食の安全、意識してる?EU内でも特に健全な畜産物が手に入るオーストリア

公開日 : 2017年07月31日
最終更新 :

私が日本に住んでいた頃は常日頃、何の気なしに購入していた鶏卵。

それがオーストリアに移住してからしばしば目にするようになったのが、BIO(オーガニック)と並んで、"Freilandhaltung(放し飼い)"、"Bodenhaltung(平飼い)"といった卵のパッケージに書かれた文字。日本では、まだそこまで馴染みのある言葉ではないのではないでしょうか。

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少し説明すると、Bodenhaltung(ボーデンハルトゥンク)は鶏舎内で地面に放して自由に運動できるようにした飼い方。

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Freilandhaltung(フライラントハルトゥンク)とは屋内外の自然な環境を走り回れるほか、自由に餌を食べたり砂浴び(寄生虫を落とす動作)等もできるようにした飼育のこと。

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そしてBIO(ビオ)とはそのもっと先を行った飼育法で、放し飼い飼育に加えて飼料の原料が有機農作物に限定されているもの。

とにかく食の安全さ・健全さに重きを置くオーストリア人の国民性を反映してか、どのスーパーマーケットでも必ず自社ブランドのBIO(オーガニック)鶏卵が販売されているのには私も随分と驚かされました。

調べてみたところ、EUでは採卵に厳しい規準が設けられているようなので、表にまとめてみたのがこちら。

採卵方法グラフ-revised-2.png

こうして比べると、オーガニック養鶏では一羽当たりの居住面積・運動面積が圧倒的に広く取られているのが見て取れます。

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加えて、オーガニック最先進国のオーストリアはその中でも更に厳しい独自の規準を設けており、他のEU諸国と比べても40%程度まで広い鶏舎が提供されているとのこと。

照明・空調・室温も鶏に適したものでなくてはならず、新鮮な藁を定期的に交換することも定められているそうで、食の安全に対する真摯な姿勢とともに動物への敬意がひしひしと感じられます。はっきり言って当たり前のことなのでしょうが、その当たり前のことすら施行できていない国や養鶏場がまだまだ存在するのも残念ながら事実のようです。

調べ進めているうちに知ったのが、日本ではEU諸国と随分状況が違うということ。

一説によると、採卵目的の養鶏場の約90%がEUでは既に禁止されている「ケージ飼育法」を採っており、窓のない部屋に鶏を詰め込んだ檻が山と積み上げられているのだそう。(もちろん藁もなし)

また"平飼い"と安全を謳った鶏卵でも、実態は身動きもできないほど鶏がすし詰めで、掃除もろくになされていない"阿鼻叫喚"の養鶏場もあるようです。

このような劣悪な環境下で多数飼育される鶏たちは、ストレスや運動不足から病気に罹りやすく、サルモネラ汚染なども簡単に蔓延するため、多量の抗生物質を投与されているのが普通と聞きます。そして皆さんもご存知の通り、菌には耐性がつくため、抗生剤が効かなくなるのも時間の問題と言われています。

自分や大切な人の口に入っているその卵はいったいどんな鶏が生んだのでしょう?

私自身も以前はさして疑問に感じることもなく購入していた鶏卵ですが、この情報を得てからは、少々値が張ろうとできるだけBIO(オーガニック)、譲歩してもFreilandhaltung(放し飼い)のものを選ぶように心がけています。

ひとりひとりの消費者の購買行動がひいては生産者の選別に繋がるので、日本でも安全な食生活を望む意識の高い人が増え、早くオーストリアのように健全な卵の手に入れられる環境が整ってくれることを心より願っています!

もっと詳しく知りたい方はこちらへ。

筆者

オーストリア特派員

ライジンガー真樹

オーストリアっておもしろそうな国だな、ウィーンって見どころのある街だな、と読者の皆さまに思っていただけるような記事を配信していければと思います!

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