No.243若き仏経済相マクロンの大手術で現れたバス会社:Isilines, Flixbus, Ouibus

公開日 : 2015年10月04日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき

ただいま訪日中のフランスの首相Manuel Valls(マニュエル・ヴァルス)と経済相Emmanuel Macron(エマニュエル・マクロン)。マニュエル・ヴァルスの方は、10月3日(土)ニュイ・ブランシュが開かれる京都を訪れていましたから、日本のニュースでご覧になった方も多いのではないでしょうか。

二人とも鋭利な頭脳を持つ若手政治家です。特にエマニュエル・マクロンはまだ30代!という若さ。今の内閣は、他にも若くて切れる人が何人かいて、そのあたりの人選を見ると、オランド大統領も実は「できる」のかも?と思ってしまいます。

それはともかく、このエマニュエル・マクロン。

「フランスは三つの病を抱えている」と言い放ち、それに対処するため昨年年末提案した法案は、その名を取って「マクロン法」と呼ばれます。

その実施が始まったのがこの夏。様々な面から、複雑(すぎる)手続きだとか、組合主義に対抗する斬新な経済改革に乗り出しました。

例えば、この夏話題になっていたことのひとつに、パリにパンが無くなる!という噂がありました。

というのは、フランス革命の頃成立した法律に、パリのパン屋が休業するには、「県庁レベルでの許可が必要」という項目があったそうなのですが、それがいまだにそのまま使われてきていたのです。成立当時は、確かにパンは民衆にとってなくてはならないもので、パン屋がみな同じ時期に休んでは、民衆の糧が無くなってしまう、すわ一大事!ということだったのでしょうが、今はスーパーもあれば、冷凍庫も冷蔵庫もある時代。オーブンだって各家庭にあるくらい普及しています。県庁の許可を取らないと休めないなんて時代錯誤も良いところ、ということで、この法律は無効に。

それを受けて、「どうしよう!パリにパンが足りなくなるかも!」と騒ぐマスコミがいて、それもまたなんだかなぁ、と思ったりしていました。

さて、実は、ここからが本題です。

同じように、法律でその独占主義を保障されていたのが、今までのSNCF(フランス国鉄)。フランスの国内に長距離バスがなかったのは、実はそのためです。

しかし、これも「マクロン法」のおかげで、ある程度自由化されることとなり、この夏から、いろいろと便利で安い長距離バスが運行され始めています。

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Isilines

例えば、Isilines 。なんとプロモーション価格5ユーロから、フランスの各都市(リール―ランス、マルセイユ―ボルドー、リヨン―マルセイユなど)を結びます。

リールーランスや、リヨン―マルセイユなどは、電車だと非常に不便で、ともすれば、パリ経由になったりするのですが、直通バスがあるのは便利。しかも、この値段!実にありがたいニュースです。

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flixbus

また、ドイツからきたFlixbus もボルドー、ディジョン、クレルモン・フェラン、リールを結ぶ路線を展開。限定数ながら、ボルドーーリヨン、ディジョン―パリ、リール―パリ、クレルモン・フェラン―パリなどは、1ユーロの座席もあるんだとか!

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Ouibus

SNCF(フランス国鉄)もそれに負けてはならじと、Ouibus を立ち上げました。5ユーロ座席もあるそうです。

以前ここで紹介したiDBUSがOuibusの前身です。

渋滞の影響を受けない列車を好む人もいれば、時間はかかってもいいから安く乗り換えも少なく移動したいという人もいるでしょうし、選択肢が増えるのは、乗客にとっても嬉しいこと。

路線もこれからどんどん増えてくるでしょうし、フランス旅行の幅も広がりそうですね。

「マクロン法」の影響、他にもありますが、とりあえず、今日はこれらの長距離バス会社の紹介まで。いずれもそれぞれのサイトから予約できます!

(冠ゆき)

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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