No.343聖ニコラの日のお菓子とスパイスと十字軍とベルギー・アルデンヌ
12月に入り、フランス北部では、朝の気温が10時ごろまで氷点下という日が続きました。けれども明日からはまた少し気温が緩むようです。
午後になっても凍ったままの庭
聖ニコラを模ったチョコレート
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フランス北部、東部、ベルギー、東ヨーロッパでは、この日、聖ニコラが子どもたちにプレゼントを持ってくるという風習があります。いまでこそ、サンタクロースが普及(?)しましたが、ひと昔前は、サンタクロースよりも、聖ニコラの方が重要だったようです。
もらえるプレゼントは大抵甘いお菓子。フランス北部ではブリオッシュのようなパンや、スペキュロス、聖ニコラをかたどったチョコレート、オレンジなどが配られます。
スペキュロス
ベルギー東部のディナンの名産に、「ディナンのクック」と呼ばれるスパイスのたくさん入ったビスケットがありますが、これも、聖ニコラの日に配られるお菓子として有名です。
最近こちらの記事で紹介しましたが、これがまた、歯が折れそうな硬さなのです。ちょっとやそっとでは割れないので、旅の土産には向いているかもしれません。賞味するには、どうにかこうにか口に入る大きさに割って、キャラメルのように口の中で溶かすのが正解のようです。
ディナンのクック
このディナンのクック、そう言うわけで食べるのは至難の業ですが、ほのかな甘みにスパイスの香りが強く、一度食べると病みつきになる味でもあります。実は、レシピを検索して、わが家でも何度か作ってみました。
最初は本物らしく大きく作って割るのに苦労したので、二度目は最初から小さく作ってみましたが、一口大より大きいので、もう少し小さくても良かったかなというのが感想です。
不格好ですが...自家製ディナンのクック
ところで、このディナンのクック。型にはめて作るところとか、スパイスがたくさん入っているところとか、ドイツ・アーヘンの名物プリンテンに似ているなぁ、と思いました。
アーヘンのプリンテン。右の壁に掛かっているのが木型
あとから調べてみると、なんと、ドンピシャリ。ディナンの職人がアーヘンに行って伝えたことで生まれたのがプリンテンなのだそうです。道理で似ているはずです。
ついでに言えば、スパイシーな味は、俗にいうジンジャーブレッドに共通するもの。ポーランドのピェルニクやフランスのパンデピスも同じ系統の味に思えます。
ポーランド、トルンの名物ピェルニク
もともとスパイス自体、十字軍が持って帰ったという話ですし、そういえば、第一回十字軍の指導者の一人、ゴッドフロワ・ド・ブイヨンは、ディナンと同じベルギー・アルデンヌ地方の町ブイヨンの城主でした。
ブイヨンの町、右に見えるのが城壁一部
スパイシーなディナンのクックを口に含むと、そんなことのいろいろが、頭を駆け抜けていきます。
ちなみに、ブイヨンは、アルデンヌの中でも魅力的な町のひとつでお薦めです。詳しい案内記事はこちらに書きましたので、興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
ついでに、まとめておくと、ベルギー・アルデンヌ地方についての既出記事は下の通りです。旅行の計画を立てる際の参考になれば幸いです。
(冠ゆき)
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筆者
フランス特派員
冠 ゆき
1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。
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