アッペンツェラードッグ
食べ物や伝統工芸、景色などで有名なアッペンツェルですが、もうひとつ、名前に「アッペンツェラー」がつくものがあります。
それは、犬。
アッペンツェラードッグ(または、アッペンツェラーフント、アッペンツェラーキャトルドッグ)という名称で知られています。
(写真はWikipediaより)
アッペンツェル原産の牧羊犬で、ときには牛乳を積んだ荷車を引いたり、ときには救助犬としても活躍するたくましい犬種だそう。
気をつけて見てみると、アッペンツェルのイラストには必ず登場しています。
ここにも。
ここにも!
ここにも!!
しかし。
アッペンツェルに引っ越してくる前からずっとアッペンツェラーフントを探しているのですが、ミックスには何度か遭遇してことがあるものの、純血種らしき犬にはまだ1回しか出会ったことがありません。
特徴は、尻尾がくるん!と巻いていること。
純血種のほとんどは尻尾が巻いていて、ミックスのほとんどは尻尾がまっすぐです。
地元アッペンツェルなのに、どうしてこうも幻の存在(?)なのかと思って調べたら、なんと。
絶滅の危機にさらされていたというではありませんか!
起源は明らかにされていないものの、アッペンツェルの農家の暮らしを長い間支えてきた犬種。
牧羊犬に必要な忍耐力と統率力を備えた、頼りになる犬。
体は50ー56cm、体重は20−32kgという中型サイズですが、牧羊犬だけあって活発らしく、よく走り、よく働く賢い犬という話です。
残念ながら、こういった特徴がペットとしては元気すぎたり、性格的に扱いにくかったりしたため、持て余す飼い主が増えたことが絶滅の危機につながったそうです。
純血種は、スイス国内ではなんと200頭未満しかおらず、オランダをはじめ外国の方が頭数は多いとのこと。
これに危機感をおぼえたスイスは保護対策を講じ、この犬種を守っていこうという動きがあるそうです。
今は、お散歩中のアッペンツェラーフントに遭遇したら四葉のクローバーを見つけたような驚きがあるような状態ですが、これから少しずつ増えて、アッペンツェルの風景の一部になったらいいな、と思いました。
<追記>
アッペンツェラーフントらしき犬を連れていた女性に聞いたところ、「純血種はすごく病気になりやすいから、犬のためには純血種を増やすのはいいとは思えないの。でも、絶滅はしてほしくないから、とても複雑が気持ち。この犬は、アッペンツェラーフントとマウンテンドッグをかけたものだからすごく元気」とのこと。
こうやって、「絶滅させない運動」と「病気や飼育状況を考えての行動」が同時になされているから、地元アッペンツェルでも劇的に増えることなく、犬の健康が維持されているのかな、と思いました。
筆者
スイス特派員
ヘス 順子
スイス東部のアッペンツェルに住んでいます。日本とスイスの橋渡しになるような仕事をし、それを深めていきたいです。
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