地雷被害も懸念 洪水被害が拡大するバルカン半島

公開日 : 2014年05月19日
最終更新 :

昨日お伝えさせていただいたバルカン半島の洪水被害。クロアチア国内のニュースでは、日曜日は1日中このニュースが流れていました。クロアチアのスラヴォニア地方(ボスニア・ヘルツェゴヴィナとの国境沿いの町や村)では被害は拡大しており、日曜日には多くの住民の避難・救助が行われました。

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家族の故郷の村の近くのシャーマッツでも、まだまだ救助の数は足りないものの、少しずつ救助活動が行われているそうです。赤ん坊と2人、家に閉じ込められていた親戚も、今日スロベニアの救助隊に救出してもらったとの連絡が。家族みんながほっと一息つきました。しかし、一方でニュースではシャーマッツでも数名の死者が出たとの悲しいニュースも。本当に少しでも被害が最小限で済むことを祈るばかりです・・・。

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避難した人の多くは、身分証明書など最低限の携帯品を除いて、身ひとつで家を離れてきた人がほとんど。現在クロアチアでは学校などが避難所として利用されていますが、避難所には国内から寄付された様々な物資が集まってきています。クロアチアの赤十字や支援団体を通して集められたものの他にも、家にある食料や衣服、生活用品をかき集めて避難所に駆けつける一般市民の姿も。

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そんな多くの人々の善意のおかげで、現在避難所では食料は足りているようですが、歯ブラシやシャンプー、トイレットペーパーなどの身の回りの品、また、赤ちゃん用のオムツ、ベビーパウダー、ベビーフードなど、ベビー用品が不足しているようです。また今後、長期保存できる缶詰などもたくさん必要になってくることが予想されています。

この洪水被害がどこまで広がるのかまだ予想がつかない最悪の状態のバルカン半島ですが、今後、この洪水によって引き起こされる地雷被害も大きく懸念されています。ボスニア・ヘルツェゴヴィナをはじめ、今回洪水被害にあった地域にはまだたくさんの地雷が埋まっていますが、今回の洪水により一部の地雷が地中より流れ出てしまいました。(中には不発弾が家の前まで流れ着いたというケースも報告されています。)そのため瓦礫の中に地雷が紛れ込んでいる可能性があり、大変危険な状態となっています。ボスニア・ヘルツェゴヴィナ全土では、現在も9400箇所近くが地雷区域に指定され、約12万もの地雷が地中に埋まっていると言われてます。

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その中には河川沿いに埋められたものも多く、今回の洪水で地雷区域が地すべりで動いたり、地中から地雷が流出してしまったのです。ボスニア・ヘルツェゴヴィナ政府は月曜日より地雷発掘操作を開始すると述べていますが、現在は泥水で水底の様子がわからず、今度水が引いた後も瓦礫に混ざった地雷による予想不可能な被害も懸念されています。

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以前「平穏なボスナ川に残された戦争の足跡」でもお伝えさせていただいたように、ボスニアのわが家の近くにも地雷による立ち入り禁止区域がありますが、そこも今回の洪水により地雷の位置が変わってしまった可能性があります。

テレビから流れてくる故郷の悲惨な状況、悲しむ人々の姿を、家族みんなじっと見つめるしかありません・・・。見覚えのあるシマシマ柄の村の教会も、通りも家もみんな水に浸かっていました。

「戦争ですべてを失って、やっと乗り越えたのに。一生懸命働いて少しずつ建て直した家をまた失ってしまった・・・。これから一体どうすればいいのか・・・。また全部なくなった・・・。」と泣き崩れる画面の向こうの女性。胸がつまり言葉がでてきません。

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まだこれからどのような事態になるか予想がつきませんが、1日でも早く水が引き、少しでも多くの人が1日でも早く家に帰れることを祈るばかりです。

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