石を見る。・・・菅藤恵輔さん (京都、菅藤造園)
アヌシーの何でもない見慣れた古い家の写真ですが、ちょっと視点を変えるお話を。
8月の終わりは学生や教師にとっては、夏休みも終わり、新学期への準備に忙しい季節ですが、秋空が広がるのを見て、寒い冬が来るのだと往く夏を惜しむ時期でもあります。
先日、京都からいらした菅藤恵輔さんをアヌシーの街にご案内しました。
菅藤さんは京都の「庭師」さんです。
「庭師」とは何をする人か、の質問に、家の持ち主が庭と家の一切を信頼して任せることができる人のこと、とのお答え。
京都でご活躍中のお仕事についてはこちらの菅藤造園からご覧ください。
京都で、伝統的な庭園作りの修行をされてから独立して、「庭師」として、日本庭園を世界に紹介したい、海外でも作りたいと、フランスで日本庭園を作る予定のお宅訪問で、アヌシー近郊にいらっしゃいました。
フランスでも日本の庭、禅寺の庭の美しさを語る人は多く、その美しさを、それぞれの解釈で取り入れてる庭も見たことがあります。
「日本庭園」「日本庭園から発想を得た庭園」がフランスの各地にあり、いくつかは訪ねたことがあるのですが、日本風ではあっても、日本庭園とは私の目には映らなくて、なぜなのかとずっと疑問に思っていました。
「庭師」は、地形を見てプランをたて、実際に土を掘り起こしたり、大きな石を運んだり、その後、植物の選択と植え込み、出来上がった後も定期的な管理まですると伺いました。
手仕事だけでなく、土木機械も自由自在の菅藤さん。
完璧だった日本庭園が、季節と共に植物が変化し、たったの2ヶ月で別のものになってしまう話から、「庭は生きている。」ということを知りました。
街の中で、菅藤さんの目は石に向かいます。
植木と石を見ながらアヌシーの街を歩きまわる、という経験は私にも初めてのことで、お話を伺い、石畳や石の城壁からも読み取れることがあるのだと、感動しました。
猫の額ほどの小さな庭を見ながら菅藤さんは
「植物はだいたい日本と同じなのに、全然違う庭だ。」と一言。
料理も、同じ材料を使っても作った人によって違うのと同じかしら、と思う私。
違いを生み出すものは何か。それは作る人が違うということだとしたら、技術の問題なのでしょうか。
庭は見るものか、眺めるものか、鑑賞するものか。
庭と石をめぐって考えることがたくさんありました。
今回、石を見る目を持った時から、見える景色が変わりました。
古い石が家の前に埋め込まれている小さな道、門のぶどうの房もかわいいですね。
階段の整然とした新しい石の写真をいれます。
アヌシーは9月になってもまだまだ花がたくさんできれいですよ。
9月のイベント情報はまた次号でご紹介しましょう。
ところで、前号で書き忘れて申し訳ありませんでした。
写真での草で作られた象は「アルプスを超えたハンニバル」でした。
それではまた来週。
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