日本食販売店　ＹＡＭＡ

公開日 : 2011年12月26日

最終更新 : 2011年12月26日

筆者 : 西岡佐知子

アヌシーから車で高速Ａ40を使って1時間ほどシャモニ方面に向かうと、アルプスの入り口の町クルーズCluseに着きます。ここからレ・ジェLes gets、モルジヌMorzineといったヨーロッパ域内で人気の高いスキー場に向かう入り口となっています。タナンジュTaningesはそのスキー場へ向かう途中にある町で、19世紀に建築された聖ジャン・バプテスト教会などが知られています。

タナンジュの中心部からレ・ジェへと抜けていく県道902（Rue de la Poste）から1本入ったところに新規開設されたのが、日本食販売店YAMA。一日平均20－25組の注文や持ち帰りがあるそうです。週末はパーティー用、食前のアペリティフ用にとお寿司が大人気だそうです。学校帰りの中学生がおやつ代わりに何か買っていくこともあるとのこと。幅広い年齢層に日本食は受け入れられているようです。

パーティ用に人気のお寿司。

その他に日替わりで焼き鳥、から揚げ、とんかつ、コロッケから春巻きまでと毎日行っても飽きないメニュー構成になっています。気軽に和食のお惣菜が買えるのがうれしいですね。お値段もお寿司は一つから購入可能ですが、巻き寿司一箱８ユーロ、寿司一箱１０ユーロからという良心的な設定。また2－3名用のボリュームたっぷりのにぎり寿司と巻き寿司の盛り合わせも30ユーロから（盛り合わせは前日に予約が必要です）。　

経営しているのは、山根美津子（やまね　みつこ）さん。山根さんは日本では神戸のホテルで勤務し、1999年から1年間、スイスのモントルーMontreuxにあるスイス・ホテル・マネジメント・スクールSwiss Hotel Management Schoolでホテル・マネジメントを勉強。半年間ジュネーブ国連本部内にあるデリゲート・レストランで研修した後、今度はロンドンに渡りホテル勤務。5年間フロントの仕事を勤めるうちに、様々な国籍の同僚や宿泊客と触れ合い、ホテルの仕事以上に、外国における自分の存在について学んだそうです。また見聞を広めるために休みの度にヨーロッパ各地を旅行。ロンドン滞在中に調理師であるフランス人のご主人と知り合い、子どもができたことをきっかけに2006年に家族でフランスに移住しました。移住後は経験を活かしながら近くの町のレストランで勤務を始めましたが、「自分でしかできないことをしたい」と日本食のビジネスを考えるようになりました。そしてYAMAがスタートしたのは2009年7月のこと。冬にスキー客で賑わうレ・ジェで、アイリッシュ・パブのお店の台所を借りて昼間はテイクアウト、夜はデリバリーという方法で日本食の提供を開始。繁忙期のスキー・シーズン中はパブでもメニューとして日本食を出していたそうです。常連の顧客も増えてきた2年後、山根さんの住む町タナンジュでお店を構えることになりました。

「気軽に立ち寄ってください」と山根さん。

料理、販売、買出しから書類作業とすべて一人でこなし休む間もなく大忙しの山根さんですが、毎日楽しみながらお店を切り盛りされています。レ・ジェで働いていた頃から、近郊のヨーロッパからバカンスに来た日本人の方もよくYAMAを利用されているそうです。そういった人々とのおしゃべりも大切にされている山根さんからは「お店ももちろんですが、日本語で話がしたいときなども気軽においでください」とのメッセージでした。ぜひＹＡＭＡの日本食とお惣菜を買いに立ち寄ってみませんか？