アッペンツェラードッグ

公開日 : 2016年04月29日
最終更新 :

食べ物や伝統工芸、景色などで有名なアッペンツェルですが、もうひとつ、名前に「アッペンツェラー」がつくものがあります。

それは、犬。

アッペンツェラードッグ(または、アッペンツェラーフント、アッペンツェラーキャトルドッグ)という名称で知られています。

800px-Appenzeller_Sennenhund.jpg

(写真はWikipediaより)

アッペンツェル原産の牧羊犬で、ときには牛乳を積んだ荷車を引いたり、ときには救助犬としても活躍するたくましい犬種だそう。

気をつけて見てみると、アッペンツェルのイラストには必ず登場しています。

ここにも。

01.jpg

ここにも!

02.jpg

ここにも!!

03.jpg

しかし。

アッペンツェルに引っ越してくる前からずっとアッペンツェラーフントを探しているのですが、ミックスには何度か遭遇してことがあるものの、純血種らしき犬にはまだ1回しか出会ったことがありません。

特徴は、尻尾がくるん!と巻いていること。

純血種のほとんどは尻尾が巻いていて、ミックスのほとんどは尻尾がまっすぐです。

地元アッペンツェルなのに、どうしてこうも幻の存在(?)なのかと思って調べたら、なんと。

絶滅の危機にさらされていたというではありませんか!

起源は明らかにされていないものの、アッペンツェルの農家の暮らしを長い間支えてきた犬種。

牧羊犬に必要な忍耐力と統率力を備えた、頼りになる犬。

体は50ー56cm、体重は20−32kgという中型サイズですが、牧羊犬だけあって活発らしく、よく走り、よく働く賢い犬という話です。

残念ながら、こういった特徴がペットとしては元気すぎたり、性格的に扱いにくかったりしたため、持て余す飼い主が増えたことが絶滅の危機につながったそうです。

純血種は、スイス国内ではなんと200頭未満しかおらず、オランダをはじめ外国の方が頭数は多いとのこと。

これに危機感をおぼえたスイスは保護対策を講じ、この犬種を守っていこうという動きがあるそうです。

今は、お散歩中のアッペンツェラーフントに遭遇したら四葉のクローバーを見つけたような驚きがあるような状態ですが、これから少しずつ増えて、アッペンツェルの風景の一部になったらいいな、と思いました。

<追記>

アッペンツェラーフントらしき犬を連れていた女性に聞いたところ、「純血種はすごく病気になりやすいから、犬のためには純血種を増やすのはいいとは思えないの。でも、絶滅はしてほしくないから、とても複雑が気持ち。この犬は、アッペンツェラーフントとマウンテンドッグをかけたものだからすごく元気」とのこと。

こうやって、「絶滅させない運動」と「病気や飼育状況を考えての行動」が同時になされているから、地元アッペンツェルでも劇的に増えることなく、犬の健康が維持されているのかな、と思いました。

筆者

スイス特派員

ヘス 順子

スイス東部のアッペンツェルに住んでいます。日本とスイスの橋渡しになるような仕事をし、それを深めていきたいです。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。