なぜウィーンのデメルはマカロンを作らない?素朴な疑問をパティシエにぶつけてみた
約30年ぶりの大寒波の影響で、1月は最高気温がプラスになる日がほとんどなかったウィーン。
昨日から気温がやっと上がった(とはいえ最高気温0度とかですが・・・)とたん、雪がしんしんと降りだし、本日は車も歩行者も雪に注意しながら徐行している状況です。
そんな中、パリに出張していた夫がヴァレンタイン限定のハート形マカロンをお土産に持って帰って来てくれました。
マカロンといえば、ウィーンではあまり見かけないスイーツの一つ。
数年前に遅まきながらちょっとしたマカロンブーム到来以来、スーパーマーケットやコンディトライ(パティスリー)で見かける機会は若干増えたものの、まだまだウィーンでは市民権を得ていないようです。
そこで思い出したのが、皇室御用達デメルに努めるママ友のお話。
ここも以前はマカロンを作っていたんですよね。
こちらのスミレの砂糖漬けが用いられたマカロンは、デメルにおいて私の大のお気に入りの一つでした。
最近見かけないので存在を忘れつつありましたが、まさかマカロン製造販売を中止してしまっていたとは!
マカロンは随分製造に手間暇がかかると伝え聞くので、コストパフォーマンスに見合わないのかと思いきや・・・
「なぜフランスのスペシャリティーを私たちが作る必要があるの?デメルはオーストリアのお菓子を作るべきよ」
というのが彼女をはじめとするデメルのマカロン反対派の意見なのだそう。
ごもっともです。何でも真似して作りたがる我々日本人にとっては耳に痛いお言葉です。
やはり真似たものは大概の場合、本家本元を超えることは叶いませんものね。
私も日本のパティスリーで何度かマカロンを購入したことがありますが、フランスで食べるものとは全く別物と言わざるを得ませんでした。見た目はそれなりにお洒落で可愛いものが揃っているのですが、味の濃厚さや、サクサク且つまろやかな食感といった肝心の部分が違うんですよね。
マカロン製造に適した気候や手に入るバターの味ひとつとってもフランスとは随分異なりますし、どうしても限界があるように思われます。
オーストリアとフランスでは、気候や手に入る食材は日本ほどかけ離れていないでしょうが、今まで積み重ねてきたノウハウやハプスブルク皇室御用達の矜持なども鑑みると、"マカロン製造中止"という決断はあながち間違ってはいないのでしょう。
スミレの砂糖漬けのマカロンがもう食べられないのは残念極まりますが、これからデメルがウィーンのコンディトライならではの美味しいスイーツ開発を続けてくれることを楽しみにしています!
筆者
オーストリア特派員
ライジンガー真樹
オーストリアっておもしろそうな国だな、ウィーンって見どころのある街だな、と読者の皆さまに思っていただけるような記事を配信していければと思います!
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