No.27 秋色満開!コート・デュ・ローヌ(フランス)

公開日 : 2014年11月04日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき

 11月1日の万聖節も終わり、ますます秋が深まるこの頃。そんな中、ローヌ川沿いの小さな町を訪れてまいりました。今日はこの歴史の眠る古い町、トゥルノンの秋をご紹介しましょう。

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ローヌ川

 ローヌ川は、スイスからフランスに流れ入り、フランス国内では、リヨンから南のヴァランス、アヴィニヨン、アルルを経て地中海へと流れ込む河川です。このローヌ川沿いに広がる丘陵で収穫された葡萄で作られたのがコート・デュ・ローヌのワイン。私が一番好きなフランスの赤(ワイン)でもあります。

 今回訪れたのは、ヴァランスの北20kmに位置するトゥルノン。人口一万人あまりの小さな町ですが、その歴史は古く、紀元前三世紀頃とされています。

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トゥルノン城

 ローヌ川沿いの県道と、川に近いわずかな平地を除けば、西側はすべて山で、斜面には葡萄畑が見られます。トゥルノンのワインは、八世紀のフランス王シャルルマ-ニュにも愛されていました。

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 トゥルノンには、中世前期より領主がいて、代々侯爵あるいは男爵の称号を持ち、広い領地を所有していました。

 現在残るトゥルノン城は、古くは738年にその記録が残っており、17世紀までトゥルノン伯爵が居住していた場所です。現在は博物館となっています。

《開館時間》

冬の間(11月8日から3月19日まで)は休館。

3月20日から5月末と9月1日から11月7日までは水曜以外の14時ー18時。

6月は毎日14時―18時。

7-8月は毎日10時ー12時、14時―18時。

 16世紀の作である分厚い門扉は、かなり印象的。

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16世紀の門扉

 城自体の保存状態も良く、中には、トゥルノンゆかりの人物や事物についての説明が展示されています。

 いくつかある城のテラスからは、ローヌ川と、向かいの町タンの葡萄畑を望むことができます。

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 二つの町は、川を挟んですぐそこですし、歴史的にも深い関わりを持っていますが、現在は、ローヌ川が県境でもあるため、西のトゥルノン側はアルデッシュ県、東のタン・レルミタージュ側はドローム県に属しています。

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手前が西のトゥルノン、川の向こう側が東のタン

 朝陽はトゥルノン側の丘陵を照らし、夕陽はタン側の丘陵を照らすため、城からは、夕暮れ時に美しい対岸の景観が堪能できます。

 トゥルノン城に隣接した聖ジュリアン教会も歴史が古く、14世紀には国内有数の教会の一つでした。今でも15世紀に作られた鐘を始めとして、16世紀の彫刻や17世紀の説教台が残っています。

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聖ジュリアン教会

 1536年に18歳の若さで亡くなったフランソワ皇太子(国王フランソワ一世の息子)の遺体は、パリの聖ドニ教会に埋葬されるまで、11年間、この教会に安置されていました。

 トゥルノン城のテラスに上られたら、是非見ていただきたいもう一つのお薦めは、現在ガブリエル・フォーレ高等学校と呼ばれる旧コレージュ・ド・トゥルノン。1536年に創立されたこの高等学校は、フランスの地方に設立された最初の高等学校として有名です。通りからは、その重々しい校舎の外観しかわかりませんが、お城からですと、後ろに建つ美しいチャペルも愛でることができます。

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ローヌ沿いに建つ旧コレージュ・ド・トゥルノン

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旧コレージュ・ド・トゥルノンのチャペル

 上にも書いたように、トゥルノン城は、今週末から三月まで閉館となりますが、春以降リヨンやヴァランスにご旅行の際は、是非、寄り道を検討してごらんになってはいかがでしょう。

河畔や、葡萄畑の広がる山道を散策するだけでも、気分の良いものですよ。

《トゥルノンへの行き方》

トゥルノン駅は現在貨物列車しか通りませんが、トゥルノンへは、対岸の町タン駅から徒歩10分で行くことができます。

・パリ・リヨン駅からTGVでリヨン・パールディユー駅まで約2時間。→リヨン・パールディユー駅からタン駅までフランス国鉄で、約1時間(およそ片道80-110ユーロ)。

・ヴァランス・ヴィル駅からタン駅までフランス国鉄で10分。(片道4.1ユーロ)

追記:この旅から戻った直後の11月3日よりリヨンから南のローヌ川沿いで、豪雨となっています。フランス時間11月4日朝9時現在、6500戸が停電しています。この雨は明日5日まで続く予報。幸い葡萄の収穫はすでに終わっていましたが、これ以上、洪水など被害が拡がらないことを祈るばかりです。

このサイトのフランス地図、オレンジ色の場所が、現在警報の出ている地域です。お近くに滞在中の方はくれぐれもお気をつけください。

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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