げ物」といえば、すぐに思い浮かぶのは、言わずと知れた「フライドポテト」。英語ではフレンチフライと呼ばれることも多いこの料理。フランスでは「ポムフリット(Pommes frites)」、あるいは単に「フリット」と呼ばれます。フレンチフライと呼ばれるからには発祥の国はフランス!と主張する人もいますが、私の周りでは、ベルギー発祥のものと認識しているフランス人のほうが多いようです。
フランス北部のどの町にも一軒はあるのが「フリットリー(Friterie)」と呼ばれるフライドポテト屋さん。固定された店であったり、キャラバンのような移動式の店であったりします。フリット以外にも、ローストチキンや、サンドイッチ、ハンバーガー、ホットドッグなども売っているのが常です。
中には学校が終わる時間に合わせて開ける店もあり、お昼時には子供連れの行列が見られます。ベルギーでは、ポテトフライにマヨネーズをつけて食べる人が圧倒的に多いようですが、フランスでは、マヨネーズと限らず、ケチャップやお塩だけという人もいます。
この週末リールを賑わせた蚤の市でも、フリットリーが活躍していました。
このフリットリー、ノール地方では、「フリットの家(baraque à frites)」とも呼ばれます。
空前のヒット作となった映画『シュティの地へようこそ(Bienvenue chez les Ch'tis)』(2008年公開)は、フランス南部から嫌々北部へ赴任して来たフランス人が、この地方とその文化を発見していく様子を、面白おかしく、人情たっぷりに描いた映画です。
この映画の中で、赴任一日目の主人公が「フリットの家(baraque à frites)」をレストラン名と勘違いする場面が出てくることからも分かるように、この呼び名はどうやらノール独特のもののようです。
ちなみに、題名にある「シュティ」というのは、フランス北部出身の人を指し、彼らが話す方言も「シュティ」もしくは「シュティミ(Ch'timi)」と呼ばれます。
もう一つ、この地方でしか見ない表現に、「フレッシュなフリット(frites fraîches)」があります。「フレッシュな」というのは、普通日本語と同じように、冷たい飲み物や、新鮮なレタスや魚などの形容に使うのですが、ここノールでは、どうやら「揚げ立ての」とか「冷凍物じゃない」という意味で「フレッシュなフリット」と呼ばれるようです。
フリットリーのフリットは、コルネと呼ばれる円錐形に巻いた紙に入れられるのが普通です。これが最後まで熱々のフリットを味わうのに一番良い形だそうです。大きさにもよりますが、1コルネ大体2-3ユーロが相場でしょうか。
さあ、お熱いうちに召し上がれ。
(9月お題 "から揚げ")
筆者
フランス特派員
冠 ゆき
1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。
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