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日本国内/山形特派員ブログ 韮澤 成行

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2011年5月18日

新緑を訪ねて ‐立石寺


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新緑を訪ねて ‐立石寺

立石寺(りっしゃくじ)は通称山寺。正式には宝珠山立石寺。天台宗の古刹で貞観2年(860年)に円仁(慈覚大師)が開いたとされます。そしてこの寺を最も有名にしたのは俳人松尾芭蕉(1644-1694)の「閑さや岩にしみ入蝉の声」の一句ではないでしょうか。久しぶりの快晴に恵まれた日曜日(15日)、青葉若葉の生い茂るこの山寺を訪ねてきました。


宝珠橋から.jpg 立谷川(たちやがわ)に架かる宝珠橋から眺めると、寺のある山々には奇岩怪石が聳え、堂宇が立ち並ぶ様は見飽きることがありません。川べりの巨石は、慈覚大師が開山するに当たりこの地の支配者とこの石の上で対面したからということで対面石と言われます。

立石寺の蝉.jpg ところで本県出身の歌人齋藤茂吉(1882-1953)に「立石寺の蝉」という一文があります。これは昭和の初期に小宮豊隆(1884-1966. 独文学者・文芸評論家)と冒頭の芭蕉の句の蝉の種類について論じたことを書いたものです。
茂吉は文学的(感覚的?)観点からアブラゼミ説を唱え、小宮は科学的根拠も加えてニイニイゼミ説を唱えました。茂吉は芭蕉が立石寺を訪れた時期(今の7月の始め)に現地での調査を試みたりもしましたが、多くの協力者によって得られた結論は小宮のニイニイゼミ説のほうがが正しかったということでした。

芭蕉のこの句を読んだ人はそれぞれ自分なりの蝉の声を当てはめ、ことさら蝉の種類を問題にすることはなかったのではないかと思います。私もアブラゼミを想像しましたが、他の蝉ではダメなんでしょうか? そして7月のはじめにもう一度山寺を訪れてみる積りです。その時、蝉の声が録れたら改めてリポートしようと考えています。蛇足ですが、古池に飛びこんだのは何蛙だったんでしょうね?


閑さやの碑.jpg こちらは嘉永6年(1853年)に芭蕉の門人たちが建てたという「閑さや...」の碑。


せみ塚.jpg 奥の院への参道途中にあるせみ塚。先の句を書いた短冊を埋めた場所だそうです。


立石寺本堂.jpg さて、次にこの寺を有名にしているのは不滅の法灯でしょうか。この法灯は当寺開創の860年に比叡山延暦寺から分け与えられ、今も本堂(根本中堂. 重要文化財)奥の釣灯籠で灯り続けています。延暦寺の法灯は1571年の織田信長の焼き討ちで失われており、その時は逆に当寺から分灯されました。そこで山寺の法灯こそ本流である、と言うような話が地元では囁かれていますが、実は当寺の法灯も戦国時代に火災のため一度失われ、再分灯されているのでどっちがどうと言うこともないのでは...?


奥の院参道.jpg 山寺に来る楽しみは、史跡巡りと山登りかもしれません。山門から奥の院までは一千段以上あるという石段を上らなければなりませんが、私にはまったく苦になりませんでした。むしろこのような所にしては随分楽に上れたと思います。そのわけを考えると、道はさほど急ではないことと、途中に見所が沢山あり、その都度足を止めて見入っているとおのずと休憩が取れてしまうからかもしれません。最後まで息切れすることはありませんでした。


五大堂と開山堂.jpg とは言うもののせめて下りは楽にということか、かつてここにはコンクリート製の長~い滑り台があったのです。いつ造られたのか定かではありませんが、あまりの急傾斜で危険だということらしく、いつしか廃止になりました。滑り台はほぼそっくり残っているようですが、もう見ることはできません。それどころか今となってはそんなものがあったことすら知る人も少なくなってしまったのではないでしょうか。同じように以前なら行くことができた場所(胎内くぐりなど)も今では立ち入ることすらできなくなっています。何しろここは峨峨たる仏道修行の山、真偽のほどはともかく、岩場から観光客が転落したというような話もあったくらいですから...


弥陀洞と仁王門.jpg 弥陀洞(みだほら)と仁王門(奥)。巨岩の壁面に文字が沢山彫り込まれていますが判読できません。


阿陀洞.jpg 岩を正面から見たところです。阿弥陀如来の姿が見える人には幸福が訪れるということですが、私には見えませんでした。


奥の院.jpg ここが最高到達地点。右の三角屋根が奥の院(如法堂)。左の建物は大仏殿で高さ5メートルという金色の阿弥陀如来像があります。


三重小塔.jpg 奥の院の近くにある室町時代に作られた三重小塔(重要文化財)。岩穴に納まっています。


開山堂と納経堂.jpg 奥の院から少し下ると重要文化財の開山堂があります。岩の上の小さなお堂は納経堂で山内最古の建造物。


五大堂.jpg 開山堂の隣にあるのが(恐らく)最大の人気スポット五大堂。参拝客の多くはここからの眺めが目的で登ってくるのかもしれません。


山寺の街並.jpg 五大堂からの南方の眺め。横に延びるのは山形と仙台を結ぶJR仙山線。右が山形方面。中央左にゆかりの各地にある芭蕉記念館の一つ山寺芭蕉記念館がありますが(「どこだ?」「三角屋根群の左!」)、冒頭の17文字のたった一句が、このような施設を造らせてしまったわけです。


胎内堂方向.jpg 同じく東側の眺め。右下の屋根は開山堂。


新緑の中の石仏.jpg 立石寺は見所が濃縮されたような所です。一度ではとても紹介し切れないので適当につまんでしまいました。ここは山形の観光には必須です。季節ごとに何度でも行きたくなる所です。

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カテゴリー 見所・観光・定番スポット
2011年5月18日
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      韮澤 成行
      東京でのサラリーマン生活を終え、好きな京都に移住したのも束の間、思いがけずに今度は山形。都会生活が長かったので田舎暮らしの不便さを感じますが、これが日本に住む人々の平均的なレベルなのかも… 人生もうあくせくする必要はなく、住めば都になるかもしれません。高層ビルのない空は広く、自然が身近にあって食べ物は新鮮でうまい。でも、次はどこへ行きますかね?国外?まさか!

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