オーストリアのなまはげ、クランプス
前回紹介したオーストリアのクリスマス事情にもう少し踏み込むと、こちらではクリスマスのようなイベントが2回訪れます。
一度は言わずと知れた、12月25日のキリスト生誕祭。
そしてもう一度は、12月6日の聖ニコラウスの日で、クリスマス前哨戦のような位置づけとなっており、子供たちは家族や周りから、お菓子やハンドクリームなどの小さなプレゼントを受け取ります。
そしてこの日に贈り物を持ってくるのが、法衣を纏った老人の姿をした聖ニコラウス。
彼は4世紀初頭に生きた司祭で、家計を助けるため身売りさせられそうになった娘に多額の金銭をこっそり援助したことから、サンタクロース伝承の起源となったともされる人物です。
12月6日は彼の命日に当たることから、オーストリアではこの日(もしくはその前夜)にプレゼントを渡す習慣ができたようです。
また、子供たちに贈り物を渡す聖ニコラウスに同行しているのがクランプスという悪魔。
ヤギのような2本の角、黒い毛に覆われた体表、突き出した燃えるような赤い舌に鋭い鉤爪という恐ろしい出で立ちで、悪い子供を見つけると罰したり、連れ去ったりしてしまうと伝えられています。
そういえば、秋田県では大晦日の夜に「悪い子はいねがー」と"なまはげ"がやって来るそうですが、このクランプスとも何だか性質や見た目が似通っているのが面白いですよね。
(聖ニコラウスの日に貰えるお菓子の一例。左の二つがニコラウスで、右二つがクランプス)
私の夫が幼いころは、幼稚園にもニコラウスとクランプスが実際にやってきて、
お菓子を配ってくれたそうなのですが、昨今では宗教上の理由からこの風習を廃止している幼稚園が多いとのこと。トルコ人(イスラム教徒)を筆頭に、他宗教の子供たちが増えている中、このような宗教性を帯びたイベントは公平ではないとの判断であるようです。
様々な文化や宗教の人間が共存しながら生きていけるよう配慮するのは素晴らしいことだと思いますが、ウィーンの昔ながらの伝統が時とともに失われていくのは、何だか淋しいような気もしますね。
筆者
オーストリア特派員
ライジンガー真樹
オーストリアっておもしろそうな国だな、ウィーンって見どころのある街だな、と読者の皆さまに思っていただけるような記事を配信していければと思います!
【記載内容について】
「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。
掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。
本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。
※情報修正・更新依頼はこちら
【リンク先の情報について】
「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。
リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。
ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。
弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。