ハプスブルク家に愛されたオーストリアのケーキ【６】　ザッハトルテ

オーストリアを訪れる人なら、その名を知らないものはないザッハトルテ。

特にここ10年ほどは、日本でも頻繁に見かけるようになり、"オーストリア発のケーキ"として知名度もかなり高まった感がありますよね。

実は、ここウィーンには"オリジナル（元祖）"と呼ばれるザッハトルテが存在し、これを称することができるのはホテル・ザッハーの商品のみ。しかも、すべての製造工程を掌握しているのはたった三人のみという、門外不出のレシピを持っていることでも有名な高級ケーキです。

まだ賞味したことのない方のために書き添えると、ザッハトルテは重厚なチョコレートケーキの一種で、しっとりとしたスポンジと、そこに挟み込まれた甘酸っぱいアンズペースト、そしてほんのりと苦みの効いたチョコレート・フォンダンの組み合わせは、まさに贅沢そのもの！「世界一のチョコレートケーキ」や「チョコレートケーキの王様」との異名にも納得です。

また、傍らにこんもりと添えられた生クリームは、ザッハトルテのテイストを決して邪魔するものではなく、純粋にクリームの持つまろやかな味とふんわりとしたテクスチャを楽しむものであるべきとの哲学が。そのため、オーストリアでは必ず無糖にて供されています。