No.206フランス・ノールで、朝のコーヒーに加えるもの2つとは?
フランス人は朝ごはんに何を食べるか?
というより、何を飲むかの方が、現実的な質問かもしれません。
というのも、統計によると、フランス人の大人5人にひとり以上は、朝ごはんを食べないのです。困ったことに、この傾向は子供にもあり、子供だと4人にひとり以上が朝ごはんを食べません。
飲むのは、大人なら圧倒的に多いのがコーヒー。次が紅茶。
子供に多いのはショコラと呼ばれるココア。
最近ではマグカップも普及しましたが、普通はボルと呼ばれる、小ぶりのどんぶり、または大きめのお茶碗のような容器に入れて飲まれます。
朝食用ボル
では、朝食を摂る人は何を食べるのでしょうか。
日本でのイメージは"クロワッサン"かもしれませんが、クロワッサンは基本的には「ハレ」の日の食事。日本人が毎日寿司を食べるのではないのと同じように、フランス人も毎日クロワッサンやブリオッシュを食べているわけではありません。
たいてい、普段の朝食べるのは、パンにバターとジャムを塗ったもの。またビスコットとかパン・グリエと呼ばれるカリカリのパンのようなものにジャムを塗って食べたりします。最近はシリアルを食べる人も増えているようです。
家庭にもよるでしょうが、クロワッサンやパン・オ・ショコラ、パン・オ・レザンのような、いわゆる「パティスリー」は、日曜や、お客様が泊まった翌朝の朝食用というイメージです。
パン・オ・レザン
フランス北部の朝食も、他と大して変わりませんが、No.189 に書いたように、地元民は、コーヒーを作るとき、シコレを混ぜて作る人が少なくありません。
シコレとコーヒーを混ぜた「インスタント・シコレコーヒー」も出ていて、こちらは、そのまま温めた牛乳に溶かしたり、お湯に溶かしたりして飲みます。
インスタント・シコレ・コーヒー
独特の香ばしさがあり、飲みやすい味です。強いて言えば、濃い麦茶のような香りと言えるかもしれません。
私は実際には目にしたことがないのですが、以前は、昔この地域でよく作られていたジュニエーヴルというアルコールをコーヒーに垂らして飲むのがよく見られたそうです。映画『シュティの地へようこそ』(No.43 参照)の中にも、その様子が描かれています。
ジュニエーヴルは、ネズの実を使った蒸留酒で、今では、ノールで製造所が残っているのは、ロース(Loos)とワンブルシー(Wambrechies)(No.169 参照)くらいです。
ワンブルシーのジェニエーヴル製造所
一度、見学したいと思いながら、強いアルコールなので、試飲の後すぐハンドルを握るわけにもいかず、なかなか時間が取れないでいます。
ほんの少しとはいえ、朝食のコーヒーにこれを垂らして飲んだりしたら、通勤に支障をきたす人もいたのでは?と思いますが、今と違って、血液中のアルコール量に比較的寛大だった時代は、問題がなかったのでしょうか。
いろいろ想像できて、面白いものです。
(冠ゆき)
(7月お題"朝食")
筆者
フランス特派員
冠 ゆき
1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。
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